第12話 欠陥品悪役令嬢、国を出る

 それから、解体を一日で終え、鱗の首飾り作りに1週間を要しました。出来上がった傍から、街の人に売りに出ていってもらいましたので、街の人が一気にいなくなることはありません。

 そして、解体した素材を国の各主要な街へ売りに行くついでに鱗の首飾りを売ってもらうのです。ですから、街の人達はなるべく高く売るために、売る場所が重ならないように話し合って売りに行く場所を決めていました。


 そう、地竜の鱗のお守りも一気に国中に行き渡るのです。


 街の人が素材を売って戻って来た頃には、冒険者ギルドに依頼した坑道内の魔物の討伐も終えていることでしょう。


 そして、私は必要以上にアルソスへの言葉を並べ立て、困ったらお兄様に相談するように念押しをしておきました。これだけ言っておけば今回のようなことは起こらないでしょう。

 これで、心置きなく国を出ていけるというものです。


「お嬢様、本当に国を出ていかれるのですか?」


 アルソスが泣きそうな顔で言ってきます。出ていきますよ。もう、決めたことですもの。

 私は御者台からアルソスに声をかけます。


「アルソスには感謝をしているわ。私では管理できない鉱山の管理をしてくれているのですもの「お嬢様〜」でも、連絡が途絶えて私利私欲にはしろうものなら、私直々に天誅を下しますから、肝に銘じておきなさい」


「ヒーーーー!!!」


 これだけ脅しておけばいいでしょう。


「アルソス。体には気をつけるのよ。それと、投資しないかっていう商人の話もよ。アルソス、元気でね。さようなら」


 私は手を振って別れを告げます。しかし、アルソスは別れの言葉を返してくれず、青い顔でガタガタ震えています。どうしたのでしょう?不思議に思っていますと、幌馬車はガタンと動き出しました。


「すみません、お嬢様ー!!ある商人からの投資の話を進めてしまいましたー!!」


 幌馬車が動き出してから言い出すなんて!!わざとですの!


「お兄様に早速相談しなさい!!そして、その詳しい事情を『ねこ屋さん』に投函しなさい!」


「はいーーーー!!」


 早速、お兄様への相談と『ねこ屋さん』が必要になっていました。本当に任せて大丈夫なのでしょうか。

 私はイライラと不安を抱えながら、ウイッダーの街をでていきました。


「ヴィ。心配なら、あの地に住んでもいいのではないのか?」


 私の隣で手綱を持っているシオンから、言われてしまいました。それも選択肢の一つかもしれません。でも、私は


「ねぇ、シオン。この国にいる限り私はヴィネーラエリス・ザッフィーロ公爵令嬢なのよ。別の国ではシオンに別の名があるように」


 私は厚い雲に覆われた空を見上げます。重たそうな空は今にも雪が落ちて来そうです。


「私がヴィとして過ごせたときはとても短かったわ。でもね、この生き方が私だって思ったのもその時期だったの。私はやっぱりヴィとして生きたいわ。シオンと一緒に」


 そう言って、隣に腰を下ろしているシオンにニコリと微笑みます。


「そうだな、ヴィを一人にしておくと次に何を拾ってくるか、わからないからな」


 なによ。私がいつも変なものを拾って来ているみたいに言わないで欲しいわ。それに、そこは私と一緒にいるって返事をしてくれるところじゃないの?


「シオン。その答えは10点です。ここは私と一緒に生きるって答えるのが正解よ」


「だから、なぜ一択なんだ?」


 え?それはもちろん。


「私がシオンからその言葉を聞きたいからよ」


 私はズズッと詰め寄って期待した目でシオンを見つめます。


「ヴィ。一緒にいるのは7年前から変わらないと思うが?」


 そういう意味じゃないのに!!私は期待した言葉が返って来ないことに、うなだれてしまいます。


「出会った頃のシオンは生きる意味を失っていたから、こういう生き方もあると、わざとシオンを連れて、あっちこっち行っていたの」


 そう、あれが食べたいから屋台に食べに行こうだとか、やっぱり王都の結界の核にドラゴンの魔石を使ってみるべきだと思って、ドラゴンがいるという山に登ってレッドドラゴンを討伐したり、お兄様が近衛騎士隊に入ることが決まったので、お祝いにオリハルコンの剣を贈ろうとして、オリハルコンの採掘に行ったり····あら?私って思っていた以上に自由に冒険者をしているわ。


「だ···だから、一緒にいるというよりも、私がシオンを連れ回していたの。でも、今は違うでしょ?シオンがシオンとしていてくれる事を選択してくれたから、シオンから言葉を聞きたいなぁって思ったのは駄目だった?」


 うなだれている姿勢から、上目遣いにシオンを伺い見ます。シオンは何故か空を仰ぎ見ていました。私の話は無視ですか!

