栄光の白旗。
栄光の
半分は貴族で、半分は平民で構成される実力派の上級パーティで、内二人は最上級冒険者だと言う。
「いやホントにすまんかった! バカにはキツく言っとくから!」
「…………まぁ、実害は無いから今回は良い。ただ次は無いとだけ」
公爵家のボンボンが率いる道楽パーティなれど、その資金力を背景にしたダンジョン攻略は凄まじい成果を上げているそうだ。
エルンも名前を知ってる本物の上澄み。だけどポロを奪うと言うならモンスターの餌になってもらうだけである。
メンバーに止められても暴走を止めなかった金髪のせいで一髪触発となった時、茶髪の彼がとうとう実力行使で金髪を止めて今に至る。
一応、展開してた精霊を全召喚して「始まってたらこうなってた」と釘を刺す。すると、相手は状況が本当にマズかったのだと理解してくれた。
パーティメンバーも「良くやった!」と茶髪を褒めてる。金髪をぶん殴って止めた事に対してだ。
まぁ精霊一匹ずつなら対応出来るんだろう。それだけの実力があるから最上級を含む上級パーティなのだから。
でも俺によって統率された軍隊のような布陣を相手にするなら数が足りない。こっちはスカーレットで引き撃ちさせるだけでも甚大な被害を与えられる。
俺達に「この詫びは後日、きっと!」と言ってそそくさと退散する栄光の白旗を見送った俺は、しかし気になる事があって速攻で意識を逸らした。
「なんかさぁ、お前ら濃くね?」
俺が声を掛けたのはバハムート、リヴァイ、レヴィアの三体。コイツらもアレからパクパクと食事をして育ちに育ってる。
最初は10メートル級だったバハムートも今や18メートル程になっていて、リヴァイとレヴィアも15メートル級にまで育っていた。ただ問題はそこじゃなく、三体の体が何やら濃いのだ。
しかしバハムート達は現在、フルサイズだと透過率80%くらいにまで色が濃いのだ。ミニサイズだと変わらなくて気にならなかったが、どう言うことだろうか?
「前からちょっとずつ濃くなってた? 俺が気付かなかっただけ?」
分からないが、何やら変化してるのは間違い無いのだろう。濃くなってる分だけ強くなったとかなら嬉しいけど、当然ながらマイナス面がある可能性も否定出来ない。
「…………またポセイドン様に会う機会があったら聞いてみようかな」
面倒なトラブルがあったが、それも今は解決したので釣りに戻る。
現在は
だが問題は
流石の俺も悩んでしまう。なぜ釣れない? ルアーも餌も試した。
なのに釣れない。釣り方が分からない。
「せめて、魚種を特定出来れば…………」
餌が悪いのか? アマゾン川的な場所にいる魚なんて大体肉食だと思うけど、まさか藻食性?
考えろ俺。今までしてきた系統判断の逆引きだ。
まずタイやハギのように平たく丸い魚だ。生息地はアマゾン川風の場所である事を考えると熱帯魚に属する。この川で藻食性の可能性は薄いと思うから今は除外。
魔物だから大きさは判断材料に出来ないが、ここまでの情報でアマゾンに居る多くのナマズ系は除外される。ならシクリッド系?
テッポウウオの存在がアマゾン川に固定する事を拒否するが、ピラニアとカンディルが居て生息地が似てないとは言えないだろう。
「アマゾンの平たい熱帯魚、シクリッド系と言えばエンゼルフィッシュか、………………それともディスカス?」
どっちにしろ、狙いはある程度絞れた。これで違うならまた考える。
「ちょっと移動するぞ」
「何か分かった?」
「かも知れない、という程度だけどな」
エンゼルフィッシュやディスカスならば、流れの弱い場所に居るはず。倒木や地形によって流れが澱んでる場所を探す。
流れの緩い場所を探し、鳥の肝を小さく切り分けて餌にして釣りを初めてみる。仕掛けは単純な浮き。
ポイントを探り探りやっていくと、俺よりも先にポロにヒットが入る。
「ん、引きが違う……」
「お? 当たりか?」
俺もそうだかポロもステータスを上げてる。力が多少強い程度の魚だったら問題なくファイトを征する。
「…………釣れた」
「おぉ、こいつが…………」
噂の堅鎧魚くんとご対面。
鱗は一枚一枚がゴツゴツして尖ってる。どちらかと言えばガーに似た鱗だ。
なるほど、コイツは硬そうだ。
「で、こいつは美味いのか?」
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