第9話 千羽鶴の願い

 朝、起きると千羽鶴が完成していた。


 ふ~う、また、寝落ちしていたが。完成と言う結果は出ていた。これで萌菜さんに会いに行ける。


 その日は風が強く少し心配であった。少し心配だが問題なかろう。私は自宅からバスに乗り総合病院に向かう。風の強さが増している。これは嫌な予感がする。バスが総合病院に着くとゆっくりと降りる。


 総合病院の中に入る寸前の事である。突風が吹き千羽鶴の止めてある糸が切れて全て空に舞ってしまう。


 呆然と立ち尽くすしかなかった。こぼれ落ちる涙は無力感そのものであった。


 せっかく、病院にまで来たのだ、萌菜さんに会いに行こう。私が泣きながら病室に入ると。


 昏睡状態の萌菜さんの上に折り鶴が舞い降りていた。窓が開いているのでそこから折り鶴が入ったらしい。


 奇跡か……。


 すると、萌菜さんの目がゆっくりと開く。


「ここは?」


 それは千羽鶴の願いが叶ったのだ。


 それから……。


「ねえ、純様、私に勉強を教えて」


 中庭のベンチで純様とランチのことである。


「和穂、どうしたの?急に……」

「私ね、看護師さんになりたいの」


 出会いとは偶然である。でも、それを必然に変えるのも人生の面白いところである。

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王子様とヤンデレ娘の恋 霜花 桔梗 @myosotis2

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