第8話 ヤンデレ決戦

 昇降口の下駄箱に手紙が入っていた。差出人は真夜であった。


『放課後、図書室棟の隣の空き地で待つ』


 ついに決戦の時が来たか。私は気合を入れなおして放課後まで待つ。


 それから、図書室棟の隣の空き地に行くと。真夜が待っていた。


「刃物は出さなくいいのか?」

「NO、NO、一方的な殺し合いは好まないのです」


 真夜はそう言うと鞄からダンゴムシ君を取り出す。


「このダンゴムシ君の命が欲しければ純様から手を引け」


 ここは冷静になってと、私はやはり鞄からでんでんムシ君を取り出す。


「卑怯な、人質をとるのか?」


 お前が言うなと思うがそこはスルーである。


「よし、人質交換だ」


 私がそれを提案すると、コクリと頷く真夜であった。そして、お互いのムシの入ったカゴを地面に置くと距離を取りながらカゴに近づく。


「おおお、ダンゴムシ君、無事だったか?」


 モジモジと動くダンゴムシ君は元気であった。真夜もでんでんムシ君の入ったカゴをスリスリして喜ぶ。


「今日の所はドローだ」


 私も同意してその場から立ち去る。しかし、今日の決戦で何かが変わった。真夜の物陰からの殺気が消えたのだ。同じムシが友達との同族意識が高まったのである。その後、真夜を見かける事は無かった。

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