 シオンは諦めたようなため息を吐いたあと、左手を私の腰に回し、私はシオンに抱き寄せられました。


「生きる意味をなくし、死ぬしかなかった俺に新たな名を与え、生きる理由を与えてくれたヴィとシオンとして共に生きることを誓おう」


 シオンはそう言って私に軽く口づけをしました。


「シオンー!!」


 嬉しさのあまりシオンに抱きつきます。


『ラブラブやな』

「ラブラブじゃのう」


 幌の荷馬車の中から含み笑いの声が聞こえてきましたが、私の心は嬉しさで満たされていました。



 それから2週間かけて、西の国境まできました。西の辺境都市でブラン爺がマルガリートゥム辺境伯爵に旅立ちの挨拶をしたいと立ち寄ったのですが、残念ながら王都に向かうため1週間前に辺境の地を立ったばかりだそうです。どうやら入れ違いになってしまったのですね。

 いえ、本当は寄り道もせずに普通のペースで馬車を進めていたら、会うことが叶ったかもしれません。


 実は、急ぐ旅でもありませんから、3日に一回は連泊をして丸一日自由な時間をすごして再び馬車で移動するということを繰り返していたのです。


 そして、日が経つに連れて、青い首飾りをつけている人を少しずつ見かけるようになっていました。竜の素材は希少で一般の人が簡単に手に入れることができないのですが、あの青い鱗の欠片でできた首飾りは安い値段で購入できるようにしましたので、興味本位で買っていく人がいるのでしょう。それに目をつけて高値で売る者も出てくるかもしれませんが、一斉にそれも大量に売り捌いているので、価値は下がって行くでしょうね。


 そんなことで、そのまま辺境都市を経て、国境の町アゴーニアまで来たのです。ここではそのまま国境を越え、隣国フォルトゥーナ国に入ってから、今日泊まる宿を決めるつもりなのですが····これはどういうことでしょうか?


「お嬢様。これは流石におかしいのぅ」


 冷たく凍える風が吹く中、御者台に座っているブラン爺からの言葉です。


『姫さん。これはあかんかもしれへん。別のところに行った方がええんちゃうか?』


 私と一緒に幌の覆いの隙間から顔だけ出したグリースの言葉です。


「ええ、一旦引き返して、別の町の関門を通りましょう」


 私はこの町から一刻も早く出ることを選択しました。そう、町の様子が異常だったからです。

 人の影は見当たらず、まるで生活の途中で慌てて姿を消したかのように物が散乱していたのです。


 馬車をUターンさせ、町を出ようというときにそのモノが現れました。


「おっそーい!どれほど私が待っていると思っているのよ!西に向かって行っている言って、私が到着して何日が経っていると思っているのよ!1週間よ!1週間」


 えーっと、どちら様でしょうか?ブラン爺の知り合いかと伺い見ても、ブラン爺は首を横に振ってきます。


 そうですよね。ここ数日晴天が続いておりましたので、雪が積もっていることはないのですが、肌を切るような風が吹いているのです。それなのに肩が丸出しの黒いドレスを着ているなんて、見ているこちらが寒くなってきます。

 あ、因みに御者台にいるとあまりにも寒く、長時間御者をするのがつらくなってきましたので、馬車馬も含めた範囲で私を中心に結界を張ることにしました。おかげでこの空間は常春のような状態です。


「ちょっと聞いているの!私が1週間も待ったと言っているの」


 ええ、聞こえていますよ。しかし、残念ながら私貴女が誰だか知りませんの。


「お嬢様。もしかしてアレが悪魔というモノですかのぅ」

『ワイもアレが人やと思われへんなぁ』


 私も元から人だとは思っていませんよ。なぜなら、黒いムチの様な尻尾は人には生えていませんもの。その黒いムチの様な尻尾はボロボロの布の塊をつかんでいるみたいで、ボロ布が人に見えなくもありません。


「ヴィ。あのモノがコラソン男爵令嬢か?」


 シオンが私の後ろから、人には思えない存在をコラソン男爵令嬢ではないかと言ってきましたが、あのパーティー会場でも言いましたが、コラソン男爵令嬢とはあのパーティーで初めてお会いしたので、ここで待ち伏せされるほど、仲がいいわけではないですよ?


