第101話

 オレたちは作戦会議を始めた。

 まず決めることは村に配置するメンバーの場所である。

 敵が大軍でなければ、味方の配置場所なんてものは適当に決めればいいのだけれど、今回は村に守るべき村人が配置されている戦闘になる。

 その村人は敵の兵士に狙われる。

 敵兵が村人を倒すのだけはなんとしてでも防ぎたい。

 もし村人が敵兵に倒されると、それは村人の死を意味するからだ。

 オレは村人を、味方のプレイヤーを誰一人死なせずに、今回の戦闘に勝ちたいと思っていた。

 大賢者、誰一人死なせずに、今回の戦闘に勝つ方法はあるか?

 無言。

 誰一人死なせずに勝利することは難しいのだろうか。

 少しの間のあと、大賢者は言った。

 誰一人死なせずに敵に勝利する方法はあります。

 ですがその方法は難しいです。

 という大賢者。

 主様、何人か村人は死んでもいいでしょうか?

 という大賢者。

 ダメだ。

 とオレはいった。

 オレはただの村人であっても、村人を誰一人として死なせたくはない。

 村人が死ぬということは、村人でなくてもだが、人が死ぬことによって悲しむものがいるということだ。

 だから誰かが死ぬことはできれば避けたかった。

 敵兵の死についてまで避けることはできないがな。

 わかりました。

 という大賢者。

 大賢者は言った。

 主様、今回の戦闘について重要なのは、主様が女性メンバーを助けることです。

 ですから主様は、女性メンバーがどこにいるかを考えてから、自分の配置場所をお決めください。

 自分の配置場所か。

 俺はどこの位置にいようか。

 それを考える。

 アークスライムはアイテムボックスの中でゲームをやっている。

 アークスライムはアイテムボックスの中で24時間ゲームをやり、アイテムボックスにある素材を捕食している。

 誰かこの頭のおかしいスライムをどうにかしてくれっ。

「みんな、マップを見てくれ」

「マップってのはこれのことか?」

 そこには敵軍が配置されたマップが置かれていた。

 それは光魔法でオレが作ったものだ。

 オレが敵兵のフィギュアだったり、敵兵の模型を光魔法で作ったものだ。

 そのフィギュアはみんな割とよく似ている。

 敵兵の数は五万だが、敵の数はフィギュアが三十体にしている。

 さすがに五万ものフィギュアを用意するのは大変だからな。

 その光魔法で作られたマップには味方の軍勢と敵軍がいる。

 その数は合計で六十体くらいだろうか。

「って、この村の中にいる、ゴブリンってのはなんだ?」

 というのはトール。

「そのゴブリンは、オレたちの味方だ。今回の戦闘では圧倒的にこっちの戦力が足りないから、オレはゴブリンキングのスキルを使って、仲間のゴブリンを呼ぶことにした。ゴブリンに助けを求めることにした」

 敵が大軍を連れてくるなら、こっちも大軍、ゴブリンを呼び寄せるだけだ。

「サトウ、お前、もう人間じゃなくなってるな。化け物みたいになっているな」

 というのはトール。

「ああ。オレも最近は自分が魔物化しているとそう思っている」

 ノスカーは言った。

「オレの配置場所だが……オレはこの異世界召喚者のところに配置してほしい。オレは強いやつと戦いたい」

「わかった」

 ゾーイは言った。

「オレも異世界召喚者と戦いたいぜ」

「ならゾーイもここな」

「サトウさん、わたしたちはどこにいればいいですか?」

 紅蓮の炎のメンバーも、グレアもどこにいればいいか聞いてくるので。

 俺はそのことを大賢者に聞いた。

 大賢者は言った。

 今回のクエストは難易度が特に高いのです。

 人が死ぬ可能性があるクエストですので、気を付けてください。

 わかった。

 オレは新しいスキル、敵の行動を3ターン行動不能にする能力を手に入れていたので、その能力を使って、村人、つまりはユイカとミリカを助けにいくことにした。

 頑張ってください、という大賢者。

 なんというか、今回のクエストはオレがやたら忙しく動き回る感じか。

 そして戦闘マップにはユイカ、ミリカ、ゴブリンスレイヤーのリョウコ、ほかのゴブリンスレイヤーのメンバーの名前もあった。

 スライムスレイヤーの名前もあった。

 オレは今回は彼女たちも敵兵から守らなければならないようだ。

 敵の兵隊から、冒険者以外の村人まで守らないといけないようだ。

「異世界召喚者との戦闘か」

「なんかわくわくするぜっ」

 といっているのはノスカーとゾーイだった。

「今回の戦闘はオレは絶対に活躍してみせるっ」

 というのはエレン。

「オレだって」

「僕だって」

 というのはアレクとサックだった。

「私も村のみんなを絶対に守るわっ」

 というのは、エルマであった。

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