第120話
まずお城に必要なものとはなんだろうか。
武器や、防具屋、鍛冶屋は揃っている。
冒険者ギルドもあるし。
宿屋もある。
他に足りないものはなんだろうか。
オレは足りないものについて考える。
それは温泉だと考えた。
温泉とは入ればヒットポイントが回復するものである。
温泉とは入ればマジックポイントが回復するものがある。
オレはそんな魔法のような、特別なお風呂を作りたかった。
というわけで、お城に温泉を作ろう。
温泉のつくり方はかんたんだ。
温泉の作り方は、城の中の好きな場所に温泉を置けばいい。
そしてこの場所に温泉を作ってもよろしいですか?
という質問にイエスと答えればいいだけだ。
な、簡単だろ?
それだけで温泉はやがて完成する。
温泉のお湯は蛇口をひねれば出てくるし、温泉は温泉の元を入れればできる。
温泉の元の購入方法はネットショッピングだ。
温泉は男湯と女湯の二つを作っておくか。
のんびりと温泉が出来上がるのを時間が経過するのを待っていたら、ユイカに声をかけられた。
「おっさん、何をしているんですか?」
「温泉を作っているんだよ」
「おんせんっていうのはなんですか?」
「温泉っていうのはだな、大きなお風呂のことだ。ヒットポイントが回復するお風呂のことだ。マジックポイントが回復するお風呂のことだ。あとはまあそうだな。みんなで入ることのできるお風呂かな」
「へえ、それがおんせんなんですね。はやく入りたいです」
というユイカ。
ユイカは温泉というものを知らないらしい。
異世界にはお風呂というものはあるけれど、温泉というものはないのだろうか。
「わたしも何かお手伝いしましょうか?」
というユイカ。
「ああ。大丈夫。温泉は時間が経過したら、勝手に出来上がるからな」
「そういうもんなんですか」
「カップラーメンみたいだろ」
とユイカと話をしていたら、
「サトウさん、何をしているんですか?」
とミリカが声をかけてきた。
「え? おんせんを作ってるんですか?」
というミリカ。
おんせんってなんだろう?
という顔をするミリカ。
どうやらミリカも温泉を知らないらしい。
オレはミリカにも温泉というものを教えてあげた。
温泉というものはみんなで入るものだ。
温泉に入ればヒットポイントが回復するし、マジックポイントも回復する便利なお風呂であるということをミリカに説明する。
「なるほど。おんせんというのはヒットポイントが回復するお風呂なんですね。すごいです、サトウさんっ。そんなものを作ろうと思うなんて、さすがですね、サトウさん」
というミリカ。
「わたしもそんなお風呂に入ってみたいです」
というミリカ。
「まああと三か月もすれば、温泉は完成するよ」
というオレ。
ミリカはすごく楽しみだという表情をしている。
「まあ楽しみにしてて」
「はい。楽しみにしていますっ」
というミリカ。
オレが温泉を配置した場所で時間が経過するのを待っていると、さらに人が集まってくる。
「なにやっているんですか、サトウさん」
というのはグレア。
「一体なんの工事をしているのよ。どどどどどどってものすごい音が聞こえてくるんですけど。モンスターが城の中に攻めてきているのかと、襲ってきているのかと思ったじゃない」
というのはエルマだった。
「オレは城の中に温泉を作っているんだよ」
「「おんせん?」」
という二人。
グレアとエルマは、温泉というものを知らないらしい。
二人とも温泉ってなに?
という顔をしている。
と、紅蓮の炎のメンバーである男性陣までやってきた。
よほど工事の音がうるさいのだろう。
どどどどどどどどど。
とものすごい音がしているのだろう。
エレンとかサックとかアレクである。
「なんだよ。サトウ。どどどどどって城の中でものすごい音がしているぞ。城の中ががたがたと揺れているんだが。びっくりしたじゃねえか」
「すまん。オレは今、城の中に温泉を作っているところなんだ」
「「おんせん?」」
エレン、サック、アレクの三人は温泉ってなんだよ。
という顔をしている。
もうこれは温泉を作って、温泉に入らせたほうがはやいな。
いちいち説明するのも面倒だ。
「何か手伝うことはないか?」
というのはエレン。
「いや、別に手伝うことはないんだ。城の中に温泉を配置して、温泉ができるまでの時間をただ待てばいいだけだからな」
「そうなのか」
「まあ三か月後には温泉はできているから、待っていてくれ。楽しみにしていてくれ」
「おう」
というエレン。
そして三か月後なった。
そこには温泉ができていた。
温泉が完成していた。
蛇口をひねって、お湯を入れる。
そこに温泉の元を入れれば、温泉の完成である。
「ついに完成したか」
オレは温泉、男湯を見て、満足げな顔をした。
女湯にも温泉の元を入れて、満足げな顔をしていた。
オレはひたいから出る汗をぬぐい、温泉ができたことを満足げな顔をして、見つめていた。
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