第22話 決着
王はどこだ?
気を失っている翔風をおいて、僕は王の行方を捜す
みんなのことはもちろん心配だが、ここまでやって、奴を逃すのはあまりに不甲斐ない。
王の間をぐるりと見まわすと、明らかに一か所、絨毯に凸があった
血にまみれた絨毯を切り裂き、恐る恐るめくりあげると
「やっぱり……」
そこには扉があり、開くと地下につながる梯子があった。
僕は残っているクラスメイトにこの場を託し、そのまま飛び込んだ
梯子を下りるとそこには階段が連続してあり、僕は下って行く。
薄暗い通路に僕の足音だけが響く、明りになるものは持ってきたスマホぐらいか
この城を作った人は相当慎重な人物だったのか、通路の脇には奇襲用であろう、少しの空間があった。
しかし、そこに人は一人もいなかったが……
しばらく歩いていると、なにか赤色の液体がドロドロと流れてくるのが見え、僕は短剣を構えながら、恐る恐る近づく。
そして、僕が目にしたのは
すでに死んでいる、王と近衛兵であった。
しかも、すべての指がそぎ落とされた王の腕が、そこらに散らばっていて、近衛兵も凄惨な姿で殺されていた。
僕は不覚にも恐怖を覚えた。
とりあえず、一応王の存在は確認したため、俺は急いで来た道を駆け足で戻る。
これ以上の戦闘は流石に体が持たない。ここで相手に遭遇したら確実に負ける、その先に待ち受けるは死の一択。
情けないが、王の死の確認、それしかできることはなかった
皆のところに戻り僕が報告をすると、ワァァと歓声が上がる
実際、クーデターは成功した。幸い今確認できるクラスメイトは誰一人欠けていなかった。
僕は気を失っている翔風の肩を支えて王の間を……王城を後にする。
途中、ハボックさんと剣波と合流した。お互い満身創痍で支え合ってやっと歩いていた。
勝利を報告すると、ハボックさんはただ「そうか……」と言って微笑んだ
そうして、貧民街にたどり着いたが、そこで目にしたものは貧民街の人々の死体の山と、うめき声をあげて気絶しているクラスメイト達、そして、生きているか、死んでいるか分からないぐらいボロボロなまま倒れている蒼とその横でボロボロと涙を流し続ける若草がいた。
僕と剣波、翔風は急いで駆け寄り、息を確かめる
息はまだかすかにあるようだが、それも少しづつ弱くなるだけだ。
「
横では若草がずっとかけているのか、すでに魔法は出ていないがそう叫び続けていた。
後ろからハボックさんが寄ってきて
「MP切れか……これを飲んでからやってみろ」
そう言って差し出してきてくれた小瓶
「MPポーションだ、最上級の奴だが、ここまでくると足りるかどうか……」
多分、王城からとってきたんだろう。
それにしても、確かにこの重体の蒼に『
若草は一気に飲み干し、大きく深呼吸し、僕たちの祈りと共に『
まばゆい光が彼を包み込む。
結果は成功したようで、彼の息は少し穏やかなものになっていた。
しかし、次は悪夢でも見ているかの様に汗をぐしゃりとかきだし、息が荒くなっていた。
若草は蒼の手を握って、そのまま彼の上に眠り込んでしまった。
◇ ◇ ◇
俺が目を覚ますと俺らのための屋敷のベットの上にいた、右側には俺の手を握ったままスゥスゥと寝息を立てている若草がいた。
いったい何日寝ていたのだろうか、彼女の頬には涙が伝った跡があり心配させてしまったことは明白だ。
俺はとりあえず立ち上がろうとするが、全身が痛い。多分筋肉痛だが、何があったのだろうか。
「え…あ…え!」
彩が心配そうに入ってきて俺を見るやいなやそう驚きの声をあげた。それに誘われたかのようにドタドタとショウも入ってきた
「起きたんだな、アオ」
「あぁ、えっと、おはよう?」
「コノヤロー、心配させやがって!」
ショウと彩は目から大粒の涙をこぼして俺に抱き着いてくる。その音で若草も目覚め、俺の方をみて
「え…あれ?……ゆめ?」
そう言って、ほっぺを何度もつねった彼女に彩が
「アオが起きたよ!」
「じゃあ、これは現実?」
「うん」
「蒼くぅぅぅん!心配したんだからぁぁぁ」
彼女は誰よりも大量に涙を流して、俺の手を強く握る。
たぶん彼女が治癒して、今まで横にいてくれたのだろうな
――勝ったんだな……
いまさらだが気付いた俺はそれを噛みしめた
~完~
あとがきタイム
どうも、薄明です。
えっと、前も言ったかもしれませんが、改稿版出します。
続きはそっちで投稿するんでよろしくお願いします。
終わらせ方が雑なのはご愛嬌というか、あれよ、改稿版では頑張ります
で、質問です。
改稿版はかけたら投稿するタイプか、書き溜めておいて1章書き終わったら書き溜め分、毎日投稿のどっちがいいですか?
コメントで答えてくれたらうれしいです。
ここまでのご愛読ありがとうございます、これからもよろしくお願いします。
異世界の政治が気に入らないので国を乗っ取ります 薄明 黎 @singononote
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