第50話

50

絢爛豪華なホールの中。

今日はロバートの誕生日だった。

王宮で誕生日パーティーが開かれ、殆どの貴族がそれに参加していた。


本来ならばここで正式にシャーロットとロバートの婚約を内外に示す予定だったのだが、公爵家側が婚約破棄を申し入れたことにより、状況は大きく変わっていた。元々は王家と公爵家で前々から何度も打ち合わせを重ね、この場にもロバートだけでなく、パートナーとしてシャーロットを伴って登場するはずだったのだ。シャーロットとロバートが婚約している事は国中が知っている事であったし、シャーロット程の者でないとこの腐りきった王家を立て直していくことは不可能だと誰もがその婚約に安心していたのだ。


だが、婚約破棄を申し入れてからは打ち合わせに訪れる事も当然ながら公爵は拒否し、何度も国王から送られてくる催促の書状も受け取りを拒否していた。普通ならば許される行いでは無いのだが、婚約破棄における訴訟を起こしている状況なのだ。正式なルートを通して王家から公爵家へ何かを送ることは禁じられていたために、国王は秘密裏に非公式な物として送って来ていた。

そのため、公爵はそれを偽物だと断定することによって無視を決め込んでいたのだった。


とは言え、この国の筆頭貴族として今回の誕生日パーティーに欠席する事は出来ない。それは、王家のと言うよりも、公爵家を守る為の行動だった。


いくら弱体化したとはいっても王家は王家。

形ばかりでもトップに位置するのだ。

そことの関係が冷え込んで居ることを表に出すのは、いくら相手が悪いとはいえ、裁判の結論がでていない状況では良くないとの判断であった。

日和見の家が、又は反王政派の家が勢いついて国内が混乱する事があっては困るのだ。


ロバートの発言は、そんな公爵家のせめてもの気遣いを無に帰させる行いであったのだった。

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