旦那様が格好良すぎる問題。



「はいそこまでじゃ」


 お爺様がカイトの剣に手を添えて、下げさせる。


 そしてお祖母様が、ボロズの背後から近寄ってゴンッッッッと凄まじい音がする拳を落とした。


 状況は一部始終見てた。だってカイトが子供達とチャンバラしてる横で、ポロも女の子達と遊んでたから。


 正直、ボロズがあそこまで思い詰める程にポロの事を好きだったのには驚いたけど、とても気持ち悪いと思った。


 人の気にしてること、嫌がることをチクチクしといて嫁にしたいも何も無い。どうしたら私がアレに惚れると思ったんだろう? アホすぎると思う。


 それよりも、それよりもだ。


 ポロの旦那様が、カッコよすぎる問題が浮上した。


 胸がきゅんきゅんして痛い。多分いま、顔が真っ赤になってる。


 なに、なんなの。カイトはどれだけカッコ良ければ気が済むの?


 人の嫁を物扱いしやがって? 命を賭けてやるからお前も掛けろ?


 惚れた女の為に、テメェの命も張れねぇとは言わさねぇぞ?


 か、賭けりゅぅぅうう! ポロも賭けるぅぅう! 命賭けりゅよぉお!


 胸が痛いよぉ……! カイトしゅきぃ!


 うぐぅ、苦し過ぎて嬉し過ぎて涙出て来た。ポロの旦那様は世界一カッコイイ。だいしゅき。今晩も頑張る。


 ………………あ、頑張れなかった。全部筒抜けで嫌だって言われてるから。


 むぅ、離れが欲しい。カイトとしっぽりにゅぷにゅぷ出来る離れが欲しい。お爺様にお願いしたら作ってくれないかな?


「わっ、ポポロップおねえちゃん!? お顔が真っ赤だよっ!?」


「うわホントだ!? どうしたのおねえちゃん、苦しいの?」


「…………ぐぅぅ、旦那しゃましゅきぃ」


「あ、違うこれ胸が詰まってるだけだ!」


「格好良かったよね!」


 ポロの旦那様素敵過ぎない? もうパンツが凄いことになってるんだけど。帰って着替えたいけど、カイトのそばに居たい。どうすれば良いの誰か助けて。


 デュープ様、今下着を神器化したら怒りますか? さすがにダメですか? そうですかごめんなさい。


「………………あんなに素敵な人が見つかるなら、アミャも川に流れようかな」


「そ、それは流石に止めた方が良い」


 隣でとんでもない事を言う子に待ったをかける。今なら分かるけど、あの時のポロは頭おかしかったんだよ。普通に考えて死ぬもん。


 守りの法術があっても、水面に出れなかったら普通に溺死したし、生き残ってもカイトが居なかったら狂鬼が居たからやっぱり死んでた。


 海の中にも赤バスとかいっぱい居るし、ポロが生きてたのは割りと真面目に奇跡だった。


 それはそれとして拾ってくれ優しい旦那様すきぃぃい。


「ポポロップおねえちゃん良いなぁ。私もあんなにカッコいい旦那様欲しいなぁ」


「ふふ、カイトはカッコイイだけじゃない。とても可愛い」


「え、何それ何それ」


「カイトは服がチラチラして太ももとか見えると、照れてそっぽ向く。凄く可愛い」


「なにそれ可愛い〜!」


「ぽ、ポロさんや? 心配して来てみればなにしてんの?」


 あ、カイトだ。もう剣はしまって戻って来たみたい。胸がきゅんきゅんしすぎて状況を見てなかった。


「心配?」


「ん? そりゃそうだろ。大事な嫁が顔を真っ赤にして胸を抑えてたら誰だってすっ飛んで来るだろうよ。病気かと思ったぞ」


 変なことで心配掛けたのが申し訳ないけど、でも心配してくれたのが嬉しくてニヤニヤしちゃう。


「カイト、ポロは病気」


「え、あっ、マジ? どうすれば────」


「──恋の病」


 慌てるカイトのシャツを掴んで顔を寄せ、唇にちゅっとする。


 そうするとカイトは照れ、「んだよ」と言ってそっぽを向くのだ。


「ああコレのことっ!? 可愛い〜!」


「カイトお兄ちゃん照れてるぅ〜!」


「うわぁ味方が居ねえ!?」


 日に日に好きになってく。ずっともっと、いつまでも。


 これ以上好きになったら、どうなるんだろう? 怖いけど、幸せ。


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