第64話

「グレアちゃん、今日はこのくらいにする? もう十分にゴブリンを倒して経験値も手に入れたし、日銭も稼げたし、ゴブリンの素材も手に入れたし、グレアちゃんが強いことはもう十分にわかったし、そろそろ今日は終わりにしましょうか」

 というエルマ。

 いや、オレたちはまだまだいける。

 オレたちはこんなもんじゃない。

 もっともっと強いはずだ。

 S級のパーティーになるには、これくらいのモンスター討伐数では足りないだろう。

 もっともっと敵の数を倒さないといけないだろう。

 もっと強い敵を討伐しないといけないだろう。

 例えばそう。

 ゴブリンキングのような……。

 とオレはそう思っていたら。

 グレアは言った。

「ううん。わたしはまだまだいけるっ。大丈夫。私たちはS級のパーティーを目指しているんだから。まだまだわたしは疲れてはいないっ」

 とグレアは言った。

 S級のパーティーを目指すなら、モンスターは大量に倒したほうがいい。

 しかもそのモンスターはできるだけ早い時間で、短時間で倒したほうがいい。

 討伐する時間を短くすることも、S級のパーティーを目指すなら必要なことなのだ。

 グレアは言った。

「サトウさんもそう思うよね? わたしはもっとできるよね? こんなもんじゃないよね?」

 と、グレアが聞いてくるので。

「おう。そうだな。つうかオレ、まだ敵と戦ってないぞ。ゴブリンと戦ってないぞ。少しはこっちに敵が来るようにしてくれてもいいんだぞ」

 とオレは返事をした。

 エルマは言った。

「はあ……あんまり初日から気合入れすぎたら、明日から身が持たないわよ。クエストは今日だけじゃないのよ。明日からもクエストはあるんだし」

 というエルマ。

 あきれたような、そんな困ったような顔をして言うのはエルマ。

 グレアは言った。

「でもわたし、モンスターを倒すのが楽しいの。クエストをやるのが楽しいの。修業をするだけでも楽しかったけれど、サトウさんと一緒に、冒険をするのが楽しいの。だからまだ魔の森から帰りたくない。もっとモンスターを討伐したいっ。もっとわたしはモンスターを討伐したいっ」

 というグレア。

「そうね。じゃあもうちょっとだけ頑張りましょうか」

 というエルマ。

 と、モンスターが出現する。


 ゴブリンナイトLV23

 ゴブリンナイトLV25

 ゴブリンメイジLV27


 が出現する。

 お、さっそくモンスターが現れたか。

「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 という声を上げて、襲い掛かってくるゴブリンナイトLV23。

 ゴブリンナイトLV25。

 ゴブリンナイトLV27。

 グレアは風の魔法の詠唱を始める。

 グレアの周りに風が吹き始める。

 グレアの周りに風が集まり始める。

「ウインドカッター」

 ゴブリンナイトLV23が上空へと運ばれていく。

 そのゴブリンナイトの身体は風の魔法によって切り刻まれる。

 ゴブリンナイトLV25が上空へと運ばれていく。

 そのゴブリンナイトの身体は風の魔法によって切り刻まれる。

 ゴブリンナイトLV27が上空へと運ばれていく。

 そしてそのゴブリンナイトの身体が風の魔法によって切り刻まれ、そしてその身体が上空から落ちてくる。

 ゴブリンナイトの身体が上空から地面に落ちてきた。

 ゴブリンナイトの持っていた剣が地面に突き刺さっていた。

「!」

「!」

「!」

「!」

「!」

 またか。

 こいつはまた一人でゴブリンを倒したのか。

 ゴブリンナイトまで一人で倒してしまったのか。

 という顔をしているのは、オレ、アレク、エレン、サック、エルマの五人。

 まただよこの子。

 この子強すぎるよ。

 どんだけ強いのこの子。

 チートだろ。

 これってチートだろ。

 チートすぎるだろ。

 という顔をして、後ろからグレアのことを見ているオレたち。

 いや、頼りがいのある仲間は嬉しいのだけれど、強すぎる仲間ができることは嬉しいんだけれど、これはなんだか強すぎるな。

 チートすぎるな。

 魔法を使ったら、敵が一瞬で全滅する。

 敵が一瞬で全滅してしまう。

 そんなレベルのチートだった。

 獣人族強すぎだろ。

 なんでそんなに強いんだよ。

 というレベルで強すぎた。

 グレアはゴブリンナイトを倒すと、先へと進んでいった。

 オレたちはグレアに続き、さらに奥へと走っていく。

 さらに奥へと進んでいく。

 奥にいるモンスターを探して。

 奥にいるゴブリンキングを求めて。

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