第5話 全ては我が子の為に

私は靖が小学4年の時に、給料が良いが人間関係が劣悪で有名な介護施設へ転職した。


シングルマザーで、これから成長していく過程でお金がかかるからと言えば、聞いた人は皆

「健気なお母さんね」

「困った事があったら何でも相談してね」

と言ってくれた。


子供のためと言うだけで、こんなにもポジティブな声を掛けて貰えるのか。

チョロいなと思う反面、褒めてもらえる事がとても嬉しかった。


もっともっと、私を褒めて欲しい。


その快感をこれからも味わい続けたい。


その為に私は頑張らなければ。




仕事はやはり、噂通り人間関係は大変であった。

常に人の蹴落とし合いだ。


だが人間関係の良し悪しなど、私には関係なかった。


ただただ稼いで、智亜紀よりも目立つ存在になりたい。


その気持ちだけであった。


そして私は決意した。


この職場の蹴落とし合いを徹底的に経験して、そして智亜紀も蹴落として、私が輪の中心に、トップに立ってやろうと。


「全ては、我が子のために」

この隠れ蓑を使って。

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