第十八節 これは別れじゃないから【彬】
第四十話 彬
「還っちゃったわね、
「うん」
「大丈夫よ、
「でも、本家のここに入ること、難しいよ」
時空の接点となっているこの場所は、青栁の屋敷の奥まったところにあった。
「……たぶん、大丈夫よ。……なんとなく」
母さんは意味ありげに笑う。
みんなで家に帰るべく玄関へと向かう。蘇芳がいなくなって、やっぱりさみしい感じが漂っていた。
「無事に辿り着いたみたいね」と母さんは言った。
俺は胸の奥がちりりと音を立てた気がした。
でも、いいや。
ほんとうに、今度は俺があっちに行けば。
そうだよね? 蘇芳。
これは別れじゃない。
きっと、行くから。
蘇芳、きみのいるところへ――
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