第3話 New Game!(しゃがれ声)
デデン!ポンポンポンポン!デデン!
アラウンド・テアトルム
VRゲームが主流となって20年ほどがたった今。今や世界中の人間がゲームをしている。現実では言語の壁があるが、ゲームでは言語が通じることにより外交ですらゲームで行われる場合も多くない。
そんな世の中、今年の春発売したのがこの『アラウンド・テアトルム』。今の季節は夏だが、春発売してから世界累計何千億ともの凄い数の人間が多くプレイしている。
前回までやっていたGTOも異世界系のゲームではあるが、ある程度組み込まれているためNPCは存在しているように見えて皆同じプログラムだ。
しかし、このゲームは違う。最新AIにより、あらかじめプログラムされたストーリーはもちろんのこと、自動的にプレイヤー専用のストーリーなども発現することが知られている。
簡単にゲームの概要としては、文明が発達しすぎてあらゆる種族による戦争が行われてきながら数千年が立ったという世界線だ。
そのため、中世ファンタジー的な世界にもかかわらず、部分的に高度な技術が垣間見える。
ゲーム評価はMAXが5とすると文句なく全員が5をつけると言われている。
いい所を探す方が難しいGTOとは大違いだ。
そんないいゲーム、良識的なゲーム、いわゆる神ゲーと言われるものをこんなクソゲーに並べていいものか。
「てか、改めて見るけどマトモなゲーム久しぶりじゃないか?」
俺の本棚は本ではなくゲームパッケージが並んでいる。3段あるのだが、もう2弾部分は埋まっている。そして今年から始めたものが3段目に並ぶ形になっている。
「3段目にこれが来るのか...このクソゲーの並びに?」
まずはゴッド・テンタクル・オンライン(GTO)から筆頭に、種族が魚人オンリーでしか選べず、陸を歩けばダメージを受けるマジモンのクソゲー『フィッシュ・オブ・フィッシュ』。
現実で作れないなら作っちゃおう!夢のマイホーム!が謳い文句でありながら、木材やコンクリートは1から作るという謎のリアル感を出して来た『ロスト・アゲイン』。
唯一、アラオン以外で人工知能AIを投入したものの暴走し、クエストが鬼ムズくなるというクソゲー『デットボール・オンライン』
宇宙戦争を舞台にもかかわらず、敵モブがエイリアン等ではなく機械的な恐竜というなぞの仕様。しかもその恐竜がモブでありながらチュートリアルの時点で最強種の一角という本当になぞの激ムズゲー『ダイナソア・コスモ・オンライン』
今年に入っただけでも濃いゲームしてたんだなと、改めて実感した。
まあ、とりあえずアラオンが俺にとってまだクソゲーかどうかは判断できないから机に置いて
某何とかアートオンラインのごとく、ヘッドギアを装着して起動する。
「よし、新しいゲームしていくか!」
そう言って意識がいったん遠のいていく。さて、久しぶりのマトモという評価のゲーム。どのくらい楽しめるだろうか。
「ふう、なるほどなるほど。色んな項目あるんだな。」
ゴッド・テンタクル・オンラインのようなVRMMOは同様にキャラメイクというものが存在する。基本的には種族、初期職業、初期装備の有無が選べると言った簡単なものしかない。
しかし、このゲームは身長や、体重、五感すらいじれるということに俺は心底驚いている。まして、初期装備も多くあり、効果は無いがオシャレ用としたものまで身につけられる。
「さて、もちろん性別は男と。しかし見た目どうしようか」
世の中、見た目の前に性別を偽る奴が多い。もちろん犯罪では無いがもしリアルで会った時のギャップが大きすぎてはちょっと精神的苦痛もあるだろう?
無いかもしれないが、一応そこら辺考慮して俺はいつも男にしている。
ただ、姿形は変えるものだと思っている。
VRヘッドギア昨日のひとつで生体複製というのがあり、自分の体や顔をそのままゲームで扱うことができる。しかし、これはトラブルを招くことが多く今はやってる人間はほぼ居ない。
「これは、こうして......あん?肉体的なやつは職業と装備決めてからでもできるのか...なら最後にやるか。」
どうやらこのゲームは、職業はそれぞれ何かしらの補正があるし、装備はつけれるジョブとかもつけれないジョブとかもあるから先に決めることができるようだ。
「てか、めちゃくちゃジョブあんじゃん。装備もひとつの職業に1つはあるんじゃないかってレベルであるし。凝りすぎだろ」
クソ細かいからめっちゃ迷うんだが、生産職とかもあるのか...まあ今までのゲームでもやってた通りに『傭兵(大剣使い)』でいいか
「お、種族を決めると生まれる地も変わるのか...」
じゃあ種族は無難に人族で、生まれは...忌み子、祝福子、貴族、王族、平民、戦争孤児、色々あるなぁ。
まあ傭兵としてやるならこれだな
『種族:人族 出生:戦争孤児』こんなもんだな。
お、補正入ってんな。戦争孤児は忍耐力と不屈が潜在能力として効果は体力上昇か。人族はとくに関係はなしっと......。
「おし、じゃあキャラメイクするか」
まあ、現実に近くするが容姿は変えるか。
身長は180cmで、体重かぁ。大剣使いだしなぁ、75kg位で五感はデフォルトかな...
「おし、装備は...うわっめちゃくちゃあんじゃねえか」
傭兵(大剣使い)ということであまり身につけれる装備もないかと思えば軽くスクロールできるほどある。
しかもなんだ、装備は売って金にできるみたいだな。
まあ、初期装備はそこまで最初のクエスト等には影響しないみたいだから裸でもいいみたいだ。
「よしこんなもんだな」
頭:『鬼面真情』
胸:なし
腰:『大数珠』
足:なし
このゲーム、腰は言わばズボンの扱いみたいだ。
上から顔の上半分を覆う鬼の面と胸はキャラメイクによってできた胸板と腹筋。かと言ってゴリマッチョでは無い。
腰は少しボロめなバルーンパンツ的なのにどデカい数珠が着いている。
足は裸足だ。
今回のこの装備、本来ならシリーズ装備『祭囃子』というものだった。ただ、胸と足は明らかに祭りできるような法被と足袋だったから、初期には場違いかと思ったから売った。
みんなは疑問に思うだろう。何故それを選ぶのか。
能力が断トツで良かったのだ。
シリーズ装備という名前から全装備すると良いのだが、頭装備と腰装備だけでクリティカル率20%アップと体力増強が着くためだ。これは初心者にはありがたいだろう。
クリティカル率20%ということは、流鏑馬(やぶさめ)をやったことの無い人間が、3回に1回成功する確率と同じくらいだ。多分な!
それに胸と足を売ったことにより所持金が増え満足している。
何故ならこのゲーム金がめちゃくちゃ必要になるみたいだ。
その結果鬼面とでっかい数珠を着けたまんま鬼みたいな蛮族の出来上がりだけどな。
「まあ、悪くないだろうな......いやわかんないなコレ。冷静に考えて変態過ぎないか?」
そんなこんなでキャラメイクも終了し、最後にユーザーネームを決めてくださいという表示が出てくる。
ちなみに俺はゲーム名は統一する派の人間だ。ゴッド・テンタクル・オンラインや他のゲームでもこの名前で通っている。
「名前は...フウリン」
鈴(リン)と風爾の風(フウ)
めちゃくちゃ安直だけどな、案外気に入っている。どっちかと言えば女っぽいけどな。
「よし、じゃあNew Gameっと...さてどんなもんかな」
ゲームスタートのボタンを押していざアラウンド・エアトルムの世界へ!
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