幽谷の短編
幽谷 優
休憩時間
「そう、だから個人の名前じゃなくてみんなって書いてる」
「責任が、犯人が、分からないように?」
「そう。だってあなたたち怖いんだもの」
「怖いって僕たちが?」
「そう。何につけても文句ばかりですもの」
「……それはしっかりと君たちがやる事をやってくれればいいだけの話じゃあないか」
「そう?それがあるから他の仕事に手が付かないんじゃなくて?」
「……その話を聞いてから、その言葉を聞くとなんとも言えないな」
「そう」
煙草をふかしながら朝帯の仕事のある僕と、夜帯の仕事の彼女はそんな話をしていた。
「特に新人がね、関わりたくないっていうのよ。もう少し言い方をマイルドに出来たらいいのだけど」
「それが出来るなら苦労しないよ。そういう人なの僕は。いや僕らは」
一本目を吸い終わり、二本目を口にする。
「別に言うなとは言わないわ、それが新人の為なのは分かるけど、あれやこれや文句言われてもやる気が下がるだけなんだから」
「はいはい」
灰皿へ吸いかけを投げ込む。休憩は終わりの時間だった。
「自分のやり方は変えないし、変わることもないよ。まぁ、でも僕もアイツのやり方は気に食わないからね」
「じゃあそう伝えてちょうだい」
「嫌だね」
秋風が肌に染みるそんな休憩の一時だった。
幽谷の短編 幽谷 優 @Yu_kasodani
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