第2話 良識なゲーム、これ神ゲーか?

あのゴミみたいなゲームをCLEARしてから3日たった。いくらゴミみたいなゲームでも俺にとっては楽しいことには変わりないので3日位は心の安寧が保たれる。簡単に言えば「そういうお店でどんだけ罵倒されようとも笑顔でありがとうが言えるほど」である。

まあ、しかしながら4日5日たってくるとゲームをしたいという衝動というかもはや病気みたいなものが出てくる。

まあ、今は学生ということもあり今日から夏休みなので俺には時間が有り余っている。


「よっしゃ!土日でCLEARできそうなものを探す必要は無い!このフリーダムでオープンなブレイク!活用する他ないだろ!!!よっしゃぁ!ゲーム買いに行くか!」


学校のチャイムがなった瞬間、そう叫ぶとクラスメイトたちは先程までのダルさはなく、一気に活気づいた。



さて君達、、、世の中の一般的な学生の夏休みはどうだろうか。


俺のようにゲーム三昧のやつもいれば

受験に向けて早めに勉強するやつ

恋人を作るために奔走するやつ

はたまた恋人とデートするやつ


まあ、こんなものだろう。しかしながら、俺にはそんなものはどうでもいい。むしろ要らん!高一も高二の時も夏休みはどちらも超大作と呼ばれる結局のところクソゲーを噛まされたが、俺には前回CLEARしたゴッド・テンタクル・オンラインが頭から離れていなかった。

今の俺にこれを超えるゲームはやってくるのかというくらい心配する程だ。


(何を買うか…ファンタジー系か?銃撃ものもいいな、ロボット大戦ものもありか。乙女系?それだけはないな)



考えながら歩いていると久しぶりに見る色褪せたゲームショップの文字が見えた。今日の目的はそこなため少し早歩きで向かった。








さて、再度君たちに問おう。ゲームをする理由とはなんだ?(イケヴォ)

俺にとってゲームとは人生であり生きがいであり、生活の一部。そして生活の一部ということは、それには「幸せ」「理不尽」といったあらゆる感情を出すことだ。

例えば、ストーリーやそのクエスト。バクと呼ばれるシステム障害などもゲームという名の人生であると俺は考えている。

まあ、ゴッド・テンタクル・オンラインなどのクソゲーの頂点たるものは別枠ではあるがな


それらの点を踏まえて、今最も人気をはくしているゲームが眼前にあるアラウンド・テアトルム略してアラオンだろう。

これは、元来のNPCとは違い、最新AIが用いられており、段違いで評価が高いゲームである。発売されて約1週間しかたっていないのにも関わらず、全正解で人気を獲得しているいわば神ゲーである。


「ほほう……アラオンね。ありよりのありではあるか。」



「あれ、お前。そんなゲーム手に取ってどうしたんだ?気でも狂ったのか?いや元々狂ってたかハッハッハッハー!!!!」



いきなり某世紀末風な声が聞こえた。



そう後ろから言葉の槍を刺してきたのは、俺と同じくこの店に通う一見めちゃくちゃかっこいいのだが、口が悪く直ぐに物を壊す30歳の男である。


俺が色んな裏要素のあるゲームを買い漁っているのとは別に、この人はFPS系もしくはサバイバル系のVRゲームをしており時折会うことから仲良く?とまでは行かないかもしれないが、よく話す人だ。



「いや、すぐ物壊す中年じじいには言われたかねぇよ。まあ、GTO終わったんでなんか違うゲーム買おうかなって。」



「えっ、お前あのGTO終わらしたのか!?しかも裏要素で?!どうやってだよ、相当しんどいだろアレ!俺もお前がやるって言うからやってみたけど最初のボスすら無理だったぞ?!」



「いや、まあ根気ですけど。てか最初のボスってゴブリンロードですよね。アレ首にぶら下げてるキバみたいなネックレスぶっ壊せば体力5になるんで5回叩けばいいんですよ。」



