獲得経験値。
検証した結果、神器は単体でも結構強い事が分かった。
砂浜に撃つとクレーターのサイズが倍になって、海を向いて地平線を目掛けて撃つと射程も多分倍くらい。
魔力フル回復状態で一発撃つとアイス一気食いくらいの頭痛がするので、多分回復せずに二発は無理。だけどライフル単体でも強いので今のところ大丈夫そうだ。
「よし、上陸するぞ」
砂浜へと出戻りした俺はボートを腕輪に回収して、ライフルを片手に歩き出す。
砂浜の向こうは林だか森だか分からないけど木が生えてる。試しにライフルで適当な木を撃ってみると、表面が弾けて穴が空いた。
実銃くらい強いんじゃね?
本物を撃った経験がないので憶測になるけど、見た感じではそのくらい強いと思う。
取り敢えず、海神様から貰った知識を漁ってみる。貰った知識は念じることで記憶にポロッと出てくる感じ。無い知識は出てこない。
この世界は、モンスターが居る感じの世界なのか。答えはイエス。
モンスターを倒すと経験値が貰えるのか。答えはイエス。
経験値を貯めるとレベルが上がるのか。答えはノー。
「…………あれ? レベル制じゃないの?」
その辺の知識を探りながら森を歩く。ふむ、経験値を消費してステータスとかを上げるタイプのステータスシステムか。レベルじゃなくてステータスだけを直接上げるシステムなんだな。
更に深く調べると、ステータスを一つ上げる度に必要経験値が倍々になってくそうだ。
例えば筋力を1にする為に経験値1を使うと、次は筋力2に経験値2。ここまでは良いけど、次から筋力3で経験値4、筋力4で経験値8、筋力5で経験値16、筋力6で経験値32と、要求がえげつない事になっていく。
ステータス値は1点につき肉体性能の一割を上昇させるらしい。
つまり筋力が10ある奴は膂力が倍になるんだな。
「そしてステータスは神殿に行かないと上げられない……?」
どうやらこの世界には、人が作った神殿じゃなくて神が立てた神殿があるらしい。
そこに行って専用の設備を使う事で経験値をステータスに出来るとの事。なるほどね。
「つまり神殿を見付けるまで俺は魔力が増やせないのか。…………いや待てよ? 肉体性能の一割を増やすんだから、そもそもの肉体性能を上げる選択肢もあるよな? ステータスを上げなくても俺自身の魔力を増やせないか?」
あくまでステータスは後付けのバフみたいなものらしいから、俺自身の性能を上げる事も可能なはず。
まぁ魔力は生まれ持った量から絶対に増やせないとかだったら終わりだけど。
「積極的に使っていくか。魔力が増やせる世界線なんだったら、多分こう、鍛えれば伸びるだろ」
そうこうしてる内に何か見えた。木の上に凶暴そうな黒いエテ公が見える。鬼の形相っ俺を睨んでて、何かこっちに投げようとしてる。
「死ね」
取り敢えずレア無しで撃ってみる。ヘッドショットでぶち抜けた。
「ショップ起動! さぁ経験値は!?」
モンスターっぽい奴を殺せたのでショップを開いた。俺には神殿なんて無くても七つ道具があれば獲得経験値くらいは確認出来るんだよ。
ショップ機能のウォレットにチャージされた残高をみると、あいつ一匹で十五らしい。
個体差があるのか分からないけど、ワンショットワンキル出来て十五なら美味しい気がするな?
ちなみに安い菓子パンとかなら経験値1ポイントで買えるくらいのレートだ。
これで釣具が買えるけど、もう少し稼いどくか? いや釣りさえ出来ればそっちで稼げる?
経験値が貰えるのはモンスターだけ? 神様から貰った知識は微妙に情報が足りない。
経験値とはそもそも、俺の知ってる概念に当てはめてその名前なだけで、意味合い的には『魂の力』とか『継承力』とかそんな感じらしい。よく分からない。
なるほど。じゃぁもう釣りで経験値稼いでも良いかな? なんか魔力使うとお腹減るし、魚捌いて食べたい。
「いや待て俺、魚を捌くナイフも無いし魚を焼くコンロも無いぞ」
くそっ、結局まだ経験値が必要なのか。
「はぁ、分かったよ。どうせなら百ポイントくらい稼いでやるよ」
森を歩いて黒いエテ公を探す。居ない。代わりに緑色のウサギが突っ込んで来た。死ね。
「ンギァ──」
断末魔すら出し切れずに絶命したウサギを見る。角が生えてるのはお決まりだけど、生え方がイメージと違う。
角が一本だけ生えてるアルミラージじゃなく、角が二本も生えてコーカサスオオカブトみたいに正面に向かって曲がってる。
「異世界こわっ」
なんでこんな殺意高そうなウサギがいるの。そんな進化するならウサギ以外に選択肢あったやろ。
「やっぱ陸地は怖いな。海に帰りたい」
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