大騒動。



 その後、オマケでチビドラを二匹ほど海竜まで進化させて貰ったり、精霊のサイズを縮小出来る機能を付けてもらったりした後、二人と二柱で海竜のテール肉をステーキにして食べた。


 その時にポロのスキルも色々と説明して貰ったんだが、中々にチートだった。


 海の因子を持つ存在と契約、と言うけどこれ生物に限らないそうだ。


 そして俺の海神の七つ道具オーシャン・ギフトで呼び出す物は大体ポセイドン様のチカラで生まれてくるので、ほぼ無条件で海の因子を持ってる。


 なのでポロの持つポロップ号とも契約して召喚可能になるし、水鉄砲も契約して武装出来る。


 何より俺の精霊と契約すれば、ポロの精霊として使役できる。もちろん俺と精霊とポロの合意があれば、だけど。


 海神の七召命オーシャン・オーダーも俺の海神の七つ道具オーシャン・ギフトと同じように、セット物はセットで契約して良いそうなので、枠も空く。


 今回はまずエンジンとセットで使う船と、あとリールとセットで使うロッドも枠一つで契約出来る。


 俺もそれで枠が二つも余裕が出来るので、水鉄砲は本格的にレギュラー化して良さそうだ。


 ポロの水鉄砲には海神の神術オーシャン・レアが無いけど、海神の神術オーシャン・レアはそもそも魔法の魔の字も知らない俺用のスキルなので、ポロは普通に水の魔法を覚えて補強すれば良いとデュープさんにアドバイスされてた。


 一応、ステータスアップの件を聞いてみたが、管轄する神が違うから手を出すとまずいと言われて諦める。ズルはせずに神殿探そう。


 そうしてステーキを食べながらポロと俺の契約枠を考える楽しい時間が過ぎて、デュープ教会に精神を戻す時間が来た。

 

「では、また機会があれば会おう。それまで海に生きると良い」


「ポロよ。そのえにしを大事にな」


「「はい」」




 ふわっと精神が戻ったのを確認したら、すくっと立ち上がる。


 隣を見るとポロもヨタヨタと立ち上がって、俺を見るとにぱっと笑う。可愛い。


「ご、ご無事ですかっ!?」


 突然、大声で後ろから無事を確認されて何事かと思う。


 振り返るとヘレンが真っ青な顔して俺達を見てた。いや、ヘレンだけじゃなくて結構な人数が教会に押しかけて、俺達を見守ってたらしい。


 何事?


「ヘレン、どした」


 ポロが問うと、ヘレンが滂沱の涙をダバダバしかながら膝を着いた。


 聞くと、俺達が神に面会してる間ずっと、俺達の体が超神々しく光り輝いてたらしい。マジで?


「もしや、神のお声を?」


「いや、お声って言うか」


「会ってきた」


「会ってきた!?」


 そう、会ってきたんだよな。でも多分いっちゃまずいタイプの発言だ。


 当然、大騒ぎになった。


 神に面会したとか普通に一大事だ。ヘレンよりも偉い人が来て、野次馬が騒ぐ中で別室に呼ばれた。


「神に、お会いしたとか」


 別室で顔を付き合わせるのは大司教とか言うベートーヴェンみたいな神の人。ベネリと同じ階級だな。


「まぁ」


「ん、会った」


 どこまでもゴーイングマイウェイな嫁が可愛い。


「神と、どのようなお話をされたか、伺っても?」


 隠す事は無いので全部話す。仮に異端だと騒がれても突破出来るチカラはあるし。


 向こうで海竜の肉を食べた影響で、俺はもう既に釣った海竜を召喚出来る。そして成長させてもらったチビドラも居るから、成体の海竜三匹による暴力がすぐさま震えるのだ。


 しかも、これはあくまで俺だけの話し。神界に居る間にポロにもチビドラを一匹引き渡してる。ポロが初めてフッキングして釣り上げたチビドラだ。


 アレを更にデュープさんが成長させたから、ポロも海竜を一匹持ってる。つまり俺達の総戦力は上から数えて海竜四匹。


 たまげたなあ(他人事)。


「…………異界の神と、デュープ様がっ」


 語り終わった所で大司教様が震え始めた。お、異端攻撃来るか? 良いぞ、準備は万端だ。


「素晴らしいッッ……!」


 しかし大司教の震えは歓喜のそれだったらしい。


「つまり、ポポロップ様はデュープ様に直接加護を授かった訳ですね!?」


「そう。優しかた」


 そりゃそうだろ。俺の海神の七つ道具オーシャン・ギフト海神の強襲オーシャン・レイドの良いとこ取りみたいなスキル貰ったもんな。それで優しくないと思われたらデュープさんも堪んねぇよ。


「ど、どのような加護を?」


「これ。海神の七召命オーシャン・オーダー


 ペットにしたくてお願いした縮小機能を早速使うポロが、目の前にチビドラから成長した精霊海竜を呼び出した。ぷえーって鳴いてる。


「お、おおおおっ、海竜を使役……? まさに神の御業…………」


 透けてるミニ海竜を見た大司教は、その場で恍惚な顔をしてトリップし始めた。


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