第6話 少女との出会い、そして千羽鶴

 それは出会いであった。最寄り駅から自宅に歩いている途中の事である。自転車に乗った女の子が飛び出して車と衝突した。交通事故の現場など初めてであった。


 私は救急車を呼び。意識不明の女の子を歩道に寝かせて呼吸を確認する。良かった、息はある。これならば助かるかもしれない。


 よく見れば、近所に住む女の子であった。両親は共働きである。そのせいか公園にて一人で遊ぶ姿をよく見かける。今時、一人で遊ぶなど珍しいが、世界に逆らって生きている様であった。


 そう、両親は共働きである。


 ここは私が付きそう事にした。救急車が到着すると私も一緒に乗るのであった。しかし、総合病院に着くと私は自分の無力感に絶望した。私はしばらく病院にいるが帰る事に。タクシーでもいいが、ここは時間が掛かるがバスで帰る事にした。


 そして、数日後。


 私の自宅に事故にあった、女の子の両親が挨拶に来た。私の行いにお礼を言いに来たのだ。そこで、私はお見舞いに行っていいかと聞く。


 返事はOKであった。


 でも、女の子こと萌菜さんの意識は無くこん睡状態である。その日から私は呪いの本を片付けて千羽鶴を折り始めた。


 そう、呪いも千羽鶴も想いの塊である。その塊は人々に大きな影響を及ぼす。私はそれを信じて萌菜さんの為に鶴を折る事にした。

純様の隣で昼休みのご飯の後で鶴を折る。


「最近、和穂は鶴をよく折っているけれど何か心境の変化があったの?」


 私は純様の問いに小さく頷く。


「へー俺は細かい作業が苦手だから尊敬するな」


 やはり、純様だ、私の事を素直に肯定してくれる。流石、ファンクラブができる程の存在だ。純様は数学のノートを取り出して勉強を始める。私は心のおもむくままに純様の腕に寄りそう。同じ空間で息を共にする。これが恋の味であった。切なさに折り鶴が今にも舞飛びそうである。午後のひと時が純様と一緒に流れていく。それだけで幸せであった。


 休み時間、私はトイレに向かう途中のことであった。廊下の先から真夜がこちらに近づいてくる。すれ違いぎわに刃物が見える。落ち着けこれはブラフだ、騒ぎを起こして、私をハメるつもりだ。同じヤンデレとして刃物の輝きが鈍いことに気がついたのである。本気ならもっと鋭い刃物を使うはすだ。おそらくアルミホイルだろう。そして、すれ違い、真夜が後ろに行くと。


「次はめった刺しよ」


 真夜が呪いの言葉を私に聞こえる様に小さく話す。世の中には言霊と言う言葉がある。言葉自体に魔力があるのだ。ホント厄介な人に目をつけられた。純様の博愛の精神も困りモノだ。

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