「いや、そんなの知らねぇよ。お前どんだけリスポーンしたんだよ。ほんと作業系好きだよな」



こう言っているが、決して俺は作業が好きな訳では無い(嘘)、あのゴミゲーGTO(ゴッドテンタクルオンライン)は結局作業ゲーって判断に至ったけど、クリアするためには検証と結果を出さなきゃ行けないからそりゃあリスポーンするよ。まあ、没入型の異世界系ファンタジーゲームにしてはデスペナルティが無かったからって言うのもあるんだが。



「それはそうと、今日は新しいゲームですか?」



「おう、新しいウォーゲームが入ったって聞いたからよ買いに来たんだ」


そうこのゲームショップ「New Style」は数多くのゲームが置いてあり、それこそVR時代の前のゲームですら、置いてあったりする。

店主は2人いて、1人はもう御歳91歳のおじいちゃんの源助さんとその孫である俺の同級生の桜ちゃんが経営している。

今やフルダイブ型のゲームが主流の世の中、それでも当初のゲームは動ければいい方で世界を想像するなんてものはなかった。しかし、そんなゲームでも掘り出し物は多くあり、知る人ぞ知るゲームショップがここにあるのだ。

そして今日店番をしているのは91歳の源助さん。もうよぼよぼで話すのが精一杯なんだが、ゲームの話になるとあんたほんとに90超えか?ってくらい饒舌になる。



「てかさ、風爾くんは結局そのアラオン買うのか?」



「あ〜まあ、何気に裏要素とかあるかもしれないじゃないですか。最新AIを利用してて異世界に行ったみたいなゲームって言われてるんで単純に興味もあります。だから買おうかなって思ってますよ。」



先程似たようなことを言ったが作業が作業ゲーが嫌いなわけじゃない。その過程は成長に対して絶対必要なものだからだ。かと言ってヌルゲーはこの世で1番嫌いなものだ。だから嫌も嫌も好きのうちって感じで作業するのは好きかもしれないって節がある。

だから今回は世間が注目するアラオンに手を出してみようと思う。




「変態なんだな風爾くんは。」



「うるさいな、変態じゃねえよ」



思わずタメ口を聞いてしまった、


「あ、源助さん。アラオン買います。」



「......ん?...あぁ風爾くんかい?...何何...アラ...オン.........アラオン!!!ついに買うのかい!生きてたかいあったよ!風爾くんほんとにゲームセンス高いからアラオンで是非暴れておいで!...あっ...ごめんね...はい12450円だよ......」



源助さんにお金を渡し俺は買い物を終わらせた。ちなみにゲームを買う度このテンションになるから源助は多分まだ長生きすると思う。


「......あぁ、それはそうと風爾くん。それとお主も。明日から1ヶ月店閉めるからの......」



「「あっ...なるほど」了解っす」



弱々しい声からはすぐに察さることができた。


簡単に言えば作業ゲーやクソゲーを漁る変態、俺こと

鈴 風爾(すず ふうじ)


そしてウォーゲームを中心に暴れ回る変態傭兵こと安藤 平二郎(あんどう へいじろう)。


そしてこの店の店主 御堂 源助(みどう げんすけ)さんは、ゲームこそすぎたが、リアルも凄い人だ。

源助さんは時おり山に篭もることがある。そしてゲームは絶対侍を選ぶ。もう分かるだろうが、源助さんはリアル剣豪なのだ。そのため修行で店を開ける時もざらで俺たち常連では不定期な行事として認識されている。

しかし、たまにもう1人の店主桜ちゃんが気まぐれで開くともあるのでさほど気にする事はない。


「まあ、源助さんもほどほどに」



「うむ......風爾くんも、あと平二郎くんもゲーム楽しむといい。ただ、しっかり休憩はとるんだよ...」



「もちろん、源助さんもこん詰め過ぎないようにね」




そう言って俺は平二郎さんとも別れ帰路に着いた。










「ただいま〜〜」



「...ん?...おぉ桜か...おかえり」



「ただいまおじいちゃん」



源助さんに返事をするのは制服を着て眼鏡をかけた美少女だった。



「ああ...桜...おじいちゃんまた山に行くからの店頼んだぞ...それそうと桜...風爾くんついにアレを買いよったよ...」



そう言い残して源助さんは帰宅の準備を終えて帰路に着いた



その間美少女はぼーっとほうけていた



「えっ......?」

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