第22話権田、柊、早川の決意
翌日、出勤する柊。
「おはようございます」
「おはよう」
「柊さん、おはようっす!コーヒー飲むっすか?」
「あ、早川~ありがとう」
「おい!早川!お前は、何度言っても
何時も何で、柊に一番に聞くんだよ!」
「もう~権田さん、言ったじゃ無いですか」
「何を?」
「柊さんは、可愛いって!」
「は?」
「早川~本当に正直者なんだから~コーヒー
頼むね」
権田は
「早川、俺から見たら、お前は柊のパシリ
だぞ!可哀想な奴だな!」
「柊さんのパシリなら、喜んでやるっす!
は~い、入りましたよ!柊さんどうぞ
はい、権田さん」
「あ~美味しい」
「そうっすか?良かったっす!」
「お前達、二人はそうやって、一生やってろ!」
「え?一生やって、いいんすか?柊さん
いいっすか?」
「は?早川、仕事、仕事!」
「あ~はぐらかしたっす!」
「早川、お前は少し黙ってろ!」
「はいっす」
シュンタロウの早川は、自分のデスクに
座ってコーヒーを、飲みだした。
「柊、昨日、及川美弥さんに、会ったん
だろう?どうだった?」
「及川美弥さんも、お母さんも高井さん夫婦
が、亡くなった事に、大変ショックを受けて
ました、ただ」
「ただ、なんだ?」
「美弥さんは、全部分かってたんじゃ無い
かと、そして高井さん夫婦の死も、そんな
気がします」
「何か言ってたのか?」
「いえ、何も、私の勘ですけど」
「そうか~それで二人の事は、何て言って
たんだ?」
「普段の高井夫婦なら、絶対に考えられないし、あり得ないって、そして親によって
愛情の重さが、違うんじゃ無いかって言って
ました」
「愛情の重さ?」
「はい!普通100が満タンなら、愛奈さんは
1000、2000、いや、無限に愛されていたって、そして自分の事も、大切にしてくれて
あの三人の先輩が、自殺はおかしいから
自分が証言するって言うと、美弥さんを
巻き込めないからって、言ったそうです
高井夫婦と話をしていると、醜い事を考える
自分が嫌になるって」
「そんなに、凄かったのか?」
「みたいですね、あ~早川、高井夫婦の
経歴見せて!」
「はいっす!柊さん、どうぞっす」
「ありがとう」
経歴に目を、通し直す柊。
その経歴を見て、顔をしかめる柊。
そんな柊の顔を見て、権田と早川が声を
掛ける。
「どうした柊?」
「本当っすよ、鬼の様な顔をして、怖いっすよ!」
「早川~あんたは、一言多いのよ!
権田さん、高井夫婦は相当、優秀な人
だったんでは、ご主人も東大卒ですけど
奥さんは、東大にトップで入って首席で
卒業してますね!」
「何?東大を?」
「はい!そして二人は、卒業後、ご主人が
先に官公庁に就職して、後から奥さんも
官公庁に就職してますね、私、今日行って
来ます!」
「柊、今抱えてる事件は?」
「早川が居ますから、ね?早川?」
「はい!僕頑張るっすよ」
深いため息をつく権田。
そして、官公庁に行く柊。
二人の所属部署で、話を聞いて署に戻る。
「ただいま戻りました」
そう言うと柊は、デスクに前のめりに
倒れ込んでしまった。
「おい!柊?大丈夫か?」
「柊さん、薬を飲むっすか?」
「早川、お前は柊に、何の薬を飲ませる気なんだよ!」
「いや~痛み止めとかっすね」
「何をバカな事を、言ってんだよ!柊
どうした?」
「ちょっと、頭を休ませてください」
そう言って、柊はそのまま固まった。
その間、早川が何度も、生存確認に
行っては怒られていた。
起き上がると柊は
「あ~~~~~」
と、叫んだ。
「ビックリするな~お前は、何なんだよ
いったい!」
「わ~柊さんが、生き返ったっす!」
「早川、私は死んで無いよ!」
「死んでたのと、一緒っすよ」
「権田さん、二人の働いていた部署で色んな人達に話を、聞いたんですが、評判が良すぎて、あんなに頭がいいのに、偉そうな所が
全く無くて、新人や、他の人がミスをして
怒られて居ると、助けに入るらしいですよ
そして、同じ間違いをしない様に、自分の
仕事が有るのに、一から教えるそうですよ