「あ♡ヒュー様♡少し待っててくださいね、私がその悪役令嬢から解放してさしあげますからぁ」


 先程まで叫んでいた人ならざる存在が気味が悪いくらいに、ころっと態度を変えてきました。


「あら?ヒュー様?シオンの知り合い?」


 この場にヒューという呼び名の人物は一人しかおりません。しかし、シオンが不快だと言わんばかりの低い声で答えます。


「俺の名はシオンだ」


「ごめんなさいね。シオン」


 私はニコリと微笑みます。シオンとして生きる事を選んでくれたのですから、その名は必要のない名前でしたね。


「もう!私の前でいちゃいちゃしないでよね!」


 いちゃいちゃ?しておりませんよ?


「腹が立つー!!さっきから意味がわからないって顔をして!悪役令嬢とジイさんを殺しなさい!」


 どこかに向かって命令を出したコラソン男爵令嬢と思われるモノの赤い目が、異様な輝きを放ちます。そう、赤い液体でも流し込んだ様な目が異様に目を引きます。そう言えば、ピンク男爵令嬢の目は髪と同じでピンクでしたよね?


 そんなことを考えていますと、建物の間からワラワラと魔物が姿を現しました。ということは、もしかしてここの住人は魔物に襲われてしまったのでしょうか?

 私は疑問をピンク男爵令嬢に投げかけます。


「少し聞きたいのですが、よろしいかしら?」


「なに?この数の魔物に囲まれて命乞い?キャハハハ」


 確かに幌馬車を取り囲むように、多種多様な魔物がいますが、私から言わせれば小物ばかりです。それは、そこで準備運動をしているブラン爺に任せますよ。


「いいえ。命乞いはしませんが、ここに住んでいた方々はどうされましたの?」


「ふん!そんなもの知らない!ここにたどり着いたら既にこの状態よ!悪役令嬢が自分の命乞いより、ここの住人の心配?可笑しくて仕方がないってこのことね!悪役令嬢のクセに!キャハハハ」


 どうらや私がばら撒いたアズールの首飾りが功を奏したようです。しかし、先程から気になる言葉が····。


「悪役令嬢?」


 もしかして、私の事を言っていたりします?


「そうよ悪役令嬢!悪役令嬢のクセにいい子ちゃんぶって、何もしてこないって、NPCならNPCらしく自分の役割り通りに行動しなさいよ!このバグが!」


 あら?なんだか昔の記憶を刺激する言葉がありましたわ。ノンプレイヤーキャラクターですか。元々演技など出来ない私ですので、ごめんなさいとしか言えないわ。


 それにしてもブラン爺は楽しそうに魔物を駆逐していっていますわ。最近運動不足だと嘆いていましたもの。やはり、途中冒険者ギルドで依頼を受けるべきでしたか?


「ヴィ。何を言っているかまでは理解できないが、あいつヴィのことをけなしているよな」


「シオン。それは仕方がないわ。だって私は欠陥品ですもの。悪役令嬢を演じろと言われても無理なことよ?」


 バグ。そう私はこの世界でバグだったのですね。でもそのおかげで、楽しめていますわ。


 悪役令嬢物って断罪されるか断罪する話が多いですもの。人をおとしめて幸せになるって、それは自分の幸せが、おとしめた人の不幸の上に成り立っているということを心のどこかで思い続けているってことでしょう?そんな生活は疲れてしまうと思うのです。だっておとしめた人物がいつ復讐に来るか怯えて過ごすことになりますもの。

 ああ、ですからあのような話では二度とその地に踏み入れないように、容赦のない終わり方をするのですね。


「キー!!また、いちゃいちゃしている!!いい加減にしてよね!」


 ですから、いちゃいちゃなどしていませんよ?普通に会話をしているだけですよ?


「レギオンさま!悪役令嬢を殺しなさい!」


 ん?レギオン様ってどなた?

 コラソン男爵令嬢の言葉に応えるようにボロ布がムクリと動き出しました。


 ····なんと表現をすればいいのでしょうか?一番しっくりくるのが、ゾンビと言えばいいのでしょうか?


「シオン。アレって生きていると思う?」


「あの姿で生きている方がおかしい」


 ええ。そうです。生きている方がおかしいのです。

 その姿は首は横にポキリと折れており、目がくぼみ落ち眼球があるようには思われず、口から出たであろう赤黒い血の跡が滝のような線を描き出し、片腕がもげ、両足が歪に歪んでいるのです。

 そして、残った左手に剣を持っています。


 これは死者への冒涜ではないのでしょうか?それともこれ程の扱いをするほど、憎しみを抱いているのでしょうか?ですが先程敬称を付けて呼んでいたことから、逆に敬っている?

 頭が混乱してきました。


「アレ、どうしましょう?恐らく命令されて体を動かされているだけよね」


 多分どこぞかの貴族の令息なのでしょう。

 ボロ布は何となく光沢感があるように思えますし、顔立ちも···良さそうに見えなくもないですし、どこか見覚えがあるような、無いような?


「俺が斬り刻んで来よう」


「あ!それは···」


 私が止めるヒマもなくシオンは幌馬車を飛び出して行ってしまいました。でも···


「どこの貴族のご子息かわからない人を切り刻むのは駄目だと思うわ」


『ああなったら、切り刻もうが、真っ二つにしようが、変わらんのちゃうか?要はあの奇っ怪なねぇちゃんに、操られんようにすればええんや』


 言われればそうなのですが、ああ、剣が握られた左腕が飛んでいってしま···シオンさーん!左腕だけをそこまで細かく切る必要ないと思うわ。


「あれは、マルガリートゥムの孫じゃろ?マルガリートゥムと同じ色を持っておるしのぅ。シオンはお嬢様の髪を切った者を許せんのであろう?まぁ。この爺も一発殴っておきたいが殴るところも残らなそうじゃのぅ」


 ブラン爺、感心したような言い方しないで欲しいわ。確かにシオンは言葉通り切り刻んでいるけれど、そこまでする必要はないのよ?動けなくなればいいのだから。

 でも、ピンク男爵令嬢はなぜゾンビ令息よりシオンの方を見つめているのかしら?なんだか、イライラしてくるわ。


 ブラン爺が戻ってきたということは、幌馬車を囲んでいた魔物は倒し終わったのですね。周りに魔物という存在は一匹もいなくなってしまいましたわ。流石、冒険者の元Sランクです。余裕ですね。それもいい汗かいたと言わんばかりにブラン爺は清々しい笑顔で笑っています。


「ヒューさま♡ヒューさま♡私と一緒に行きましょ!ヒューさまは王様になるべき人なのに、弟からお父さんを殺した疑いをされているのよね」


 あら?これは駄目ですわ。私は慌てて幌馬車を降りて、シオンの元に向かいます。


「大丈夫。私、全部わかっているの。ヒューさまのお父さんを殺したのは、その弟と宰相だから、ヒューさまの持っている【精霊の心】を国に持って帰れば····え?」


 シオンは深々とピンク男爵令嬢の胸に剣を突き立てていました。


「黙れ」


 相当怒っているのでしょう。シオンの殺気が辺りに満ちています。


「どうして?ヒューさま。王様になれるのに」


 胸を刺されているというのに、普通に会話をしています。心臓を貫いても意味がないとわかったシオンは剣を引き抜き、ピンク男爵令嬢と距離をとります。


「王になることに価値はない。俺はヴィと生きると決めた」


「シオン!!」


 私はシオンの背中に抱きつきます。


「ヴィ。危ないから、下がっていろ。この女、気味が悪すぎる」


「私が気味が悪いってなによ!!そう、全てそこの悪役令嬢が悪いってことね!悪役令嬢!自らの手で死になさい!」


 ピンク男爵令嬢は私に命令してきましたが、残念ながら私には効きませんよ。己の欲の為に悪魔の手を借りていたと思われた王弟タルデクルム対策をしておりますからね。


「死になさい!!何よ!私の命令は何でも聞くのよね!」


 命令をする度に怪しく光っていた赤い目が波を打っているように見えます。


「シネシネシネシネ!!···うぎっ!」


 形が崩壊したように赤い目がどろりと溶けて流れてピンク男爵令嬢の頬を流れていきます。それに伴いピンク男爵令嬢の体が崩れていっています。何でしょうか、空気が抜けて萎んでいく風船と言えばいいのでしょうか?最後には赤い水溜りになってしまいました。


