KAC20231 地元の本屋をたずねて

麻木香豆

本屋のお話

 昔は子供たちや若い人たちで賑わっていたはずのこの商店街も寂れてしまった。


 この市を舞台にアニメが作られたり、少し脇道それると任侠映画のロケ地がある……。のになぁ。


 その商店街のとある本屋は昔は時計屋でレトロなところは残して内装を変え本屋としては少し小さいが喫茶店と二階にレンタルオフィスも構えて運営、狭いながらも客もある程度入っている。中央の階段上にある大きなシャンデリアが魅力的だ。


 駅前にも本屋があったがいつのまにか潰れたし、郊外の大型書籍チェーンも市街のイオンに移転するといって閉店した。


 ふと入り口付近に御朱印らしきものが置いてあるがよく見ると店のロゴではないか。


「それ、いいですよねぇー」

 いきなり声をかけられてびっくりした。少し私より上の女性。よく見るとエプロンをしてる。店員だった。


「御書印ですのよ、御朱印ならぬ」

「ハァ」

「全国の本屋さんで提携してるところでも発行してて。本屋さん巡り好きです?」

「まぁ本屋は好きです」

「そうなのー。是非是非……」

 自分は御朱印集め始めたばかりだから、もしよろしかったらいただきたいというと用意してくれたので日付を書いてもらってお金を払い手帳に挟んだ。


「ホームページに御書印やってるところ載ってるから是非」

 と早速調べると岐阜では3軒のみ。子持ちの自分では家族旅行でもしない限り無理だと項垂れながらも本棚をうろうろする。


 ネットで本を買ったり電子書籍で読めるこの時代、しかも近くには大きな市の図書館もある。

 本屋が生き残るためにもいろんな工夫が必要なんだな、と。


 そして喫茶を利用すると書店の本を読みながら飲食可能。

 最近大手の書店の横に併設されている喫茶もそういう感じだがここの方が書籍はさほど多くないが落ち着いていられる。


 私のようにそういうふうに思って利用する人が他にもいればこの書店も安泰なんだろう、と思うのであった。


 おわり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

KAC20231 地元の本屋をたずねて 麻木香豆 @hacchi3dayo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