今度こそ。
翌日、超ツヤツヤになったポロの機嫌が治った。
そりゃもう、朝から移動を諦めて一日中ずっっっっっっと頑張ったからね。何とは言わないけど。
ほんとに、十八時間から二十時間くらいずっっっっっっとポロをビクビクさせてた。何とは言わないけど。
お陰でツヤッツヤのほにゃっほにゃになってる。
「カイト、昨日はごめん」
「良いよ。支え合うのが夫婦だろ? いつも支えて貰ってるから、たまには支えさせてくれよ 」
「…………ッッ! あ、朝からそう、だめっ、もうっ」
何やら胸きゅんがオーバーフローしたポロに押し倒された。おいテント片付けさせてくれ。早く移動しようよ。
だめ? する? 昨日は俺攻めたから今日は反対? そっすか。
出発が更に一日遅れた。翌日。
もはや構成する成分が半分以上『
「カイトしゅきぃ〜」
「よし、いつものポロに戻った!」
本当は昨日の時点で戻ってたけどね!?
「カイト、ちゅーしよ? ちゅー」
「はいはい、目的地についたら一日中してあげるから」
「ん、約束。ぜったい、一日中ちゅーする」
少なくとも今は無理よ。自転車に乗って後ろに乗った人とキスとか、そんなアクロバットな技術は体得してない。
ポロがどんな風に折り合いを付けたのかは分からない。でも、まぁそばに居る時は笑ってて欲しい。その為ならまぁ、丸二日ちょっとぬぷぬぷするくらいは頑張るよ。
更に二日を自転車で旅をする。ポロは前回の事がまだ心に少し引っ掛かってるのか、それとも壁の薄い宿より人が居ない平野のテントの方が気を使わなくて良いからなのか、町の宿を使うよりも野営を希望した。
壁のしっかりとした宿ならベッドの方が良いけど、町レベルなら良いやって事らしい。
「た、助けて下さぁいッ!」
そして、途中でなんか聞いた事のあるようなセリフを聞いた。ポロの顔が曇る。
「多分、大丈夫だと思うぞ。いまの声は相当遠くから聞こえたから、本気でヤバくて助けを求めてるはず」
「…………ほんと?」
人助けがトラウマになりかけてやがる。でも引っ掛かるくらいなら見捨てて欲しいから今はこれでもいいや。
「さぁ、急いで助けてやろうぜ。今度こそな」
自転車を走らせると、二分程で目的の場所に到着した。
状況はあまり宜しくないらしい。幌馬車があり、商人らしき人が馭者台の奥見えて、そして護衛と思われる冒険者が三人ほど。それらを囲むのは十を超える狼の群れ。
「乱戦すぎるな」
「ん、ライフルは使えない」
ビット兵器の如く近付いてから撃ち込める
「
」
乱戦とは言っても、常に獲物がべったりと救援対象に張り付いてる訳じゃない。狼が乱戦から浮いた瞬間を狙ってソードキャットが首を跳ね飛ばし、人とやり合ってる狼は四匹しか居ないサーペントを突っ込ませて引き剥がす。
「援護する!」
「すまん、助かる!」
ポロを背中にしがみつかせたまま自転車から飛び降り、神器になった
俺は剣術なんて知らないし、やった事も無い。そして未熟な剣士は自分の足を斬ったりする事も情報として知ってる。
だから、俺はそんなバカをやらかしそうになったらチビドラに割り込んで貰う形で戦う。
曲がったり折れたり欠けたりしないと信じてただ全力で狼の首を叩っ斬る。
「しゃおらぁぁぁあ!」
とか威勢良く駆け付けても、殆どがソードキャットとサーペントが仕留めちゃってんだけどね。
「無事かな?」
「お陰様で」
精霊に驚く顔を律し、こちらへと向き直る男性冒険者。革鎧が狼によって損壊しているが、幸い大きな怪我は見られない。
他の人員も見るが、状況は似たり寄ったりだ。
「俺達は中級冒険者の
「よろしく、助かったよ」
「掩護ありがとうな! これ魔法かー?」
パーティは全員男で、剣士二人と弓持ちが一人。パーティ名から察するに昔馴染みで組んでるのだろう。
「俺は下級のカイト。こっちは嫁のポポロップ。王都に向けて旅の途中だ」
「よろしく」
「下級ッ!? あれでッ!?」
「おいおい、アンタが下級なら俺らはなんなんだよ」
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