第11話 欠陥品悪役令嬢、竜を狩る

 それから、一泊して昼前には、ウイッダーの街にたどり着きました。このウイッダーの街は私が所有している鉱山がある街なのです。

 その街の中心にある大きな屋敷の門をたたきます。普通なら幌の馬車なんて門前払いをされるところですが、御者台にザッフィーロ公爵家特有の天青色の髪の者が座っているのであれば別です。


 そう、私はウィッグをつけて、シオンに髪を結ってもらい、フードを外して御者台に座っているのです。


 そして、私は応接室で一人の人物と向かい合っています。その人物は深い森を思わせる青漆の色の短髪で、碧色の目をオロオロとさせ、猫背が更に猫背になっている男性です。

 因みに私は青と銀の色のドレスに銀の髪飾りをつけて、鉄扇をパシパシと手の平に打ち付けています。シオンはというと、ザッフィーロ公爵家の使用人の服装を身にまとって、私が座っているソファーの背後に控えています。



「どういうことなのかしら?アルソス」


 私は鉄扇をパシパシと手の平に打ち付けながら尋ねます。


「えっと。それがですね。なんと言っていいか」


「はっきりと言いなさい!街の人の話だと、鉱山の仕事がなく生活に支障が出ていると聞きましたのよ?」


 そう、私は街に入って、あまり街の活気がないのが気になり、一軒の食堂に入って客の話に耳を傾けていると、どうも鉱山に入れず仕事ができないという話でした。それも、今月の家賃が払えるだろうかという話が出ていたことから、ここ1ヶ月2ヶ月のことではないのでしょう。


 私が街で話を聞いたとわかったアルソスは大きなため息を吐いて、話を始めました。


「はぁ。実は地竜が坑道に住み着いてしまいまして、冒険者ギルドに討伐依頼を出したのですが、地竜と聞くと誰もが去っていってしまう始末なのです」


 その言葉を聞いて私は鉄扇をテーブルに叩きつけます。


「だったらなぜ一番に私のところに連絡をいれないの!この鉱山の所有者は私なのよ!」


「ひっ!あ、あの自分で解決できると思いまして」


「できないから、このようなことになっているのでしょ!地竜がいるとわかったのはいつなの!」


「4ヶ月前です」


 その言葉に頭が痛くなります。4ヶ月も放置されていたのですか。彼にこれから任せてもいいのか心配になってきました。


「わかったわ。地竜は私が始末します。ですが、私はこれから国を出ていきます。もし次にこのようなことが起こったら、お兄様に相談してください。わかりましたね」


 しかし、アルソスはガタガタ震え返事を返さないのです。


「返事は?」


「はいーー!!!」


「売上の配分は今までと同じで、私の取り分は冒険者ギルドの口座に入れること、緊急性のない連絡は定期的にこの『ねこ屋さん』に入れること」


 私は青い箱型の物をヒビが入ったテーブルの上に置きます。大きさは家庭用のポストぐらいでしょうか。それに投函口が開いています。


「『ねこやさん』ですか?」


 そうです。黒いねこの配達屋さんです。箱には黒猫の絵も描いていますよ。


「これに私の決済が必要なもの、半年ごとの売上。採掘量の経緯。という、いつも私に送っているものをここの開いている投函口に入れると、私のところに飛んで来ます。逆に私が投函したものは、この投函口から吐き出されます。わかりましたね」


「はいーーー!!!」


 不安は残りますが、アルソスに任せるしかありません。仕事はできる人なのですが、少し自信過剰というか、何でも自分でしようとしてしまうところがあるので、今回みたいなことがあると、何も解決できないという事態に陥るのです。

 ガタガタ震えているアルソスを放置して、屋敷をでます。地竜が坑道に住み着いたとなると、鉱夫を鉱山に入れるわけにはいきませんが、流石に4ヶ月放置は駄目でしょう。いいえ、今までアルソスなら恙無く鉱山の管理をしてくれていたからといって、報告を半年に一度にしていた私の怠慢が招いたことね。


「ヴィ。今から鉱山に行くのか?」


「いいえ、まずは宿をとりましょう。今からだと日が暮れてしまうでしょ?それにブラン爺に足場が悪いけど、ついてくるか聞いてみないと」


 片方の足が義足であるブラン爺には坑道は足場が悪すぎるでしょう。それにブラン爺の武器は大剣なので、狭いところで振り回すには適さないのです。




「残念ですが、爺はここでグリースと待つことにしようかのぅ」


 やはりブラン爺には坑道での戦闘は厳しいでしょう。


「それでは、お肉をたくさん取ってくるわ」


「ははは、それは楽しみにしておきますかのぅ」


 と言いつつ、ブラン爺は肉にかぶりついて、酒を流し込んでいます。ここ数日、移動していましたので、お酒を飲むのを控えてくれていたようです。

 駄目ですね。こうやって、移動だけでなく道中は数日の連泊することも必要なのですね。私はブラン爺に我慢を強いていたようです。



 翌朝私は坑道の入口に立っています。今日の私はもちろんドレスではなく、乗馬用の服を改造した冒険者仕様の服を着て、外套をまとっています。そして、腰にはいつもはない重みがあります。金に物を言わせて···ごっほん。冒険者ギルドの依頼を受ける事で得られた素材を使って、腕のいいという噂の職人に作っていただいた剣を携えています。


「ヴィ。俺が先に行こう。4ヶ月も放置されていたとなると、崩れているところもあるだろう」


 確かにそうですね。アルソスから渡された最新の坑道の地図に目を通します。そして、その地図に赤く丸がつけられた部分から入口までの道を指でたどってみます。いいでしょう。ここは【俺Tueee脳】を使うところです。


「『マップ機能』、『最終ポイントにピンを落とす』『ナビ開始』」


 すると透明な板の様な物が出現し、もらった地図よりも精密な地図が現れ、赤丸があったところと同じところに赤いピンが落ち、現在地から最終地点までの順路が示されました。流石私の【俺Tueee脳】です。


「それでいいわ。シオン。取り敢えず、最初に地竜が目撃された地点にいきましょう。地竜がどれぐらいの大きさかわからないけど、坑道は狭くて移動には不向きでしょうから」


 私はそう言って地図から視線を外しシオンを見てみますと、何だか呆れた表情をしていました。


「どうしたの?」


 何か問題でもあるのでしょうか。首を傾げていると、盛大なため息が聞こえてきました。


「はぁ。ヴィは何でもありだな」


「あら?それはどういう意味?私は何でもはできないわよ?」


 死んだお母様を生き返らすことは出来なかったですもの。

 シオンは納得できないという感じで、坑道の中に入って行きました。中は暗いので魔法で明かりを灯します。坑道の天井付近にある吊るされたランタンのようなものに次々と明かりが灯っていきます。これで遠くまで見渡せると思っていましたら、前方から軽い足音が複数聞こえてきました。姿から見るに狼型の魔物のようです。


「ヴィ。シルアウルフが5頭だ。倒していいか?」


 そう言いながら、シオンが腰の剣を抜きます。どうやら、鉱山の入り口は人が入らないように監視員を置いていたようですが、魔物の坑道への侵入までは頭が回らなかったようです。詰めが甘いですね。アルソス。


「構わないわ」


 私が返事をすると同時に、シオンは一番速くかけてきた狼の魔物の眉間に一撃を加えています。そして、2頭目の首を落とし、3頭目は蹴り上げ4頭目にぶつけ、二頭同時に切り裂いています。

 流石はシオンです。狼の魔物など余裕ですね。逃げ腰の5頭目も一撃で倒してしまいました。


 しかし、魔物が入り込んでいるとなると、蟻の巣状の坑道のどこに魔物が潜んでいるかわからないですね。これはマップ機能に付け加える必要があります。


「『索敵』」


 すると、地図上にいくつかの丸い点が浮かび上がりました。それが、微妙に動いているので魔物なのでしょう。そして、赤いピンを落とした側にも赤い点がありますが、それは動いていないようなので、もしかしたら、地竜はお昼寝中なのでしょうか?いいえ、それが地竜とは限りませんね。


 その後は小物の魔物ばかりで、全てシオンが倒してしまいました。私達が通らなかった場所にも赤い点がありますので、そちらはアルソスから冒険者ギルドに依頼を出してもらって討伐してもらいましょう。


 そして、3時間ほど坑道内を歩いて、赤いピンを落としたところにたどり着きました。


「シオン。ここから左の奥の方にいるみたいだけど、この場所は明かりの設置がまだだから、よく見えないわね」


 私とシオンは岩陰に隠れて坑道内を窺い見るますが、この場所は採掘中に突如空いた空間だそうで、明り取りのランタンは設置されていません。恐らくもとからここに洞窟があったのではないのでしょうか。

 そうなると、ここにいた地竜の寝床に人が坑道を繋いでしまったということでしょう。しかし、少し蒸し暑いような気がします。


 人とは身勝手なものです。元からいたものの存在が邪魔だと排除をしようとするのですから。人とは欲深い生き物です。この私も欲深いものです。

 私の生活の糧のため、この街の人の生活の糧のために、元からここを住処にしていたと思われる地竜を討伐しようとしているのですから。


「ここの空間内を明かりで満たすから、一気に終わらせましょう。一応聞くけれど、身体強化は必要?」


「必要ないです」


 シオンが嫌な顔をして答えます。


「2日後に動けなくなるのは御免被ります」


 ええ、一度シオンにも身体強化をかけてあげたことがありまして、2日後に謎の筋肉痛に見舞われベッドの住人にシオンもなったことがあるのです。2日後というのが微妙よね。


「では参りましょう『ライト』」


 私は腰の剣を抜き、光魔法で坑道内を光で満たします。光に満ちた坑道内はまさに幻想的でした。あまりの美しさに足を止めてしまいそうになりましたが、美しい洞窟の奥にいる山になっているモノに向かっていきます。

 この空間は青の色と緑の色で満たされていたのです。その色を発するものはアズライトとマラカイトのようです。その鉱石が洞窟内の壁面一面に満たされていたのです。ですから、この空間は青と緑しか存在しないのです。その奥で小山になっているモノも鱗が青く光に反射しているのです。


 山になっていたモノが私達の存在に気が付き、首をもたげます。目は退化してないように思えますが、顔つきはトカゲによく似ていますね。

 はっ!もしかして、地竜とトカゲを見間違えたということですか?まぁ、そういうことだったのですね。

 地竜と言うから身構えてしまいましたが、トカゲというならサクッと倒してしまいましょう。


 トカゲが長い尾を私とシオンに向けてムチのように振ってきました。シオンはその尾を避け、先に進みます。しかし私は剣を向かってくる尾に対して垂直に構えます。

 鱗をまとった尾と剣がぶつかります。ガガッと衝撃が腕に響きましたが、そのまま押し切ります。剣の刃が鱗を割り、肉に切り込んで行きます。そして、私の両脇を通って尾の先と切断した部分が飛んで行きました。


「Gyaaaaaaaaaaa」


 頭をもたげたトカゲは体を起こし、戦闘態勢になったのでしょう。体制を低くし、唸り声を上げ、牙をむき出しにしてきました。全長はクジラほどの大きさはありそうです。


 あら?牙?トカゲに牙はあったのでしょうか?まぁ、いいでしょう。


 青い鱗をまとったトカゲはしなやかな動きで地面を蹴り、シオンに前足を振り上げ、爪で攻撃を仕掛けてきました。


 ·····トカゲに鉤爪のような爪ってあったのですね。ああ、地面を掘るのにきっと必要なのでしょう。


 シオンは攻撃された前足を剣で弾いて、トカゲの首に剣を打ち込みます。しかし、角度が浅く横に移動され、致命傷には至りません。再びシオンが剣で攻撃をするも、今度は先程弾いた爪で受け止められています。

 あまり暴れると上の坑道にまで響いて坑道自体が崩れてしまうかもしれません。

 トカゲですか。そういえば、トカゲを飼うのにコック○ーチなるものを餌と····そうではなくて光熱費がかかると聞いた記憶が残っています。と、いうことは····


「シオン、戻って来て」


 私の言葉を聞いたシオンが攻撃をやめて、私の側に戻って来ました。


「ヴィ。思っていた以上に鱗が硬く、動きが俊敏だ。この地竜」


 あら、シオンまで地竜だと思っているの?これ、どう見てもトカゲでしょ?


「あら?シオン、簡単なことよ?」


 私は向かってくるトカゲに手をかざします。


「『氷点下20度』ぐらいでいいかしら?」


 適当です。なぜなら私の【俺Tueee脳】は優秀なのです。トカゲの周りの空気を冷やし体温を奪うイメージをすればいいだけなのですから。


 青く美しい鱗に白く霜が降りて来ています。表面の温度が下がってきているのでしょう。徐々に動きも鈍くなって、進んでくる速さも遅くなってきました。


 私はほどんど動かなくなったトカゲに近づき、両手で剣を構え喉元に剣を突き立てます。そして、最後にとどめの魔法を一つ。


「【ファイアストーム】」


 剣からほとばしる炎の渦が岩の天井をぶち抜きました。

 あ、···力加減を間違えましたわ。【俺Tueee脳】の魔法と違って、こちらの世界の魔法はちょっとコツが必要なのです。実はちょっと苦手なのです。ええ、天井に空いた穴を見ますと、嘲笑う月が私を照らしていた事を思い出しますので、余計に苦手意識があるのでしょうね。


 首が焼き切れ、事切れたトカゲを見ます。さて、これをどうしましょうか?


「ヴィ。大丈夫か?」


「ええ、動かなくなったトカゲにとどめを刺しただけだもの、怪我なんてしていないわ」


「ヴィ。これはトカゲじゃなくて。地竜だ」


「あら?でもトカゲでしょ?」


 私がどう見てもトカゲだと言うと、とても大きなため息を吐かれてしまいました。


「はぁ。ヴィ。ヴィが子猫だと言った猫はケットシーだったよな。小鳥だと言った鳥はフェニックスだったよな。子狐と言っていた狐はなぜ尻尾が9本あったのだろうな」


 私が間違っているというのですか!!はい、シオンさんの意見が正しいことは過去の私を見ればわかります。そうですか。これが地竜というものですか。

 再び視線を地竜に戻します。あ!いいことを思いつきました。


「はい!ヴィはトカゲが地竜と理解しました!では、シオン。早速これを持って帰って解体しましょう!」


「ヴィ。この大きさになると一日では解体できない」


 ええ。そんなことはわかっています。私は大丈夫だとシオンに言って、持ってきた袋にトカ···地竜の亡骸を入れていきます。入れるといってもそんなに大きな袋ではありませんよ。これは魔物の素材入れ専用の袋でこれも私の部屋ほどの広さがあります。今は何も入っていないので、クジラほどの大きさの地竜も猫型のロボットが持っている不思議ポケットのように吸い込まれていくのです。



 そして翌朝、私は鉱山の近くに街の人達を集めました。もちろん権力でと言いたいところですが、鉱山から降りてきてアルソスにお触れを出してもらいました。


『鉱山に住み着いていた地竜を討伐したので、解体のため手を貸してほしい。手伝ってくれた者には賄いと地竜の素材を渡す』


 というものです。

 賄いは、恐らく街中の人たちの手があったとしても一日仕事になるでしょうから、食べ物を提供するという意味です。

 地竜の素材とは、すぐに現金にはなりませんが、売ればお金が手に入るという意味です。


 家賃の支払いに困っているのであれば、お金になる物が解体を手伝っただけで手に入ることに興味を覚えるでしょう。ここは現金で報酬を渡すのではなく物で支払うというのがキモなのです。



 今日の私はウィッグをつけて、ドレスを纏い、貴族の令嬢らしい姿になっています。そして、私は集まってきてくれた街の人達に向かっていいます。


「皆様、安心してくださいませ、このトカ(お嬢様、地竜です)···地竜を討伐いたしましたわ」


 あら、ごめんなさい。シオン。

 小山のような地竜の上に立って、人々を見下ろします。本当に街中の人たちが集まって来てくれたみたいです。私が討伐をしたと言った瞬間、喝采が沸き起こり、『流石ヴィネーラエリス様だ』とか、『一昨日来られたばかりだったのに、もう倒したのか』とか、『始めから冒険者じゃなくて、ザッフィーロの姫君に頼めよ』とか色々声が聞こえてきました。本当に皆さん困っていたようですね。

 私は鉄扇をパチンと手のひらに打ち付けます。すると、皆さんの喝采が止まり、私の方に注目が集まりました。


「皆さんに集まってもらった理由の一つはお触れにあったように解体をしてほしいのです。肉や骨、牙、皮などは後で好きなだけ持って行ってもらって結構です。

 もう一つは鱗を剥いで後ろにある湖につけてほしいのです。そうですね、一晩でいいでしょう。それを細かくコインほどの大きさにして紐を通せば、珍しい青い鱗の首飾りが出来上がります。

 鱗は、浄化していますので、お守りとして売れるでしょう。この鱗の首飾りを皆さんで国中に売って欲しいのです。その儲けはすべて皆さんの取り分にしてもらって大丈夫です。

 鱗はたくさんありますから高い金額ではなく、庶民の方が買える値段でお願いしますわ。それから、首飾りを貴族の人が大量に欲しいと言ってきたら、それはすべてアルソスに回しなさい「え?」。皆さんにしてほしいことはこの2つです。お願いしますね」


 私は長々と街の人に行うことを伝えて、青い小山から降ります。


「お嬢様、私に貴族の相手は無理ですよ」


 そんな泣き言いうアルソスを無視して、私は背後にある湖に足を進めます。ここは鉱山から出た水を一旦溜める貯水湖になっています。普通なら鉱山から出た水など鉱毒が怖くて生活用水に使えませんが、私が討伐した光龍の珠を湖に投げ入れて、常に浄化をしていますので、ここの水は安全に生活用水として使えるのです。それも今では聖水かと思うほど、淡く光っているのです。

 その湖の側に行き、水の中に手を入れます。手にあたった物をつかみ取り、水から引き上げると、私の体より一回り小さい空色のきれいな透明な板が出てきました。

 地竜の鱗です。湖に浸ける前は透明度など全くありませんでしたが、浄化されたのでしょうか透明度がかなり上がっていました。


 私の鑑定さんで見てみると


『地竜(アズール)の鱗【浄化済】持ち主に危険が迫ってきたことを教えてくれる不思議な鱗。未来も見えちゃうかも?』


 地竜に名前があったのですか!名前持ちの地竜を私は倒してしまったのですね。


「ヴィ。どうかしたのか?」


 隣でシオンが声をかけてきました。


「問題ないわ。浄化も上手くいったので、もし人の意を操る悪魔が近づいて来ることがあれば、逃げるという選択肢が可能になったわ。まぁ、未来が見えちゃうかもって書かれてあるのが、少し心配ね」


「相変わらず、ヴィの発想には驚かされる。竜の素材なんて売って終わりだというのに、街の人々を使って売ってお金にしろって、普通は言わない。それも、人の意志を操るモノから人々が回避行動を取れる物なんて、普通は思いつかない」


「あら?シオン私は欠陥品なのよ?それに結界は王都で作ったときに懲りたわ。私の考えが甘かったって、私が力を補充しないといけない結界なんて、本当の意味では結界の意味をなさないもの」


 本当に私は欠陥品ね。



 補足:アズライトはインスピレーションの石だとか、喋る石と言われています。


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