第21話及川美弥と柊
柊は及川美弥の家の、チャイムを押した。
「は~い」
美弥の母が、出て来た。
柊を見て、怪訝そうに
「どちら様ですか?」
「私、港署の柊悠里と申します」
「警察の方が、何の用事ですか?」
「亡くなった、高井歌保さん充さんに
ついて、美弥さんに話を聞きたいんですが」
「亡くなった?」
「はい」
その場に、座り込む美弥の母。
「お母さん!大丈夫?」
美弥が降りて来た。
「う、うん、何とか」
「あなたが美弥さん?」
「はい」
「亡くなった、高井歌保さん充さんの事を
少し聞きたいの」
「どうぞ、上がってください」
「お邪魔します」
リビングに座る、美弥と柊。
「亡くなったって、本当ですか?」
「うん、雪山で凍死して居るのを発見
されて」
「やっぱり、全部私のせいだ」
涙をポロポロ流す美弥。
「あなたのせいじゃ、無いでしょう?」
「あの日、私が愛奈の後を着けて、行かなかったら、愛奈は死なずに済んだかも」
「それは、どうなってたかは、今となっては
分からないけど、きっと、あなたを見て
愛奈さんは嬉しかったんじゃ無い?心配
してくれる友達が、居ると思って、だから
泣きながら、あなたに逃げろって言ったと
思うよ!」
「そうかな?」
「そうだよ!きっと」
「それで、おじさん、おばさんの事で何が
聞きたいの?」
「美弥さんから見て、高井歌保さんが愛奈さんを殺した、先輩を死に追いやったり
その両親を、殺したりする様に見えるかな?」
「あのね刑事さん、普段の二人なら、絶対に
無いと思うよ!でも二人は、本当に愛奈の事を大切にしてて、刑事さん同じ親でも愛情の
重さって違うと私は、思ってるんだ!愛奈は
多分100が満タンなら、1000、2000、ううん、無限に愛されてたと思うよ!それに
二人共、優しいの、私があの三人が殺人犯
に、ならないのは、おかしいって言うと
確固たる証拠が無いからねって、だから
私は証言するって言ったの、そしたら
これ以上、美弥ちゃんを巻き込めないって
言って、愛奈の分迄、沢山学んで、楽しんで
生きてって、言って、私が証言すれば愛奈は
自殺じゃ無くなるのに、私の心配をして
くれて……刑事さん、残念だね?」
「え?何が?」
「生きてる時の、おじさんとおばさんと
話が出来なくて!二人と話をして居ると
醜い事を考えている、自分が嫌になって来る
そんな二人の子だから、愛奈も何時も優しくて、真っ直ぐだった、私は、そんな愛奈が
本当に大好きだったし、おじさん、おばさんが、大好きだった」
「そうなんだ!そんなに凄い人達だったん
だね?」
「うん!今頃、天国で三人で手を繋いで
笑ってるかな?」
「だと、いいね!今日はありがとうね」
「いえ!証言が必要なら、何時でも言って
ください」
「うん、じゃあ愛奈さんの分迄、二人分
頑張って生きてね!」
「ウフフ、今度は四人分に、なっちゃった」
「ウフフ、そうたね!頑張ってね!」
「はい!」
美弥の家を出て、帰る柊の心は何故か
ポカポカと暖まっていた。
(高井さん、愛奈さんに会えましたか?)
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