何せ、犯罪には程遠い二人でした」
「そんなに、有能で人望も有ったら将来は
約束されてただろう?」
「はい!史上最年少で、管理職に付くと
噂が流れていたそうです、二人共に」
「ほ~」
「権田さん、これって私達が、愛奈さんの
遺体確認の時に、二人に会いましたよね?その時に、自殺じゃ無い、殺されたって
おっしゃってましたよね?私達がちゃんと
あの三人を捕まえてたら、二人は犯罪者に
なる事も、亡くなる事も、無かったんでは?」
「そうだな!確かに調べてくれと、頼まれたな!学校が、口止めしてても、もっと友人
関係とかを、調べるべきだったな!」
「はい!この犯罪は、私達が作ってしまった
物だと思うと、もう頭も胸も痛くて」
「柊…」
「柊さん…」
柊は又、デスクに顔を、埋めて今度は泣き
出した。
そんな柊の姿を見て、早川は大粒の涙を
流して居る。
その早川を見た権田は、ギョッとして無言で
あっちに行けと、手で合図した。
早川は、ボ~ット歩いて、ソファーに腰を
掛けた。
それから、どれ位経ったのだろうか柊が
起き上がった。
「私達は、あんな有能な人の知識を
完全犯罪に使わせてしまって、何て
勿体無い事を、権田さん、三人で高井家の
お墓参りに行きますよ!」
「え?」
「墓参りっすか?」
「え?じゃ有りません!行きます!そこで
私は、三人に謝って、誓います、もう二度と
同じ過ちを犯さないと!みんなもですよ!」
「あ~分かったよ!」
「僕も誓うっす!」
そして三人で、墓参りに行った。
まずは墓前で、犯人を迅速に、逮捕出来なかった事を謝る。
そして柊が
「高井さん、もう、どんなに謝っても遅い
ですね!でも、同じ鉄は二度と踏みません
約束します!私達が駄目な時は、天国から
迎えに来てください!それか、思い切り
叱ってください!それ位の覚悟で、これから
どんな事件にも、向かって行きます!
どうか天国で、家族三人仲良く暮らして
ください!もう誰も邪魔は出来ないでしょう
から、沢山の笑顔で愛奈さんと、過ごして
くださいね」
そして、深々と頭を下げた。
墓参りを済ませて、帰る三人。
「権田さん、早川!これから、徹底的に
事件に取り組みますからね!覚悟を決め
といて、くださいね!」
「柊、分かってるよ!もう、こんな事件は
嫌だからな!」
「僕は、柊さんに着いて行くっすよ」
「早川!お前は誰に着いて行ってるんだよ
バ~カ」
「権田さん、バ~カは酷いっす!でも犯罪に
いい、悪いは無いですけど、僕はあの高井
夫婦を憎め無いっすよ」
「お?早川どうした?」
「だって、やった事は酷いっすけど、人間て
欲深いから、普通2億以上のお金が有ると
自殺何かせずに、優雅に暮らすと思うんす
よね?気が変わると、思うんすけどね」
「そうだな!退職金迄、全部寄付するん
だからな、俺の刑事人生で、一生忘れる
事の出来ない、優しい犯罪者だな!」
「私達刑事が、こんな事を言ったら駄目です
けど、完全犯罪を成し遂げながら、心は
清らかなままの、犯罪者ですね!」
「そうっすね!」
「さぁ!署に戻って、仕事だぞ!」
「はい!」
「はいっす!」
署に戻る三人の、後ろの高井家の墓が
心なしか、光って見えていた。
____________________
最後迄、読んで頂き本当にありがとう
ございます。
悲しい、重い作品でしたが、本当に
現実に沢山、イジメが有るという事を
伝えたかったんです。
私達に出来る事は、自分の子供や周りの
子供達に、そんな事が無い様に言って
行くしか無いですね。
イジメる側にも、イジメられる側にも
ならない様に。
又、後日本当のタネアカシを、したいと
思います。
皆さんの応援、コメント、フォロー
レビュー、本当に感謝です。
凄く励みに、なりました。
ありがとうございます。
次回は、楽しい作品を書きたいと思います。
復讐の鬼_人の命を花びらに例えたあいつ達を許さない絶対に… aki @nyontyun
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