ファミレス

如月きさらぎ何頼なにたのむ?」

 メニューを如月の方に向け訊く。

「私は、このチーズチキンかディアボラ風チキンで迷ってるんですよ」

 メニューと睨めっこする如月。

「じゃあ、俺こっちのチーズの方頼むから共有シェアする?」

「えー先輩と共有シェア?なんか嫌だなー」

 如月は口ではそう言ったが、嫌がってる風には見えない。

「じゃあ、しなくていいぞ、エスカルゴ頼んじゃうから」

 如月はエスカルゴが苦手…というよりかは食わず嫌いなのだ。

「やめてください!ていうかカタツムリよく食べれますね」

「一回食ってみろ!美味いから」

「分かりました。そこまで先輩が私とシェアしたいなら、させてあげますよ」

 如月は仕方なしだぞって顔をした。

 呼び出しボタンを押し店員を呼ぶ。

「このチーズチキンとディアボラ風チキン、あとドリンクバ二つください。以上で」

 店員に注文を難なくこなす。

「先輩!ドリンク全部混ぜるなんて、中学生でもしませんからね」

 如月はニヤニヤしながら煽ってくる。

「いつも全部混ぜて俺に飲ませるのは如月の方だろ」

「てへへ、バレちゃいましたか」

 舌を出し誤魔化す如月。

「先輩!注文取ってくれて、ありがとう!」

「へ?こんぐら普通だよ」

「その普通が出来ない人がいるから褒めてるんですよ」

「えへへ、照れるじゃねーか」

 俺は、女の子に褒められ慣れてないのがバレるほど照れた。

 沈黙が暫く続いた、それを破ったのは如月だった。

「あ!私ドリンクバー行ってきますね、先輩何が良いですか?」

「コーラで」

 分かったと如月は言い残しドリンクバーへ向かった。

「はい先輩!コーラですよ」

 如月の手に握られたグラスには明らか気泡がない。

「これってコーラ?」

「はい!」

 満面の笑みが逆に怪しさを増す。

「いただきます」

 恐る恐る口に運ぶ。

「っん⁉これコーヒーじゃねーか」

 コーヒーの苦みと酸味が口中を走り回る。

「あーはっははー!ひーひーっははは」

 如月は、俺のリアクションを見て抱腹絶倒した。

「俺、コーヒー苦手だから、如月飲め!」

 グラスを如月へ渡す。

「えー、それって間接キッスじゃないですか!」

「如月がちゃんと持ってきてくれたら、しなくて済んだんだぞ」

「わかりました。私の責任です、私が飲みますよ」

 如月は頬を紅潮させ、グラスの縁を見つめる。

「まさか如月も苦手だった?」

 流石に悪いことしたな、俺が処理するしかないな

「貸して」

 そう言って如月からグラスを奪い取り、黒い液体を胃に放り込んだ。

「ちょっ!先輩!私飲まないなんて一言も言ってない」

「飲むのに躊躇してたから、苦手なのかと思って」

「苦手なんかじゃ…」

 如月は俯きながら言う。

「それに、折角持ってきてくれたんだし、無下にはできないよ」

「先輩…、そんなに口説いても、私は先輩には惚れませんからね!」

 某涼宮さんみたいなポーズをして如月は俺に言った。

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後輩ちゃんと一緒に作る理想の彼女 葉月琴葉 @paseri13714

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