閑話 ホムンクルスの見る絶望
ついに私の番が回ってきた。
あれからも私達の数は減っていき、とうとう確率に負けた。
救いがあるとすれば、お爺さんは失敗しようと思っていないこと。
知る限り一番大掛かりな設備になっている。
これまで集めた情報から、私も朧気ながら、何をしようとしているのか理解してきた。
お爺さん曰く神の領域を得る。
創造の力を人の身に宿す実験らしい。
そして宿せなかったら弾けて死ぬ。
いやだなぁ。
石人形に掴まれ、ガラス筒の外に出される。
濡れた肌に触れる空気の感触。微かに漂う薬品の匂い。これが外?
初めての外。なのに感覚は知っている?
実験設備の中央に連れていかれる。
お爺さんは私に心が在る事を知らない。
知られたら何をされるかわからない。
逆に実験から見逃してもらえるかも?
いや、ないかな。
心が必要ならそういう風に、造ればいいだけだもの。
そうしてないって事はそういう事。
隠そう。
ぼんやり眼で、ぐったりしておく。
そして、お爺さんが慌ただしく機材を動かし、呪文を唱える。
床一面が光り、私もそれに包まれる。
運命の時。
期待はしない。
これで私も終わりなのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます