第106話
眼鏡をくいっとおさえたショウヘイは言った。
「スキル、索敵」
ショウヘイはアークスライムのステータス画面を見ている。
そこにあるアークスライムのステータスの数字と、属性が何かを確認しているのはショウヘイ。
ショウヘイはアークスライムが火属性の攻撃が弱点であることを発見する。
眼鏡をくいっとおさえたショウヘイは言った。
「わかったぞ。みんな、あのスライムの弱点は、火属性だっ。火属性の攻撃を使って、あのスライムを攻撃しろっ」
異世界召喚者は動き出す。
まずは幼女のミコトから動き出す。
と、次々に異世界召喚者たちが動き出すが、その前に立ちはだかるのはグレアやエルマであった。
女子高生のミコト、アヤノは、支援役なのか、後ろに立っている。
剣を持った幼女のミコト、そしてアークスライムの戦闘が始まった。
「はあああああっ」
「きゅううううううっ」
グレアとショウヘイの戦闘が始まった。
後ろにひかえているのはアヤノと女子高生のミコト。
ショウヘイは眼鏡をくいっとおさえている。
ショウヘイの攻撃は稲妻属性の攻撃。
ただの攻撃なのに、ショウヘイの攻撃は敵に攻撃するだけで、稲妻が発生している。
迎え撃つのはグレア。
幼女のミコトもまたアークスライムからの攻撃を受けると、反撃を仕掛けていた。
幼女のミコトは火属性の攻撃である。
アークスライムは水属性での攻撃。
「きゅううううううううううううう」
グレア、エルマ、エレン、ノスカー、ゾーイとショウヘイは互角に戦っている。
サック、アレクの二人はといえば、攻撃範囲の広い稲妻の攻撃をショウヘイからくらい、吹っ飛ばされて、サック、アレクのヒットポイントゲージは赤い色へと変化していた。
「くそっ、たった一撃の攻撃でこれだけヒットポイントゲージが減少しただと……?」
「そ、そんな……」
「アレク、サック、大丈夫か?」
オレはこのままではサックが、アレクが死んでしまうと思ったので、回復魔法を使った。
「ヒール、ヒール、ヒール!!!」
オレの回復魔法によって、アレク、サックのヒットポイントがすぐに全回復する。
だが異世界召喚者もまた強いので、アレク、サックがすぐにでもまたピンチの状態になってしまうかもしれないだろう。
だが敵にも回復魔法の使い手がいる。
それは女子高生のミコトとアヤノだ。
彼女たちはショウヘイのヒットポイントゲージが減るたびに、ショウヘイのヒットポイントをすぐに回復する。
ほぼ互角の戦いが続く。
大賢者は言った。
主様、今回の勝利条件は、異世界召喚者の討伐のほかに、村人の救出が必要になります。
村娘の救出、ミリカ様、ユイカ様、リョウコ様の救出も勝利条件になります。
すべての敵の討伐だけが勝利条件ではありません。
だから一刻も早く彼女たちを助けに行くべきです。
わかった。
と、
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
という悲鳴が聞こえてきた。
兵士が村人を襲い始めたらしい。
オレは仲間に向かっていった。
「みんな。オレはもういくっ。グレア、エルマ、アークスライム、アレク、サック、エレン、ゾーイ、ノスカー、異世界召喚者を倒すのは、お前たちに任せるっ。オレは村人を助けにいく。俺はみんなを助けにいくっ」
「ここはわたしたちに任せてくださいっ」
というグレア。
「大丈夫よ、異世界召喚者くらいなら、わたしたちだって倒せる」
というのはエルマ。
「きゅううううううう」
というのはアークスライム。
「ああ。こいつらを倒すのはオレたちに任せろっ」
というエレン。
「ああ。オレはもともとそのつもりだ」
というのはゾーイ。
「いってこいっ」
というノスカー。
「頑張って、サトウくん。サトウくんならなんでもできるよ」
というのはサックだった。
「ああ。いってくる」
というのはオレ。
「いけっ」
というのはアレク。
「じゃあお前ら頼んだぞ」
「お前らサトウのことを見ている場合かよっ。こっちにはオレたちがいるんだぜっ。オレたちがいることを忘れるなっ」
というのはゾーイ。
「オレたちは異世界召喚者を倒すっ。オレはA級の冒険者、ノスカーだっ」
と、ノスカーは言ってショウヘイに向かっていった。
「オレは異世界召喚者のショウヘイだっ」
ショウヘイは眼鏡をくいっとおさえると、そう言った。
そしてオレは悲鳴が聞こえてくるほうへと向かっていた。
村娘の悲鳴が聞こえてくる。
オレは村人の悲鳴が聞こえたところまでやってきた。
地面には血が広がっている。
血の上には、村娘が倒れている。
このままでは村娘は死んでしまうだろう。
村娘のヒットポイントを回復してあげないといけない。
だが周りには兵士がいる。
周りには兵長がいる。
オレは村娘のヒットポイントゲージを確認する。
よかった。
村娘のヒットポイントは残っている。
村娘のヒットポイントゲージは赤い色の状態ではあるが残っている。
赤い色の状態ならまだ死ぬことはない。
だからヒットポイントゲージが少しでも残っているのを見るとほっとする。
ヒットポイントが少しでも残っていれば大丈夫だ。
ヒットポイントゲージが完全に失われると、それは人の死を意味するが。
オレは周りを見た。
敵がいなければ、この村娘のヒットポイントゲージを回復魔法を使ってヒットポイントを全回復すればいいだけなのだが、敵がいると話はかわってくる。
村娘を回復魔法を使って先に助けるか、それとも兵士を最初に殺してから、村娘を助けるべきか。
敵の兵士の数は七体。
敵の兵士がオレの周りにいる。
七体の兵士は村娘を狙ってぐへへと笑っている。
兵士LV42
兵士LV43
兵士LV44
兵士LV45
兵士LV46
兵士LV47
兵長LV48
「これからお前はひどい目にあう。死んだほうがいいと思うほどな」
「終わったら、次はオレの番だからな」
「ああ。すぐにすむから待っていろ」
兵士たちは村娘を狙っている。
村娘はといえば、なんでこんなことになったのかと思っているだけだ。
まずは敵を殺すか。
回復魔法で村娘を回復している場合ではないな。
オレは七体の兵士を一撃で殺した。
オレの顔には兵士を殺した血がついている。
村娘の顔にも、兵士の血がついていた。
村娘は言った。
「あ、サトウさん……サトウさん、どうしてこんなことになったんでしょうか?……なんで……どうして村に城の兵士が……」
「すまん。全部オレのせいだ」
「?」
その理由はオレがこの村に来たからなんだ。
オレは兵士をすべて倒したので、回復魔法を使って村娘のヒットポイントを回復してやる。
「ヒール、ヒール、ヒール!!!」
ヒールという回復魔法で村娘のけがが一瞬で全回復する。
顔についた血もいつの間にか消えていた。
敵を倒したことだし、ほかの村人を助けにいかなくちゃいけない。
ユイカ、ミリカのことも助けにいかないといけない。
「すまん。オレはもう行く。オレは全員を救いたいんだっ。あとはそこにいる奴らにでも助けてもらってくれ」
「サトウさん、待ってください。サトウさん、行かないでください。わたしのことを守ってください、サトウさん」
といってオレにすがりついてくる村娘。
オレは言った。
「すまん。オレはもういかなくちゃいけないんだ。ほかのやつらも助けなくちゃいけないんだ。家の中にでも隠れるか、味方の後ろにでも隠れていてくれ」
オレはゴブリンたちのことを指さす。
「も、モンスターが味方?」
「ああ。あのモンスターたちは俺の仲間だから」
村娘は言った。
「嫌です。ゴブリンに助けてもらうだなんて……あんな魔物に助けてもらうだなんて」
という村娘。
だがオレはほかにも助けなきゃいけない人たちがいるんだ。
この子だけを助ければいいわけではないんだ。
だからオレは言った。
「すまない。この村にいるゴブリンは味方なんだ。死にたくなかったら、ゴブリンに守ってもらえ。あとは頼んだぞ、ゴブリンたち」
「主様、お任せください」
うやうやしく礼をするゴブリンたち。
「待って。待ってください、サトウさん」
村娘がそう言ったが、オレは村娘の言葉を無視して、ほかの場所へと進んでいった。
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