第十二節 あたしは、自分が何者であるのかを目の前につきつけられた【蘇芳】

第二十七話 蘇芳①

 身体から血が抜けていくような感覚を味わった。


 水鏡を見て、すべてはあたしのせいだと悟った。あたしが、五色ごしきの地にいないから、だから、火が暴れ地が揺れ、亀裂が走ったのだ。


 あたし。

 あたし、自分が何者であるかも理解せずに、自分のことしか考えていなかった。自分のことだけ考えて、ただ嘆いていた。

 イライラして、朱里あかりにあたったりあかねにあたったり。

 勝手なことばかりしていた。

 緑青ろくしょうの土地守りに嫉妬して、挨拶すら碌にしなかった。

 土地守りについて学ぶこともしてこなかった。面倒だとか退屈だとか言って。

 火の館の御側人おそばにん以外では、柊護しゅうごくらいしかまともに接していない。


 あたし。

 あたし、でもいったいどうやって気持ちを前向きにもっていけばいいか、分からなかった。

 だって、あたしの力は弱くて、朱里や茜との差異が見えなくて。

 それに、どうしようもない埋められない、さみしさ。

 ねえ、他の土地守りはどうやって、あのさみしさを埋めているの?

 世界に自分しかいないような孤独。孤絶。

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