最終話 営業し続ける幻想ショップ
リーク達はシェイガー討伐の後、宴に巻き込まれた。
大勢の人々が感動の涙を流していたが、リークはそれどころではない。
カナシーが爆発して光となった。
そのせいで、シェイガーが殺してきた全ての人種が蘇った。
大パニックなのに、大勢の人々が壊滅しかけた王国へとやってきたのだ。
それぞれの服がぼろぼろであろうと、それぞれの人々が苦しい顔をしようと。
リークはただそちらを見て、見なかった事にしたのだが。
「見ていましたぞ!」
「私もです」
「僕もです」
【勇者様ああああああ】
数万人を超える人々(あらゆる種族)がリークに向かって雪崩のようにやってくる。
「あんなのに抱きしめられたら死ぬぞおおおおお」
リークは絶叫を上げて逃げたのであった。
数万人の人々はどうやらシェイガーが発した光とカナシーが発した光を浴び。
シェイガーの記憶を受け継いだようだ。
だからシェイガーを倒したリークの事を知っていたのだ。
何よりシェイザーとカナデちゃんも逃げるはめにはなったのだが。
リーク達はルーギャシー国王を無視して、草原村に逃げかえる事とした。
そうして当たり前な日常がやってくる。
最近リークはあらゆる街や村に行って、大勢のごろつきにデバフをかけて、さらに悪戯心でレベル下げのデバフも授けて、スキルを盗みまくっている。
「カエデちゃん、今日のコーヒーも美味しいよ」
「そうですか? 今日もティーナさんと鍛冶師リンネーさんがゴミ道具とインゴットを持ってきましたよ」
「それは助かるよ」
「うぉい、ダンジョンに行ってきてやったぞ」
「君はもう少し言葉遣いをだねーシェイザー君」
「何偉そうなんだよ、ざっとモンスターから取れる素材と、あと何体かモンスター牧場にぶっこんだぞ」
「そりゃー助かりますねー」
捕縛の腕輪はなぜかシェイザーに貸す事が出来たのえ、シェイザーにはモンスター討伐とモンスター捕縛の指令を出している。
「じゃあ、頑張りたまえ」
「ったくよー従業員使いが荒いぞ」
「いやー暇でしょ?」
「まぁな」
そう言いながら、シェイザーはカエデちゃんが入れてくれたコーヒーを飲み干して。
「うめーな、じゃあいってくらあああ」
シェイザーは扉を閉めていなくなった。
幻想ショップのカウンターには石碑を乗せてある。
そこにはカナシーという名前が彫られており。
「さて、今日も実演販売しないとな、ごろつきさんを挑発してくるよ」
「また、リークさん危ない事してー相手が死にますよ」
「今日はレベル20設定にしてみようかなってさ」
「それなら大丈夫ですね」
カエデちゃんが笑い。
その時だ。扉がいきなり開いた。
そこには小さな少女がいた。
年齢は3歳くらいだろうか。
体中が汚れており。どこか顔が生意気で、どっかの誰かに似ていた。
「お嬢ちゃん、ここは幻想ショップで危ない代物が」
「たわけが、リークよ、私がそう簡単に死ぬかぼけ」
「いえ、お嬢ちゃん、落ち着いて話しましょうね」
「このバカ者が、師匠を忘れたか」
「いやーお嬢ちゃんが師匠? え、お前、まさか、カナシーか」
「ふ、転生してやったぞ、3歳の少女の体に入ってしまったがな、元々この時の為の私の器だったようだ。神は恐ろしいな」
「か、かなしいいいいいいい」
リークは3歳の少女にしがみ付いた。
「な、何してるんですか、リークさん、幼女趣味があったんですか」
「ちがうよおお、こいつカナシーだわあああああ」
「悲しいんですね、分かります、ですが幼女趣味はいけません」
「カエデちゃんも相変わらず天然だな、カナシーだ私だよ」
「はいいいいい」
カエデちゃんもようやく理解して。
「うぉい、武器忘れたって、リーク、お前そんな趣味が」
「アホ、こいつカナシーだぞ」
「なんだって、あの亡霊か」
「亡霊じゃない、幽霊だっただ。今は転生した」
カナシー幼女がふんぞり返りながら。
白い服にべとべとと鼻水をつけるリークの頭をぽこすか殴り。
「いい加減にせよ、母上にばれたら殺されるんだからな」
「母上って誰だよ」
「冒険者ギルドの受付嬢……」
その場が氷付いた。
「シナカーちゃんーどこですかー」
「至急、カナシーを、扉を閉めるんだシェイザー」
「うぉう」
リークとカナシーは再び出会い。
眼と眼を合わせると。
「よっしゃ、従業員も揃った事だし、幻想ショップ開店するか」
「誰が従業員じゃ、影の店長じゃろう」
カナシーがふんぞり返るが。
「それが冒険者ギルドの受付嬢にばれたらどうなる? ここに来るの禁止されるぞ」
「うむ、影の社長ではなく、影の支配者で」
「んなもんどうでもいいわ、俺はダンジョン行ってくるぞ」
扉を開けた瞬間。
「シナカーちゃん? リークさんとなんで抱き合ってるのかな?」
「ぎやあああああ」
鬼のような女性がいました。
幻想ショップが開店してから、数か月で世界を救ってしまったリーク達。
どこにでもある。普通のお店、そこには幽霊が出る。
商品は極上一品もの、店長はスキルを盗んで、装備などを造って付与するせこい商売をしている。
従業員思いで、とても優しい店長はレベル9999でレベルも下げられる。
そんなどこにでもない物語でした。
完結
幻想ショップ開店〜デバフ魔法で対象からすべてのスキル盗んで、それを武具道具アイテムに付与して転売するせこい商売始めました!? MIZAWA @MIZAWA
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます