アイロニー 🪶

上月くるを

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 生涯に千八百余編を執筆されたという、小川未明さんの作品をあらためて拝読してみますと、物語を途中で放り出し(笑)あとは読者に委ねる傾向が少なくない感じ。


 僭越ながら同じベクトルを目ざすヨウコさんとしてはまことに心強い限りですが、いくらなんでもここで投げ出されてもねえ……正直、そう当惑する場合もけっこう。


 そんな作品群で珍しく正統なエンディングに導かれている一編が『ある日の先生と子供』、ラスト一行に、思わず息を呑むような鮮烈な irony がこめられていました。




      🏫




 鳥かごのヤマガラを可愛がっている少年が、ある寒い朝、鳥にも冷たい水ではなくお湯をやれば小さな身体が温まるだろうと思いつき、器に湯気の立つお湯を注いだ。


 ヤマガラはふしぎそうに小首をかしげているばかりだったが、登校した少年がそのことを同級生に話すと「きみ、鳥にお湯などやったら死んでしまうよ」と言われる。


 慌てた少年が急いで家に帰ろうとすると「とうに水になっているよ」呆れられた。

 話を聞いた担任教師はみんなの前で少年を謗り、同級生を「頭がいい」と褒めた。


 顔を真っ赤にして屈辱に堪えた少年だったが、担任教師の言が誤っていたことは、後年、少年が「有名な優れた学者になったのでわかりました」というエンディング。




      🐦




 ハッピーエンドといえばこれ以上はないほどのハッピーエンドですし、小説作法に必ず出て来る「どんでん返し」のお手本と見なせば見なせなくもないのですが……。


 読後、ヨウコさんの胸に、なんとはなしのモヤモヤしたわだかまりが残りました。

 高名な学者でなくて、こころやさしいお百姓さんの方がよかったんじゃないの?


 日本童話界の大御所にモノ申すのも螳螂とうろうの斧めいて恐縮ですが、時代の価値観とか童話と教訓(個人的に苦手です)の関係性とか……いろいろ考えさせられました。




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 小川未明さんに直接の関係はありませんが、たまにふと思い出してもすぐに忘れるので(笑)タイミングよく気づいたいま、PSとして記させていただきますね。(^-^;


 ヨウコさんはよく、仕事で著名人と面識があったとか電話や手紙を交わしたとか、顔の広さ(デカさ( ;∀;))をヒケラカす傾向がありますが(笑)内実はアレでして。


 大方は芸術関係のクリエイターなので、一般常識など弁えなくて当然、むしろ弁えれば成功しない(笑)という世界、ましてこちらは仕事なので、愉快な記憶は☆◇。


 万人が絶賛する傑作を生みだしたご本人はもとより、そのご遺族(著作権継承者)との交渉では、いやというほど人心の裏を見てまいりました~。((((oノ´3`)ノ💦




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