第119話

 魔王になってから数か月のこと。

 宿屋、武器屋、防具屋、鍛冶屋、地下訓練場、モンスター解体場、冒険者ギルドは出来上がった。

 城の中に配置されているのは宿屋、武器屋、防具屋、鍛冶屋、地下訓練場、モンスター解体場、冒険者ギルド。

 このまま温泉も作ってみよう。

 温泉を作れば、そこでのんびりと時間を過ごすことができる。

 さて、城の中には人が集まっている。 

 エルマ、エレン、サック、アレク、グレアという紅蓮の炎のメンバーが集まっている。

 リョウコに、ゴブリンスレイヤーのメンバーが集まっている。

 トールがいて、ノスカーがいて、ゾーイがいて、ユイカがいて、ミリカがいる。

 異世界召喚者、リュウノスケ、ショウヘイ、アヤノ、女子高生のミコト、幼女のミコトがいる。

 スライムスレイヤーの二人もいる。

 そしてロカ、ドレイクもいる。

 城の中の宿屋にいるユイカに声をかけると、

「おっさん、宿屋で休んでいきますか?」

 と、声をかけられ、宿屋で休むことができる。

 城の中の宿屋はできたばかりのようで、真新しい家具がそこに並んでいた。

 洗面所、お風呂など、すべてが新しい。

「うん。休んでいく」

 これだけ言うだけで、城の宿屋の部屋で休んでいくことができる。

 グレアとともに部屋で休む。

 戦争があってからは忙しい日々だったから、こうやって休むことができて、俺は大変満足していた。

 そして翌日に目を覚まし、俺は城の中で暇そうにしていた異世界召喚者に声をかける。

「お前ら、暇そうだな」

「だって仕方がないじゃない。わたしたち、やることが無くなったもの。魔人族の討伐だってやる必要がなくなったし」

「俺たち、本当に元の世界に戻れるのかな」

 というのはリュウノスケ。

「なんだかその話、最近怪しく思えてきたぞ」

「元の世界には戻れるらしいぞ。ちゃんと魔王を倒していけばな」

 大賢者さん曰く、魔王を倒せば元の世界には戻れるらしい。

 まあいつになるのかはわからんが。

「魔王を倒していけばって……その最初の話からあまり話が進んでいないような気がするんだけど」

「話は進んでいるだろ? 城から追放されて、そして冒険者ギルドにいって。そしていろいろなモンスターと戦い、ダンジョンに入ったりしてな、」

「それはおっさんの話だろ。俺たちは……ダンジョンに入っても伝説のモンスターは倒せなかったし、村人たちだって倒せなかったし、村人って紅蓮の炎のことな、あとは国王戦だって負けたし……って、俺たち負けてばかりだな。だがまあ……話は進んでいるか」

 というリュウノスケ。

「それにしても……おっさんは前よりも興味深い対象になっているな」

 というのはショウヘイ。

「なんだか別人になったみたいだ」

 というのはショウヘイ。

 そうだろうか。

 確かに魔物の肉を食べてはいるけれど、最強にはなっているとは思うけれど、それ以外では大きく変わっているところはないとは思うのだけれど。

 人間など殺してしまえ。

 最強になるためには仕方のない犠牲なのだ。

 というようなことを思うようになったくらいで、ほかには違いなどない。

 まあそれくらいの違いがあるだけで、全然違う性格になったともいえるかもしれないが。

「おっさん、おっさんってこれから魔王討伐をするつもりなの?」

 というのはアヤノ。

「ああ。魔王討伐はするつもりだぞ。その前に城の立て直しをしたり、城を少しでも大きくしたり、仲間の数を増やしていったりする予定」

「魔王討伐かー。やっとここまで来たのかー。私たち、魔王を討伐することができるかなー」

 という女子高生のミコト。

「あたち、はやくおかあさんにあいたいです」

 というのは幼女のミコト。

「早くお母さんに会えるといいな」

 というのは俺。

「城の再興なんてどうでもいいから、さっさと魔王討伐にいっちゃおうよ。わたしたち最強の異世界召喚者なら、相手が魔王だって余裕で勝てるはずだって」

 というのはアヤノ。

「そうだよね。考えていても時間の無駄かもしれないし、さっさと魔王討伐にいっちゃおうか。負けそうなら、途中で撤退すればいいだけのことだし」

 という女子高生のミコト。

「そりゃあダメだろう。途中で撤退するなんてダメだろう。何事も準備が必要だ。準備をしないでいって、もしも死んでしまったらどうするんだよ。そうなったら、復活できなかったらどうするんだよ。俺は反対だからな。何も準備せずに、戦いに行くなんて」

「おっさん、戦闘をするのが心配なの? 戦闘をするのが怖いの? 大丈夫だよ。わたしたちは最強の異世界召喚者なんだから。それに途中撤退は普通のことだよ。私たちなんて、強い相手と分かれば、途中撤退を繰り返しまくっているよ。自慢じゃないけど」

 というのは女子高生のミコト。

「本当に自慢ではないな」

 そんなにも自信を持つのはいいが、俺はできるだけ準備を整えてから、戦いにいきたいタイプなのである。

 何も考えずに突き進んで、そしてがむしゃらに戦うタイプではないのである。

「おっさん、俺たちがいるんだから問題ないだろう。俺たちは最強の異世界召喚者なんだぜ」

 というのはリュウノスケ。

「俺たちが、な」

 というのはショウヘイであった。

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