第2話
俺は言われるがまま目を開けると目の前には黒く大きな翼がリアスの肩甲骨のあたりから生えていた。
俺は初めて見るそれに目を奪われ気が付いたら翼に手を伸ばしていた。
リアスは背を向けているためこちらには気が付いてはいない。
指先が翼の根元に触れる。
「んっ」
触れると同時にリアスから初めて聞く嬌声が聞こえてくる。
俺は初めて聞く声に驚きリアスの翼から手を離す。
同時にリアスは両手で自分の口をふさぐ。
「なに、今の声。もしかして私が声を出したの?///」
リアスは恐る恐る後ろを振り返る。
「聞こえた?」
俺は静かに首を縦に振る。
しばらく2人は互いに静かに見つめあうことはなくたがいに背を向けながら沈黙の時間が続く。
先に声を出したのはリアスだった。
「私そろそろ帰るね。」
その言葉と同時に洗濯機が止まる音が聞こえてきた。
そこから、2人は必要最低限の会話しかしなかった。
「あ、あとはクリーニング屋とかに出せばいいと思うから。」
「う、うん。服、貸してくれてありがとね。洗って返しに来るから。」
そう言いながらリアスは玄関に向かい、扉を開ける。
「そ、それと。わたし、あの答えは死んでもいいわ、だからあなたの答えもいつか聞かせてね。」
「それって。」
そう言うとリアスは空に向かって地面を蹴ってジャンプした。
俺はリアスのとんだ先をすぐに追いかける。
しかし、リアスの姿はもう見えなくなった。
「死んでもいいわって、俺そんなに気持ち悪かったかな――!!」
俺はリアスの別れ際に言った言葉を思い返しながらその場にうずくまり嘆いた。
リアスの言葉の意味を理解できなかった。
ー月が綺麗ですねー
リアスはその言葉を告白のセリフだと思っていた。この言葉は好きな人に自分の好意を伝える告白のセリフ。しかし、夜月にはそんな風に言ったつもりは無かった。
告白されたと思う吸血鬼の彼女の出会いによりまだ恋心が芽生えてない夜月が恋をしてリアスの気持ちにこたえる。しかし、それはまだ先の話。
誰よりも君と レモン @lemosuka
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