 身に余る力は己の身を滅ぼすとは、このことですね。このままだと、何が出てくるかわからないので、ピンク男爵令嬢だったモノとゾンビ令息だったモノは燃やしておきましょう。


「『浄化の炎』」


 白い炎が赤い水溜りと肉片を燃やしていきます。しかし、なぜ私は彼女から悪役令嬢と呼ばれたのでしょうか?


「宰相も裏切っていたのか」


 シオンからぽそりと声が聞こえてきました。ええ、私は王都に悪意を持って侵入してくる者にエスピーリト国の宰相がいることをお父様から聞いて知っていましたよ。


 実はシオンの連絡はきちんと届いたのです。エスピーリト国の宰相が何度か国交云々の話し合いを持とうと連絡をくれており、話し合いの場が持たれていました。しかし、宰相が王都に入れないため、いつも隣の街で行われていたのです。


 教えてあげなくて、ごめんなさい。そうすれば、こんな形で知ることはなかったですわね。


「シオン。国に送る物は後で簡単に送る手立てを教えてあげるから、まずは国境を越えて、宿をとって休みましょう」


 私はシオンが一番気にしている物の解決方法があると教えます。


「簡単に?」


「ええ、『ねこ屋さん』を改良すれば良いのです」


 そう言って私はシオンに手を差し出します。これから、どんな楽しいことが待ち受けているのでしょうね。

 シオンは剣を鞘にしまい、私の右手を握ってくれました。


 どんなところにも、一緒に行きましょね。


『寒いから、はよ入ってきいやー』


「あとでこの事はマルガリートゥムに連絡しておくかのぅ」


 そう、3人と一匹で。


 拾ったものは最後まで面倒をみますよ。


 これからどんな事が待ち受けているのでしょうね。でも、どんな事があってもシオンとブラン爺とグリースが居れば私は幸せですわ。例えこの先に『何で一作目の悪役令嬢がここにいるのよ!』なんて事を言われても···

 まぁ、その話はまた別の話ですわ。


 今の私はシオンの側にいることができて幸せですもの。








おまけ


本来の話

 母親が殺されたときにヴィネーラエリスは兄レーヴェグラシエに庇われ命は助かったものの、父親は溺愛する妻を亡くし、嫡男を失ったため、残されたヴィネーラエリスに辛く当たります。


『なぜ、お前が生きているのだ』と


 ヴィネーラエリスは願います。父親に認められる力を。己の存在を守る力を。

 それに魔王ルシファーが応えます。


『お前の心からの願いはなんだ』と


 ヴィネーラエリスは答えます。


『私を心からの愛してくれる人を』


 魔王ルシファーはその答えに可笑しそうに笑います。


『クククッ。お前を愛するモノか。では、お前には闇の力と強欲な配下を与えよう。この国をお前とその配下が治めればこの国の者達はお前をアイすることだろう』


 斯くして舞台は整った。


 悪魔となった王弟タルデクルム。

 魔王に闇の力を与えられ、王太子の婚約者となった公爵令嬢ヴィネーラエリス。

 その二人が王都を混沌に陥れるところに、闇を打ち払う光をまとった聖女ミリアと深く絆を結んだ仲間たちが力を合わせ巨大な闇に立ち向かっていくのです。


 そして、悪魔タルデクルム。悪役令嬢ヴィネーラエリスを倒し、王都は平和を取り戻しました。

 ですが、気をつけてください。魔王は新しいおもちゃを求めて人々に願いを聞いてきます。


『お前の心からの願いは何だ』と


_____________


 数ある小説の中からこの作品を読んでいただきましてありがとうございます。


 もしよろしければ、面白かった若しくは楽しめたと評価いただけるのであれば、最後にある☆☆☆をポチポチと押して評価いただければ嬉しく思います。よろしくお願いします。


 ここまで読んでいただきましてありがとうございました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

貴族としては欠陥品悪役令嬢はその世界が乙女ゲームの世界だと気づいていない 白雲八鈴 @hakumo-hatirin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