他の子達。



 翌日。何とは言わないけど大丈夫だった。


 ポロはお口でするのが楽しくなったみたいで、本番の前からちょっと信じられない回数を搾られたけど、ガブッとはされなかった。


 何とは言わないけど。


 そんな感じで過去一にツヤツヤしてるポロに起こされ、心地良い倦怠感に包まれながら俺は起床した。


 少しダルいのにめちゃくちゃスッキリしてるの笑うんだよなぁ。


「て言うかダメだ。水の気配が近くにないと早起き出来ない」


「ポロが先に起きる、珍しい。お陰で朝から美味しかった」


「………………え、俺朝から何されたの?」


 朝からドカ盛の下ネタは止めてくれ、耐性が無いんだ。


「えと、…………ナニ?」


 そうっすね。何とは言わないけど。


 朝から気怠い理由が判明したよこのやろう。何とは言わないけど。


 と言うかポロ、何とは言わないけど飲むんだよな。女の人は嫌がるって童貞孔明あくゆうがうるさかったのに、ポロは美味しいって飲むんだよなぁ。


 まぁ何とは言わないけど。


 ちなみに童貞孔明とは、童貞の癖に性知識を溜め込んでその手の智者を気取ってたバカのあだ名。お前は智者ちしゃじゃなくて恥者ちしゃだアホめ。だからお前は性知識の使い道が生まれないんだ。


「じゃぁ朝飯はもう要らん?」


「ッ!? そ、それは良くない。朝は食べるべき」


「でも食べたんだろ?」


「あれは飲み物。もしくは甘味デザート


 そっか。ポロの中ではフランクフルトが飲み物かデザート枠なんだな。覚えとくよ。


 今度ウィンナーコーヒーだっつってソーセージ入れたコーヒーでも出してやろうかな。本当のウィンナーコーヒーはクリーム乗ってるコーヒーの事なんだけどね。


 あれはウィーンって場所の地名の名前が入ったからウィンナーなのであって、腸詰め肉は一切関係ない。


「ごち」


「ん、美味しかた」


 朝食は赤バスとガシラ、それとカムイと呼ばれるタイっぽい魚の刺身で食べた。あと味噌汁。


 ふふ、エントリーで普通の魚も山ほど仕入れて来たぜ。


 コンテナにしまったバラバラの物を一つにまとめるインベントリ収納術だが、あれ中身が単一の物で一緒なら、コンテナに入れた上でスタック出来る事が判明した。なので本気でガッツリ仕入れて来た。


 コンテナに入らないサイズの赤バスとか大物は、普通にスタックしてる入れてる。けど、魔物じゃない普通サイズの魚は一種類ずつコンテナにギッチリつめて限界九十九個まで買ってきた。


 オッサンと舎弟共も総動員して買い集めてやったぜ。


「カムイ、身がコリコリで美味……」


「やっと魔物以外の魚も美味しく食べれるようになったか」


「うん。魔物が美味しすぎるだけ。お魚、普通に美味しい」


 ポロは初めて食べた魚が立て続けに魔物だったせいで、普通の魚が微妙に美味しく感じなくなってたのだが、最近やっと治ったのだ。


 ポロが順調に刺身にハマってく。ふふ、次は何を食わせてやろうか。俺も異世界の魚食うの楽しいから楽しみなんだよな。


 味わいとか食感がまた絶妙に違ってて良い。カムイも本来のタイが持つ甘みが微妙に違ってた。それでも美味しくて、他の魚も早く刺身で食べたいぜ。


 寄生虫問題はとりあえず心配無さそうだった。インベントリに生物は入らないけど、じゃあ菌類は? って問題にまで掘り下げると少し違った側面が見えてくる。


 と言うのも、インベントリに生物が入らないのは生きてる固有の魔力が抵抗するからであり、じゃぁ抵抗に失敗した場合はどうなるのか?


 エントリーで実験してみた。


 まずインベントリに入れた事の無い魚を捌いて捌いて、とにかく捌いて寄生虫を見付ける。多分アニサキス系列だと思える線虫を発見したら、そのままインベントリへポイ。


 その後出してみると、寄生虫はお亡くなりになってた。


 他にも虫とか色々試して見たけど、一定以上の魔力抵抗を持たない生物はインベントリにぶち込むと死ぬらしい。理由は知らないが、多分体内の魔力がアレしてコレして死ぬんじゃ無いか?


 そんな訳で、インベントリに入れたお魚は寄生虫の問題が全くない。後は雑菌とかの心配だけど、それはもう料理中の衛生管理問題なので解決方法も心配する方向性も別物になる。


「さて、行こうか」


 後片付けをしたらポロをマウンテンバイクの後ろに乗せて、颯爽と出発する。


 途中、ポセイドン様に規制されて無ければペットにしただろう狼の群れが襲って来た。


「………………行け、キャット」


 いつも通り殺そうと思ったけど、そう言えば他の子達せいれいを使った事ないなと思い至って、俺はいつもと違う精霊を召喚して突撃させた。


 魔物じゃない普通の魚も呼び出せるけど、そっちは戦力にならないだろうから一応でも経験値が得られた子を呼び出す。


 ポロから言われて、精霊化してる子達は生きてた時とは別の名前を付けてある。


 赤バスはスカーレット。黒ハモはサーペント。チビドラはチビドラのまま。


 そしてこの世界では大口と呼ばれる灰色のカサゴガシラはアッシュマウス。銀魚と呼ばれる銀ナマズはキャット。


 安直だから暫定って事で。何か思い付いたら適宜変えて行く。ちなみにキャットってナマズの事ね。


「お。おおぉぉ……!」


「スパッといったな。さっそく名前をキャットからソードキャットに変えようか」


 突撃させた銀ナマズ、ソードキャットは胸びれから魔力の刃的な物を伸ばして狼の群れに接近し、すれ違い様に首を刎ねた。あれが経験値2の雑魚なの? 強くね?


「アッシュも行け」


 灰ガシラ、アッシュマウスも突撃させると、こいつはなんの意外性も無く生き残った狼に噛み付いた。しかし、その直後に不思議な事が起きる。


「…………おぉ? なんか、魔力が回復した?」


 どうやら、アッシュマウスはドレイン効果を持ってるらしい。これもマナファングとかに変えようかな? て言うか能力を見る前に名前決めるのやめよう。


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