第108話

 異世界召喚者LV72

 異世界召喚者LV74

 異世界召喚者LV76

 異世界召喚者LV78

 兵長LV52

 兵士LV44

 兵士LV45

 兵士LV46

 兵士LV47


 異世界召喚者は残り四人。

 異世界召喚者たちのヒットポイントが少しずつではあるが減少している。

 アレク、サックはといえば、自分たちが足手まといにしかなっていないと思ったのか、後ろに下がっていた。

 異世界召喚者たちは、ヒットポイントが減少すればするほどに攻撃力が上がっていく。

 異世界召喚者はそんなスキルを持っている。

 異世界召喚者のヒットポイントを、ショウヘイ、幼女のミコト、アヤノ、女子高生のミコトのヒットポイントが半分に減り、紅蓮の炎のメンバーのグレア、エルマ、エレン、ゾーイ、ノスカー、アークスライムの食らうダメージが大きくなっていく。

「くっ……」

「くっ……」

「くっ……」

「くっ……」

「きゅうううう」

 エルマとグレアの二人はお互いの顔を見合わせていた。

 二人はお互いにそろそろ本気を出しましょうか、というような顔をしてこくりこくりと何かうなずきあっている。

 なんだ。

 あれはなんだ。

 あの二人、まだ余裕があるっていうのか。

 と、アレクはそんなことを思った。

 これはどういうことなんだ、と。

 エルマは言った。

「グレアちゃんっ」

「はい。エルマさん、そろそろわたしたちも本気を出しましょう」

「この二人、まだ本気じゃなかっただと!?」

 エルマとグレアはその腕におもりをつけていた。

 エルマ、グレアは服の隠れていた部分から、おもりを外す。

 そのおもりがついていた場所は両腕。

 そのおもりがついていた場所は両手首。

 そして両足につけていたおもりを外すのはエルマとグレア。

 その外したおもりがあまりにも重かったのだろうか、そのおもりは地面に置くだけで、どすんというすごい音がして地面がへっこんでいた。

「!」

「!」

「!」

「!」

「!」

 異世界召喚者はグレアとエルマがおもりを外したことに驚いていた。

 だが驚いているのは異世界召喚者だけではなかった。

 紅蓮の炎のメンバーもまた、アレク、サック、エレンの三人もまた、仲間であるグレアとエルマのことを見て、驚いた顔をしていた。

 A級の冒険者であるノスカー、ゾーイもまた、こいつら何考えてんだとそんな顔をしている。

 信じられないという顔をしていた。

「嘘だろ……? エルマ、グレア、お前ら……相手が異世界召喚者だというのに……おもりをつけた状態で戦っていたのか?」

 というのはエレン。

 エレンは信じられないという顔をしている。

 エレンはようやくエルマ、グレアに実力で追いつけたと思っていた。

 だがエルマとグレアの二人はもっと先へと進んでいたようだ。

 これほどに努力してもまだ追いつけないのか。

 ランニングと筋トレを毎日しても追いつくことはできないのか。

 と悔しそうな顔をしているのはエレン。

 サック、アレクはといえば、自分たちもその手首からおもりを外して、これから自分たちも全力で戦うのだ、というような妄想をしていた。

 まあ妄想なので、そのアレクとサックの両手には、アレクとサックの両足には、おもりなんてものはついていないのだが。

 そして異世界召喚者である幼女のミコトもまた、ヒットポイントゲージが減少していくごとに、攻撃力が上がっていく特性を持っている。

 だから幼女のミコトもまた、これからアークスライムとの戦闘は自分に利があるのだとそう思っていた。

「そろそろおわりにしましょう。すらいむさん。すらいむさんのからだには、おもりをつけるようなばしょなんてないですよね」

 という幼女のミコト。

「きゅうううううう」

 幼女のミコトとアークスライムの戦いが始まる。

 幼女のミコトはヒットポイントが減少したので、攻撃力がかなり上がっている。

 グレアは風の魔法を使った。

「ウインドカッター」

 それは敵全体への攻撃魔法。

 異世界召喚者四人を上空へと飛ばす。

 上空へと飛ばされ、その身体を切り刻まれるのは異世界召喚者四人。

 悲鳴を上げるのは異世界召喚者四人。

「くそっ……こいつら、ただの村人だと思っていたのに……」

「サンダーボルトっ」

 雷の魔法はショウヘイに向かっていく。

 そのサンダーボルトはショウヘイに直撃していた。

 悲鳴を上げるのはショウヘイ。

 そしてショウヘイの眼鏡はついに破壊された。

「オレの眼鏡が破壊されただと……」

 眼鏡が破壊されて、悔しそうな顔をしているのはショウヘイ。

「ショウヘイ、大丈夫?」

「ショウヘイ、眼鏡がっ」

 ショウヘイのことを心配しているのはアヤノと女子高生のミコト。

 ショウヘイは言った。

「くそっ……オレの眼鏡がっ……」

 というショウヘイ。

 エルマはショウヘイの眼鏡を手に入れた。

 ショウヘイの眼鏡は武器の強化に使うことができる。

 幼女のミコトは言った。

「そろそろあたちも本気を出します」

 幼女のミコトの体が光りだす。

 それは光属性の攻撃。

 おっさんと同じ光属性での攻撃。

「あたちはまおうとのせんとうまでいっせんもまけない。まおうをたおして……あたちはもとのせかいにかえるんだ。こんなところでしぬわけにはいかない」

 と、そういう幼女のミコト。

「くらえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」

 幼女のミコトはすべての光のエネルギーをアークスライムにぶつけた。

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