7にこだわる男【KAC20236:アンラッキー7】

冬野ゆな

第1話

 まあ聞いてくれ。


 ラッキー7って言葉があるだろう。

 7は幸運の数字なんだ。


 もともと7日生まれな事もあって、親近感のようなものがあった。名前も洋七だし。7番目の席は可愛い子の隣だったし、7つ目を選ぶと当たりを引いた。それ以来適当な数字は必ず7。競馬や宝くじでも必ず7が入ったものだ。最高で十万当てたんだぜ。そうそう、7周年記念キャンペーンなんかがあれば必ず応募した。意外とあるんだぜ、そういうの。

 だから俺にとって確かに幸運の数字だった。


 だから、遠藤に会うのも7日にした。7日の夜の7時に会う約束をしてんだ。

 最初から話し合いにはならないだろうと思ってた。俺が金庫から金をちょろまかしてたのはもうバレてたんだ。一万、二万の内は返してたけど、気付かれないと思ってたらとうとう何百万まで膨れ上がった。小さな会社だし、そりゃあバレる。何故かバレないと思ったんだ。

 それで、話し合いと称して殺す事にした。自殺に見せかけるのが一番だ。

 あいつが背中を向けたそのすきに、コードで首を絞めた。7時7分だった。死んでからもきっかり7秒数えた。そうして跡を残さないように注意して、天井から吊した。


 防犯カメラにも気をつけて、アパートに帰ったよ。

 でもそうしたら、居やがったんだ。

 あいつが。

 誰がって、配達員だよ!

 そいつはにっこり笑って、俺に向かって荷物を手渡した。ちょうど不在票に時刻を書き込んでいたところだった。俺は呆然としたまま、薄ら笑いを浮かべたよ。

 荷物は、何かの7周年記念のプレゼントだった。

 何もこんな時に、って思ったよ。

 そりゃヤバい事になると思ったけど、俺はそいつを殺せなかったんだ。

 なんでかって、そいつの胸に掛かってた名前が「七尾」だったからだよ。


 ははは、笑えるだろ。

 おまけにアンタまで、「七塚署の者です」ときたもんだ!

 7を使っても悪い事は出来ないんだなあ。

 ……はははは、あーあ。

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