第27話
オレは冒険者ギルドでミリカさんからクエスト報酬をもらった。
ロック鳥を討伐した報酬は金貨一枚。
そして討伐したモンスターはロック鳥だけではなく、ゴブリンもいるから、合計は金貨一枚と銀貨六枚ほどの稼ぎとなった。
Fランクのモンスターを討伐するとこんなに報酬がもらえるのか。
ロック鳥一体で日本円にして一万円。
ロック鳥を二十体倒したら、二十万ほどの稼ぎになる。
もっともっと強くなってもっとお金を稼ぎたい。
そんなことを思いながら、いつの間にかオレは宿屋で眠っていたらしい。
気が付いて起きたときには宿屋のベッドで、オレはいつの間に眠っていたのだっけ、とそんなことを考えながら、オレは辺りを見回した。
ここは宿屋のベッドである。
そしていつもと変わらない朝である。
だがロック鳥と戦った時にできた傷はいつの間にかもう治っていた。
宿屋で眠ったためかヒットポイントが全回復したのだろうか。
と、ユイカがいつものように部屋に入ってきた。
「おっさん、朝ですよー」
といって、片手に料理を持ち、入ってくるユイカ。
「おっさん、昨日は大変だったみたいですね。傷だらけで帰ってくるからびっくりしましたよ。とても心配したんですからねっ」
というユイカ。
まあオレは昨日どうやって宿屋に帰ってきたか覚えていないから、何が大変だったのか、どのように大変だったのか、ロック鳥を倒したあとどうやって村に帰ってきたのか、それすら覚えていないのだが。
夕飯は食べたのだろうか。
そんなことだけ考えてみるが、やはり昨日のことは思い出せない。
よく思い出せない。
ああ。
でも今日も日課のクエストをやらなければならないと、オレは思い出したように、洗面所に向かった。
そして顔を洗い、ロック鳥のステーキをじっくりと味わってから食べ、そして慌てて冒険者ギルドへと向かう。
だがそのまえに、寄っていったほうがいいところを思い出した。
ハイポーションは冒険者ギルドで買えばいいのだが、やはりモンスターとの戦闘にはできるだけ優れた武器が必要になる。
優れた武器を購入するのもいいのだけれど、オレはまだ駆け出しのFランクの冒険者だ。
Fランクの冒険者だからあまり高い買い物はできないし、酒を大量に買い、飲むこともできない。
だから今使っている武器を強化し、ロック鳥などの強敵と戦っていくしか方法はない。
確か武器を強化してくれるドワーフのお店があったはずだったけれどどこにあるんだっけ?
そんなことを思いながら、オレは鍛冶屋のドワーフの店を探した。
あった。
あった。
ここがドワーフの鍛冶屋だ。
ドワーフの鍛冶屋はなかなか評判のいいお店なようで、冒険者ギルドの受付像であるミリカさんにも、このお店はお勧めのお店ですよ、ぜひこの鍛冶屋をお勧めします、ドワーフの鍛冶師がいい腕しているんです、と言われたことがあった。
今までは自分の力だけで戦うことができていたから、強いモンスターとは出会っていなかったから、強い武器が必要なかったのだが、ロック鳥と出会ってしまった以上、Fランクの強いモンスターと出会ってしまった以上、ここからは回復アイテム、そして少しでもいい武器を使うべきだろう。
というわけで、店の中に入る。
店の中にはドワーフのおっさんが店番をしているようだった。
オレと同い年くらいの中年のおっさんに見える。
「武器の強化をお願いしたいのですが」
「おう」
という返事をするドワーフのおっさん・ドレイク。
何をはなしても、
「おう」
「おう」
「おう」
としか返事がない。
ドワーフというのはこういう変わった生き物なのだろうか。
だが指でどの武器を強化する? と聞いてくるドレイク。
まあ武器の強化をしてくれるなら、まあ返事が変でもなんでもいいというように、オレはその防具の強化を頼むことにした。
その防具とは鉄の胸当て。
「おう?」
というクエスチョンマークのような声で、本当にその防具でいいのかときいてくるドレイク。
それはまさか本当に武器の強化をしてもよろしいですか?
というようなことを言っているのだろうか。
ドワーフって変わり者が多いな。
まあ腕が確かなら、別にいいのだが。
「おう。この鉄の胸当ての強化を頼む」
「おう」
というドレイク。
ドレイクは指で三というマークを作っていた。
なんだ。
武器の強化に使うお金は、銅貨三枚だということだろうか?
銅貨三枚かかるということだろうか。
会話がないとなかなか話が通じないな。
銅貨三枚を支払うと、
「おう」
といって、首を横に振っているドレイク。
いや、何を言っているのかわからないから、普通に言葉をしゃべってくれ、と思いながら、オレは、
「もしかして銅貨三枚じゃなくて、銀貨三枚なのか?」
「おう」
どうやら武器の強化は銀貨三枚らしい。
たけえ。
たけえよ、武器の強化。
だがまあ仕方がない。
ロック鳥よりも強い敵が出現することもあるだろう。
銀貨三枚支払った。
と、ドレイクはようやく満足したのか、その値段であっていたのか、うんうんとうなずいたあと、武器の強化を始めた。
きんきんきん。
という音が鍛冶屋の奥から聞こえたあと、ドレイクがお店の受付へと戻ってくる。
「おう」
といって、鉄の胸当てLV2を渡してくれた。
鉄の胸当てLV2は防御力がプラス6上昇すると書かれてある。
「おう?」
もう一度防具の強化をしますか?
とドレイクが言った、ような気がした。
まあまだ防具の強化ができるのなら、やってもらったほうがいいだろう。
今の手持ちは金貨一枚、そして銀貨三枚である。
日本円にして一万三千円ほどである。
「おう。もう一回防具の強化を頼む」
というと、今度は手で6のマークを作った。
銅貨六枚というわけではあるまい。
武器の強化をするために、銀貨六枚のお金がかかるというのだろう。
生活するのにはお金がかかるのである。
うまい酒を飲みたいし、うまい飯を食いたい。
だから武器の強化だけにお金のすべてをかけるわけにもいかないので、なんせ回復アイテムであるハイポーションを少しかっておきたかったからだ、
「おうおう」
とオレもドレイクに釣られたようにして、手を横にふって、これ以上防具の強化をするのを断った。
「おう」
というドレイクの声をあとにして、オレは鍛冶屋の店をあとにすることにした。
それにしても変なドワーフがいたものである。
まああんな変なやつだけど、まあ鍛冶師としての技術が確かなら十分だろう。
おうおうとしかしゃべらない変なやつだけどな。
まあ武器の強化も終わったことだし、防具の強化も終わったことだし、冒険者ギルドにいって、ミリカさんからハイポーションを買おう。
そしていつも通りにモンスター討伐をしよう。
そう思って、オレは冒険者ギルドに向かって駆けだした。
サトウ 40 男
LV:8
STR:100
VIT:100
INT:100
DEX:100
AGI:100
LUK:1000
武術LV4 身体強化LV4
気配感知LV4
<スキル>
なし
<固有スキル>
まぶしい光
<加護>
太陽神の加護
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