第71話
グレアとともに串肉を食べ歩きながら歩いていると声をかけられた。
そのメンバーは紅蓮の炎のメンバーだった。
エルマ、エレン、アレク、サックの四人だった。
「なんだお前ら、珍しい組み合わせだな」
「サトウこそ。クエストをしないで、村をぶらぶらしているなんて珍しいじゃないの。って……あなた、本当にサトウよね?」
なんだがオレが別人なのか、それとも本物なのかわからなくなっているエルマ。
いや、オレは本物だぞ。
これは回復魔法を使って、髪の毛を回復させただけだ。
オレは言った。
「まあたまにはこうやって誰かとお出かけするのもいいかと思ってな。今日はグレアと一緒に食べ歩きをしていたんだ」
「サトウはいつもいつもクエストばかりやっているものね。たまには休むのもいいわよね」
というのはエルマだった。
オレは確かにクエストばかりやっている。
エルマは言った。
「サトウ、サトウも良かったらだけど、これから一緒にギルドマスターのところに行かない? 今日は私たちはギルドマスターに呼ばれているのよ。特別なクエストの依頼をしたいって。Sランクパーティーになるための特別なクエストだって」
「まじっ? いくに決まってんだろ」
オレたちは紅蓮の炎のメンバーとともに、冒険者ギルドのギルドマスターの部屋までいく。
エルマがギルドマスターの部屋をノックすると、言った。
「ギルドマスター、紅蓮の炎のリーダー、エルマです」
「入れ」
という渋い声がして、オレたちはギルドマスターの部屋の中へと入る。
部屋の中にはギルドマスターがいる。
前よりも真面目な顔をしたギルドマスターがそこにはいた。
「今日は紅蓮の炎に頼みたいクエストがあるんだ。このクエストは難しいから、クリアできないなら無理をしてまでやる必要はない。ただクリアすることができたら、Sランクのパーティーとしての資質は認められたということにはなるのだが……」
ギルドマスターは渋い顔をしながら言った。
いつもよりも真剣な顔をしているギルドマスター。
「その特別なクエストとは、Sランクパーティーに昇格するためのクエストとは、ダンジョンにいるモンスターの調査だ。聞くところによるとダンジョンのモンスターのレベルが最近は上がってきているらしい。ダンジョンの下層までのモンスターの調査を紅蓮の炎に頼みたい。ただしクリアできないとそう思ったら、すぐにでも撤退をしてほしい」
というギルドマスター。
「わかりました、その調査、わたしたちにお任せください。絶対にわたしたちがクリアしてみせます」
というエルマ。
「任せたっ」
という感じで、ギルドマスターからの依頼は終わりだったようだ。
それでオレたちはギルドマスターの部屋をあとにする。
紅蓮の炎のメンバーはこれから酒場に向かうというので、オレとグレアはそこで紅蓮の炎のメンバーと別れもうちょっとだけ村を見て回ることにした。
さて、グレアは串肉が好きだから、また出店にでもいって串肉でも買おうかと思ってグレアと一緒に歩く。
そこには串肉のお店以外にもいろいろな出店が出ている。
アクセサリーを置いている出店もある。
グレアは食い意地がはっているから、串肉に食いつくかと思っていたが、今回はそうではなかった。
珍しいこともあるものだな。
アクセサリーショップの出店のアクセサリーを見ているグレア。
アクセサリーがほしいのだろうか?
デザインのいい指輪を見たり、やたら高そうなネックレスを見たりしているグレア。
まさかそれがほしいのだろうか?
「グレア、それがほしいのか?」
と聞くと、
「ううん。別にそういうわけじゃない」
というグレア。
「ほしかったら買ってやるぞ」
というと、
「ほんとう!? やったあ」
といって、グレアは赤い色の宝石がついた指輪を手に取った。
「グレア、これがほしいっ」
「おう。それじゃこれください」
オレはアクセサリーショップのお姉さんに指輪の値段を聞き、銀貨七枚を支払った。
「サトウさん、見てみて。これ、どう? かわいい?」
「おう。よく似合っているな」
オレは嬉しそうに手に指輪を装備したグレアを見て、オレまで嬉しくなった。
そしてグレアは手に付けた指輪を宿屋に帰るまでの間、何度も何度も何度も、飽きるくらいその指輪をオレに見せつけてきた。
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