第三十六話 彬③
俺は
「
蘇芳が思いつめたように言った。
「つきあわないよ。何言ってんの」
「だって……あたし、もういなくなるし……それに」
「それに?」
蘇芳は俺の顔をじっと見て――キスをしてきた。
蘇芳の唇が俺の唇に触れ――離れる。
「それに、最近、キスしてくれないし」
と言って、蘇芳は泣き出してしまった。
俺は蘇芳の涙を拭き、涙にキスをして、それから唇にキスをした。何度か啄むようなキスをしたあと、長いキスをする。
あ、やばい。
これは止まらないやつ。
いやいや、ここ、学校だし。やばいやばい。
俺は強い自制心でもって、蘇芳から離れ、美しいその顔を見つめ、それから彼女を抱きしめた。
「彬、大好き。大好きだから」
「うん、俺も好きだ――」
抱きしめる腕に力がこもる。
「あのね」
「うん」
「続きはね」
「続き?」
「うん、いまの続きはね」と、ここで蘇芳は少し離れて、俺の顔を見つめ、「
「……え?」
言葉の真意が分からなくて戸惑う俺に、蘇芳はにっこり笑って、俺の耳元で囁いた。「今度は、……ね?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます