サーモンのコンフィ。
夕方まで釣りをして、タイマーが鳴ったのでキャンプ地まで撤収する。
夕日が景色を染め上げる中で結果を集計。そしてポロが崩れ落ちた。
「ば、バカな…………!」
数釣り勝負。一位、俺。32匹。二位ポロ、22匹。三位エルン、15匹。
大物勝負。一位、エルン。61センチ。二位俺、60センチ。三位ポロ、54センチ。
「か、勝っちゃったです……?」
そう、優勝は俺とエルン。ポロは一勝負も取れずに夕食リクエスト権を得られなかった。正直、意外な結果と言える。
というかぶっちゃけよう。どっちも一位は俺が取るつもりだった。それで「これじゃリクエスト権もったいないから、二位で決めるか」って提案するつもりだった。
ほら、俺が一位取っても仕方ないし。料理するの俺なんだから。
「ちなみにポロ、優勝したら何が食べたかったんだ?」
「カレー」
ポロ、かなりカレー好きだよな。魚介系を除けば多分一番好きな料理がそれじゃないのかってくらいカレー好きだ。
もしかしらガシラ料理とカレー、どっちが好きかって聞いたら数日悩みそう。
「じゃぁ明日はカレー作ってやるよ。まだポロにも食べさせた事の無いやつ」
「ホント……!?」
ジャパニーズカレーだけでもバリエーションは豊富なのだ。嫁を笑顔にするくらい簡単だぜ。
「で、エルンは何が食べたい? 自分のルアーで勝ち取った勝利だからちょっとは嬉しいだろ?」
「はいですぅ! 楽しかったですー! 夕食は、そうですねぇ……」
エルンのリクエストは、「自分でも作れそうな迷宮鱒料理」になった。つまりレアカツみたいに自分でも作れるようにって、昨日の延長戦だな。
「分かった。じゃぁ昨日のレアカツは簡単だったし、今日は手の込んだ料理を作ろうか」
俺のリクエストはどうしようかな。流石に魚尽くしが過ぎるから、ここらで牛肉でも入れとくか? せっかく仕入れたしな。
「んー、よし。サーモンのコンフィとローストビーフでも作ろうか」
さて、料理の時間だ。
負けて落ち込んでる嫁はカレーという餌で元気にしたので、いつも通りご飯を炊いてもらう。その間に俺はメインを二つ作っちゃう。
「エルン、適宜解説しながら作るけど、暗くなって来たから作業は止めずにいく。見逃すなよ?」
「了解ですぅ!」
最初にやる事はソミュール液を作る。と言ってもお湯に砂糖と塩、ニンニク、そしてマキシマムを適量ぶち込むだけだ。マキシマムは様々なスパイスが配合されてるのでこれ一つ入れとけば大体何とかなる場合がちょいちょいある。
ソミュール液を作ったら半分をタッパーに入れ、角材状に切り出したサーモンの切り身もそこに入れる。
もう半分は牛肉のブロックと一緒にジップロックへ入れて空気を抜き、ジップを閉める。
「こっちの牛肉料理は覚えなくて良いぞ。覚えても良いけど」
「あ、いや、その透明の袋が手に入らないです……」
鍋にお湯を沸かしたらジップロックを投入し、火を消して蓋をする。数分待って余熱で火を通したら取り出し、ジップロックから肉も出す。
出した肉にもう一度マキシマムを振り掛けて揉みこんだら、油を引いたフライパンで外側をキレイに焼いて行く。見た目だけ仕上がったらそれで完成だ。
「完成したので寝かせとく」
ローストビーフは出来たので、次はサーモンのコンフィだ。有名な料理漫画で出されたオリジナルレシピ、コンフィ・フラムを再現してみようか。
ソミュール液に浸してたサーモンを取り出し、キッチンペーパーで水気を取ったらスライスベーコンをキツく巻いていく。キッチンペーパーは清潔な布巾でも代用出来るから問題無し。
サーモン角材にしっかりとベーコンを巻いたら、オリーブオイルと一緒にジップロックへ投入。
「あの、カイトさん?」
「ああ、ジップロックは代用を用意出来るから大丈夫だ。後で教える」
サーモン入りジップロックを鍋に水を張って投入し、火にかける。火加減は超弱火から弱火をキープし、湯温は45℃を保つ。低温調理でじっくりと火を通す。
その間に、ソースも作ろうか。赤ワインをベースにしてどっちにも使える物にしよう。
赤ワイン、しょうゆ、みりん、バター、そして水を合わせてフライパンで軽く煮立たせたら完成。それを半分に分けて、片方にはレモン果汁を入れて味を少し変える。
全部完成したので盛り付けに入る。紙皿の真ん中にサーモンのコンフィを置いて、その周りに薄切りにしたローストビーフでバラの花を作って乗せる。最後にレモン入りソースをサーモンに、ノーマルをローストビーフにかけて料理は終わり。
「さーて、完成だ。〜赤バラを添えたサーモンのコンフィ、迷宮仕立て〜」
さぁ、お上がりよ。
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