第63話
魔の森の中心地は次から次へとゴブリンが出現する。
「またゴブリンかっ」
「モンスターを倒すのはわたしに任せてくださいっ」
というグレア。
魔の森では、魔の森の中心地では、ゴブリンが次から次へと本当によく出てくるモンスターである。
まあゴブリンを討伐すれば日銭を稼ぐことができるし、レベルを上げるから、ゴブリンがたくさん出現しても別にそんなに悪いことでもないのだが。
ちなみにである。
グレアが倒したモンスターの経験値はオレたちにも入る。
グレアが討伐したモンスターの経験値は、オレたち紅蓮の炎のメンバーにも入る。
一番活躍したグレアの経験値が高く入り、そのあとにその他のメンバーで経験値を分け合う、という形になる。
出現したモンスターは、ホブゴブリンが二体だった。
ゴブリンが八体だった。
ホブゴブリンLV52
ホブゴブリンLV54
ゴブリンLV20
ゴブリンLV22
ゴブリンLV24
ゴブリンLV26
ゴブリンLV28
ゴブリンLV30
ゴブリンLV32
ゴブリンLV34
「マジックポイントは大丈夫か? グレア」
というのはオレ。
オレはこぶしを構えて、そう言った。
「大丈夫です。この程度の相手、わたし一人で倒せますっ。倒してみせますっ」
というのはグレア。
「まあ威勢がいいことは悪いことではないんだが……マジックポイントは使えば使うほどなくなるからな……使えば使うほど消費するからな……それだけは注意しろグレア」
「はい」
というグレア。
「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
という声を上げながら、ゴブリン八体が、ホブゴブリン二体が、勢いよくこちらに向かってくる。
グレアは魔法の詠唱を始める。
風の魔法の影響で、グレアの髪が揺れる。
グレアの髪が風によって乱れている。
「ウインドカッター」
またグレアの魔法である。
グレアの風の魔法。
このグレアの風の魔法は強すぎるのである。
敵のゴブリンを全体攻撃でしかも一撃で倒してしまうのである。
空に打ち上げられたゴブリンは、その身体を切り刻まれ、そして地面にその身体をたたきつけられるのである。
空から落っこちてくるのは、ホブゴブリンの胴体。
ホブゴブリンの頭部。
ゴブリンの手。
ホブゴブリンの足。
おいおいおい。
獣人族強すぎるだろ。
獣人族やばすぎるだろ。
もうこれ獣人族に全部任せておけばいいんじゃねえの、というレベルで獣人族は強かった。
強すぎた。
ほかのメンバーもなんなのこの子、ちょっとおかしいんじゃないの? とそんな顔をして、グレアのことを見ている。
チートだろ。
これってチートだろというような顔をして、みんながグレアの背中を見ている。
それは強すぎるグレアに対して、一撃で敵を倒せてうらやましいなと思うような、むしろ恐れるような、そんな顔だった。
地面にうち落されたゴブリンの身体を見て、ホブゴブリンの胴体を見て、オレたちはそんなことを思うのだった。
グレア以外のメンバーは、みんなそんなことを思うのだった。
グレアは別に普通のことをしている。
わたし、何かやっちゃいました?
みたいな顔をしている。
ちょっとグレア、お前一人だけ強すぎないか?
周りのメンバーが暇なんだが?
戦闘をする必要がなくて、暇すぎるんだが?
もうちょっとオレたちにも敵モンスターが襲ってくるようにしてくれてもいいんだぞ?
少しくらいはそのことについて考えてくれてもいいんだぞ?
とみんなそんな顔をして、地面に落っこちてくるゴブリンの死体を、ホブゴブリンの頭部を見ていた。
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