第4話 浅井智亜紀という人間
隣町のミニバスケットボール教室に通い始めて数ヶ月が経った頃。
この教室は非常に人気のある教室で、毎週のように誰かかしらかが入会してくるのだが、ある日、靖と同じ歳の子が2人入会してきた。
その2人は地区の同年代の中でも特に有名な子達で、所属チームでは1Qだけとはいえ既に試合の経験も積んでいる子達であった。
その2人の内の1人、浅井大和(あさいやまと)君と靖は初日でとても仲良くなった。
大和君は背丈は靖と同じくらいだが、既にワンハンドシュートでフリースローを打ち、ゼロステップなどのシュートテクニックも既に身につけていた。
私は誇らしかった。
靖が、大和君と仲良くなれたから。
その流れで私は、大和君ママこと、浅井智亜紀(あさいちあき)さんと子供をきっかけに仲良くなった。
智亜紀は、小柄で色白。そしてとてもおしゃれでニコニコしていて常に会話の中心にいる人だった。
智亜紀は、私と同じ歳であった。
イケメンの旦那様と大和君と隣町のバスケットボールが盛んな地区在住。
隣町の進学校を卒業した後、県外の美術大学でグラフィックデザインを学び、現在は地元の企業専属デザイナーをやりながら、SNSでインフルエンサー活動もする、所以キラキラママという人種であった。
スクールに通い始めたきっかけは、ディフェンスが苦手だからと大和君本人の意志で通い始めたそうだ。
智亜紀の口から出る言葉や智亜紀の存在が私の胸に徐々に突き刺さってきた。
・子供の意思で通い始めた。
(うちの子は?…基礎教えてくれないからって…)
・隣町の進学校卒業。
(私…高校…)
・おしゃれな服。素敵な旦那さん。
(私だって…前までは…)
そして、心に渦巻く、智亜紀へのドス黒い気持ち。
これがコンプレックスから来る嫉妬だと気付くのは数年後の事である。
その時の私は、智亜紀・大和母子と靖を利用して智亜紀を超える事しか考えていなかった。
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