第11話 Aクラス

今、俺とエキドナとミーナの3人は教壇から見て1番右奥の席に座っている。

教師の目線で1番目立たない席だけあって俺はここを自分の安定ポジションとした。

さらに窓の外もここからだと見えやすい。

まさしく陰キャのベストポジション!!


「はーい席につけ出席を取るぞ」


そんなことを考えていると教壇に立ったのは細マッチョの男教師。

白いと黒の髪が入り混じったボサボサの髪型は俺のとある知り合いを想像させた。


「じゃあ今回このAクラスを持つことになった

オリバーだ、よろしく」


教師オリバーは簡単に自己紹介を済ませる。


「お前達は今日からAクラスだ、この学園の象徴であり全生徒からの憧れ、肝に命じておくように」


教室中にいる生徒はオリバーの言葉をしっかり受け止め自分達の今いる立ち位置を理解した。

しかしその言葉は傲慢になれということではない。

“学園の生徒として恥じないように”という意味合いだと俺は考える。


「……で早速だが自己紹介から入るぞ、そこのお前、出身と目標を言ってけ」


オリバーが指を指したのは1番前にいる男子生徒

どうやら前から順番にやるらしい。


……ん?まてよ


俺とエキドナは出身はどうすればいいのだろうか?

帝国軍です!なんて言ったら怒られる所の話じゃない……


どうしよ……本当にどうしよう


そんなことを考えているととある男子生徒の順番が回ってくる。

金髪の髪に豪華な装飾が施された白をベースとした服を着ている。


あれ?この学園制服が必須だったような


金髪の男は立ち上がりあたりを見回すと


「どうも可憐なる子猫達!僕の名前はルース・ミラー・バイル・エレンドだ…気軽にエレンドと呼びたまえ」


……なんだこいつ


可憐なる子猫?長い名前?わけわからん…


「キャアアア!エレンド王子よーー!」

「かっこいいわ!」


「あははありがとう、咲き誇る薔薇達!」


複数人女子から歓声を浴びるエレンド

俺はその奇妙な光景を目の当たりにし小声でエキドナに話かけた。


(なぁ……あのエレンドってやつ有名なのか)


(帝国の北方にある国ルース王国の王子です)


そのエキドナの言葉に俺はあることを思い出す


ルース王国…領土は少なく国力も小規模だが北方で作られる魔石によって栄えている。

俺も一度遠征で行ったことがあるがそれなりの国だった。


(でもなんでそんなルース王国の王子が帝国の学園に来てるんだ?)


(権力を見せつける為らしいです、この学園中の女子から大変人気らしいですが…そういえば婚約者も来てたような…)


俺達が話しているうちに長いエレンドのターンが終わると後ろの席に座っていた女子生徒が立つ。

この人もまた制服を着ておらず大きなスカートにピンクがベースのドレスを着ていた。

表情はまるで氷のように冷たくしかしどこか寂しそうな顔をしていた。


「スイ・リベリアです。出身地ルース王国、目標はエレンド王子の妻として国を支えること、皆さんよろしくお願いします」


俺とエキドナはその言葉に顔を合わせる。


……婚約者ってお前かよーー!!!


「ははぁ!今の君では僕の妻になることなんてないない精々精進したまえ」


「はい」


高い声と煽り口調でいうエレンド。

スイは何事もないように簡素な返事をした。


……なんだろうこいつ、無性に殴りたい


しかし相手は一国の王子、ここは俺の心の中に留めておこう。

そしてどんどんと順番が回りエキドナの番が来た。

エキドナは指名されるとその場に立ち上がる。


「エキドナ・スレイです、今までは法王国で農家をしていました!私の目標は自分を救って下さった方への最高の恩を返す事です!よろしくお願いします!」


エキドナの言葉に拍手が湧き起こる。

エキドナは座りながら笑顔で俺を見る。


……助けたか


そもそも俺とエキドナの出会いは不思議な物だった。

当然普通では考えられないような出会い方をしており、俺は今でもそのことを忘れない。

……と俺の番か

俺はおもむろに立ち上がると周りを見る。

クラス中の視線が俺に集まっており、少しだけ緊張してしまう。

大丈夫だ…落ち着け…出身さえ誤魔化せばなんとかなる。

俺は大きく息を呑む。


「あ、えーとグラン……バルバルトです……出身は東の国……目標は………特にないです……よろしくお願い……します……」


俺はいい終わるとすぐさま座る。


勝った!完璧な自己紹介だ!!


「……あんた」


「どうしたミーナ?」


「出身が東の国ってどういうことなのよ……」


「あ」


周りを見ると明らかに冷たい目線が注がれておりまるでギャグで滑ったみたいな感じの空気になっていた。

みんなそれぞれ拍手はあったのだが俺の時だけ時が止まったかのような静けさだった。


(なぁ……エキドナ?)


(どうしたんですかマスター?)


(俺…やらかした?)


(やらかしましたね、第一印象はコミュ力レベル2の人っていう感じです)



(…………)



おやすみなさい

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俺たちは生まれながらに狂っている 島国に囚われしパンダ @ptwgbd645

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