第7話 決意のある日常
恋とは切ないモノである。純様の事を考えると、夜に火照って仕方がない。私は窓の外を見て純様が突然現れたりしないか確認する。
ふ~う、有りえないか……。
すると、スマホが鳴る。慌てて確認すると純様だ。これからは呪いを止めてカトリックの信者になろう。かなりいい加減だがそんな気分なるできことであった。
『はい、和穂です。今は大丈夫です』
『よかった、突然、寂しくなって、電話をかけてしまった』
その後はただの恋人同士の会話であった。電話を切ると寂しさが増す。純様に会いたい。もう、イイコじゃいられない。
私は家出の準備をすると。妹の美知留がアホを見る様な視線で見てくる。
「止めないで、私はお嫁に行くの」
「あそ、元気でね」
……。
「止めないの?」
「うん」
このまま外に出たら野宿だ。
「美知留のバカ!!!!!!!!!!!」
私は純様の待ち受け画面を見ながら布団に転がり込むのであった。
***
とある午後の事である。私は庭に出てダンゴムシ君と遊んでいた。
サボテンのサボ君も部屋から持ち出して、三人でピクニック気分だ。
ダンゴムシ君にツンツンすると。コロリと丸まる。
「ダンゴムシ君は素直だな。それに比べてサボ君はツンドラ娘だ」
自分でも自覚しているが、かなり痛い独り言が続く。しかし、庭から見える道路を散歩する人から目線を感じる。幼い子供を連れた親子が通りかかると。
「見ちゃいけません」
すたすたと足早に通り過ぎて行く。お決まりのセリフが心に残る。私も痛いことをしている実感はあるので、へこむ感情があるのであった。
「サボ君、私って痛い子なの?」
勿論、サボ君は返事を返さない。
「ホント、サボ君はツンドラ娘だ」
私はサボ君と一緒に自室に戻ると。放置していたスマホを見ると、純様からの着信があった。
げ、失敗した。
そう、私には恋人がいるのだ。サボ君を定位置に置くと、急いで純様に電話するのであった。
そして、純様との電話が終わると。千羽鶴を折り始める。
「サボ君、私が少女の為に祈るなっておかしいよね」
「……」
サボ君が返事を返したら怖いか。頭をポリポリとかいて鶴を折る。何故、ここまでするかには理由がある。私は萌菜さんを自分に重ねているのだ。両親お共働きで酷い幼少期であった。独り、公園で遊ぶなど普通の事であった。
交通事故などに合えば一人で死んでいくのである。だから、私には萌菜さんの気持ちがわかる。
死なせない、絶対に死なせない。意識不明の萌菜さんを助けてみせる。
ふと、気がつくと朝であった。私は何時間折っていたのだ?
机に向かって寝てしまったのであちこちが痛い。ダメだ、今日は学校を休もう。私は布団に入り眠るのであった。
お昼前に起きると担任からメールが届いていた。この高校では積極的に携帯を使うのであった。内容は欠席の理由と午後から出席できるかの問いであった。
今日はお腹も痛いのに……。
渋々、午後から登校の意思を伝える。私は早めの昼食を食べて支度を整える。あ、純様に寝ていたとメールしなければ。
きっと、心配している。
急いで自宅を出ると電車に乗る。そして、車内で純様からのメールを受信する。
あちゃー、やはり心配していた。
こんなポンコツ女子でもいいと言ってくれるのが、流石、純様だ。
結局、高校に着いたのは、午後の授業の直前であった、その為に純様と話す機会は無く寂しいモノであった。
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