第1話 命日
「〜〜〜〜」
何か聞こえる。
「〜〜〜〜」
誰だ、、、、この声は?
聞いたことのある、声だ。
「〜〜くん!」
誰かを、、、、呼んでる。
「こうくん!」
この声は、、、
僕が今、、1番会いたい人の、、声だ。
「こうくん!!」
美結!!!!!
「はっ!」
目を覚ますと目の前には真っ白な壁が映っていた。
いや、壁ではなく天井か、、、、
「またか」
僕は腕をまぶたの上にかぶせる。
「はぁ〜」
深いため息をついた
まぶたに重ねていた腕を外すと寝巻きの袖に水で濡れたような後があった。どうやら目の周りに少し水っ気があったらしい。
「ダサいなぁ」とぼやく
こんなことをしてると笑われてしまう。
枕元のスマホを見る。時刻は午前9時半前。
バイトは昼からだ。
もう少し寝ようかな。
、、、、、、、、
鳥の鳴き声が聞こえる。
ものすごく穏やかだ。
、、、、
、、、、
やっぱ起きよ。
寝ることに集中できないし、また声が聞こえてきそうな気がする。
僕は重たい体を起こす。
床に布団をしいているせいか腰が少しばかり痛い。
なんでベット買わないんだ僕は。
今度、ベット見に行こうとかなぁ。
立ち上がって、少し後ろに反り気味で背伸びをし、洗面所に向かう。
「痛っ!!」
足の裏に痛みを感じた。
見てみると、そこには洗濯バサミが散乱していた。
誰だ、こんなに散らかしたのは。
「はぁぁ〜」
洗濯バサミを拾いながらため息を吐く。
こんな物でさえも片付けることが出来ないのか。よく1人暮らしなど出来るものだ。
ここにどんな奴が住んでるのか見てみたい。
洗濯バサミを指でつまみながら自分がいる部屋を見渡してみる。
、、、、、、、
あ、僕か、、、、、、
、、、、、、、
はぁ、何してんだろう、、、、
後で掃除するか。
洗濯バサミをある程度拾い、かごに入れる。
大きなあくびをしながら、今度こそ洗面所に向かう。
洗面所到着。まず顔を洗うか。
鏡に映った顔を見てみる。
髪の毛はボサボサ、目の下にはくまができ、
口周りには髭が生え、いかにも不潔感満載だった。
「ひどい顔だなぁ」
自分の顔に引きながら水を手にのせ、顔につける。
季節は3月。
ようやく、日中冷たかった風も昼だけは心地よく感じる頃。しかし、朝の水はいつも冷たい。手にのせると思わず引っ込めたくなる。
しかし、この冷たさが今はいい。この冷たさが僕の眠気を覚ましてくれる。
冷たい水で顔を洗うとなぜか息が苦しくなる。あの現象は僕だけなのだろうか。
、、、、、、
よし、やるか。
スゥーと深呼吸をして手を顔につける。
つめたっ!
顔を手でこする。顔についてるやもしれない汚れを落とすつもりで。
ひと通り洗った後、顔を上げる。
、、、それでも良くはならない。
昔はこのルーティンをすることで目がぱっちりになっていたのだが、、、、
ここ最近は、、、、、
はぁ、ほんとにひど「ひどい顔だね」だなぁ。
、、、、、え!?
声が聞こえた。
ついさっきも聞いたその声。
辺りを見回してみる。
当然だがいるのは鏡に映る自分だけ。
そりゃそうだ、いるはずがない、いるはずがないのだ。それにいたらいたで怖いし。
もうやめやめ。
僕は横に掛かっているタオルで顔の水を拭き取る。
くしゃい、少し匂う。
後で変えておこう。
布団の上に座り込む。
お腹空いた、、、、、
コンビニ、、行くか。
着替えるの面倒くさいからそのままでいいや。
ほんとはこんなだらけた考えは良くないが、着替えないことで僕になにかマイナスなことが起きるわけでもないからどうでもいい。
サンダルをはき、ドアノブに手をかける。
手に若干の冷たさを感じた。
ドア開けると陽の光が差し込んできた。
勢いよくドアを閉める。
「さむっ!むり!」
いや早く行けよ僕。
(仮)記憶 @nenenomori
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