第十一節 五色の地と、繫がっているこの世界【彬】
第二十五話 彬①
この世界と対をなす
柊護が五色の地に行ってしまったとき、青栁は二度とこのようなことはないようにしようと、かたく決意したらしい。子を失った母親の哀しみはとても深かったのだ。そして、一族の力を駆使して、特別な異能の力を持って生まれるものを検知し保護することにした。そうして、母さんは見つけられたのだ。母さんが
そして、荒れるのは
対になっている、この日本の世界も荒れるのだ。
「連動しているんだよ。どうやら」
と
「
そして続けて言った。
「思えば、ここ何年か異常気象で自然災害が多かったのも、
俺たちは単純に母さんが連れて行かれなかったことを喜んでいたけれど、それはとても小さな視点だったのかもしれない。でも、大切な人間を失うことを、どうやって認められるというのだろう。
「……そんな、世界の存続に関わるようなことを、一人の人間に課すなんて」と、俺が言うと、
そして、
「だから、蘇芳殿。あなたはなんとしてでも還らねばなりません。
蘇芳も、あの強い光を湛えた瞳で、
口元は真一文字に結ばれていた。
蘇芳。
近ごろの俺は、蘇芳が
蘇芳。
俺は蘇芳をじっと見た。
蘇芳は槇さんから視線を逸らし、俺の方を見て哀しく笑った。
蘇芳。
俺は苦しくなって、何も言葉を発することが出来なかった。
そのとき、またぐらりと揺れた。今度は大きかった。
――スマホが振動した。
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