ムキムキマッチョになりたくない! KAC20235

ながくらさゆき

桜色のチェックのスカート

私は受験生だ。

第一志望は桜餅高校。

まだできたばかりの高校で校舎も新しいし、

ここの制服は深緑色のブレザーに桜色のネクタイとチェックのスカートがかわいいんだ。


うちから5駅先で駅から自転車通学になりそう。

母にそのことを相談した。


「電車賃も駐輪場代もかかるから、近い高校を受けてほしいな。芋けんぴ女子高校にしなよ。伝統ある有名高校だし」

「やだ。桜餅高がいい」


お母さんは結婚してここの土地に来たから、昔からある芋けんぴ女子高しか知らないんだ。

芋けんぴ女子高は制服ダサいからやだ。


「うちから桜餅高は自転車だと1時間だよ。雨の日とか大変だよ」

「毎日自転車通学できるもん。それに高校生になったら彼氏ほしいから共学がいい」


母と一緒に高校見学に行くことになった。


「一人でも見学できるのに、どうして親と一緒に行かなきゃいけないの」

「親子で真剣に考えてほしいんじゃない?」


高校の先生が学校の設備を案内してくれた。

在校生の話も聞けた。

片道1時間自転車で通学してる生徒もいるそうだ。


「ほら、自転車通学いっぱいいるって」

「だから大変だってば。歩いて行ける芋けんぴ女子高にしなって」


自転車通学してる女子生徒と話させてもらった。


「1時間も自転車こぐなんて大変じゃないですか?」

「全然大丈夫ですよ。電車賃も浮きますし」


そう言ってる彼女の脚を見た。

格闘漫画の主人公のような太い太いムキムキマッチョな脚だった。

女子なのに。

桜色のチェックのかわいいスカートなのに。

こんな筋肉質な脚にはなりたくない。


「お母さん、私やっぱり芋けんぴ女子高にしようかな」

「えっ、どうしたの?」

「芋けんぴ女子高受ける」

「えっ、いいの? 女子高だから男子いないよ」

「芋けんぴ女子高はね、芋けんぴ高校っていう男子校と学校公認の交流会がしょっちゅうあるんだって。そこで彼氏見つける!」


私はムキムキマッチョな脚にはなりたくないの。









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