ご機嫌ポポロップ。
何とは言わないが、五回だった。
何とは言わないが、全部が生で中だった。
「………………ご機嫌ですね、ポロさん」
「うん。ご機嫌」
俺の事を五回もあれこれしたポロは信じられないくらいご機嫌で船を操作してた。
「牙羊族と人族、子供出来にくい。だからいっぱい貰って嬉しい」
「あ、種族的に出来にくいとかあるんだ?」
「毎日欠かさず交わって、三年に一人とか。だからカイト、毎日覚悟すると良い」
ポロは終始ルンルンである。初めてで痛かったはずなのに、それでも嬉しそうだった。でもそのお腹を愛おしそうに撫でるアクション止めてくれる?
「まさか襲われるとは……」
「カイトは甘い。男は狼と、良く言う。でも、女が狼じゃないなんて、誰も言ってない」
「それはそう。でもポロ羊やん」
「牙羊は肉食。なら牙羊族が肉食でも良い。と言うかポロたち実際に肉食べる」
「それもそう」
でも牙羊ってぶっちゃけ羊じゃないよな。
牙羊族は牙羊を育ててるからそう呼ばれてる。なら牙羊と牙羊族はどんな関係かと言うと、少し込み入った話になる。
牙羊族が牙羊族と名乗る前。彼ら彼女らの髪はとても美しく、シルクのように使える貴重な物だった。
生きたシルク製造機。そんな金の成る木は誘拐されて金にされる。実際に問題になった時代があったそうだ。
そこで牙羊族の祖先は考えた。人間はクソだからいくら言っても誘拐を止めない。だから自分達の価値を落として、犯罪で稼ぐには割に合わない状況にすれば良いと。
そこで様々な手段が考えられ、試されたが、最終的に採用されたのが羊の品種改良。
つまり自分達並みのウールを産み出す家畜が居れば、自分達を拐う必要が無くなる。やるとしても羊の窃盗であり人の誘拐は減る。
家畜泥棒で済むのにわざわざ人の方を狙ってリスクを増やす奴なんて早々居ないから。
そうして生まれたのが牙羊である。肉食なので多分遺伝子的には羊と掠りもしない生物だと思うけど、少し似てる見た目と毛艶の良さから品種改良が続けられ、昨今の牙羊になってるんだとか。
要するにアイツら羊じゃない。まぁ異世界に俺の知ってる羊が居るのかって話から議論が始まるので止めとこう。
「時間使い過ぎた」
「もう昼だもんな」
朝出発したのに、ボート上で何とは言わないけど五回も頑張ったからお昼になってしまった。
今から陸に上がって飯を食うのも時間を使い過ぎる。船の上で済ませてしまおう。
「流石に川の上流だと揺れるから、菓子パンで済ませるか」
「ポロ、ちょこが良い」
「あいよ」
インベントリから食料ボックスを出して中から菓子パンを取り出す。ポロはチョコ系が良いと言うのでその系統を。俺はジャムとあんこ系を選ぶ。
「カイト、ポロは手が塞がってる」
「………………別に、食べさせて欲しいならそう言えよ」
片手が船外機のハンドルを握って埋まってる。反対の手は空いてるけど、片手では菓子パンの梱包を開けられない。
俺は大人しくビニールを破いて、ポロの口にチョココロネを突っ込んでやった。
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
「ハムスターみてぇ」
餌を与えながら考える。俺達がこの先どうするのか、と言う行動の指標。
まず俺の目的は釣りだ。そして目的への手段も釣り。釣りさえしてれば世はこともなし。
だけど一つ知る事が出来たのは、この世界には魔物が居て、そいつらは馬鹿みたいに引く。チビドラなんて体力全部使ってギリギリだった。
なので俺は魔物でも問題無く釣るための筋肉が欲しい。つまりステータスアップが当面の目標になる。
「筋力、魔力、敏捷、耐久、精神、だったか?」
「オススメは耐久。夜に沢山相手してほしい」
神殿で上げられるステータスはこの五つ。ポロに言われた理由とは関係無いけど耐久は上げようと思ってる。防御力とスタミナが上がるらしいので。
「て言うかどうせ全部上げるんだよ。どれか一つに特化は難しい」
最初はどのステもゼロから始まり、1のステを得るのに1ポイントの経験値が必要になる。そしてステータスを1上げる毎に要求される経験値が倍々に増えてく。
それがこの世界のステータスシステムなので、ステータスが10を超える辺りで必要量が馬鹿みたいに増える。そこからはもう修行僧みたいな事しないとステータスなんて上げられない。
最初は1で済むのに、ステータスを一つ10まで上げるだけで1023ポイントも使う。
そこから五つ上げるだけで要求経験値が16384。簡単に一万を超える。それまでに使った量と要求量を合わせると、ステ15までに使う経験値の全量は32767。三万越えだ。
こんなバカらしい数字に突っ込むなら、まだ低い他のステータスに経験値使うのが普通だと思う。だから殆どの人はステータスが横並びだと思うよ。
俺も出来れば全ステ10くらいで揃えたいし。ステ1に付き身体能力が一割上がるらしいから、ステ10で身体能力が丁度倍になるのだ。
「ポロも、耐久上げる」
「…………目的が透けて見えてんだよなぁ」
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