閑話 ホムンクルスの見る世界

何時から意識が芽生えたのかは分からない。


青い液体に満たされた大きなガラス筒の中。

私は自身についてボンヤリと考える。

私はこの中で生まれた存在。

何も無い。ガラスの囲いが触れる世界の全て。

その筈なのに、大事な何かを忘れている気がする。

歪んだガラス向こうの景色に目を向ける。

大きく広い広い、石の建物の中。

私が入っているものと同じ。

人が簡単に入る大きさ。

円筒のガラスが規則正しく、たくさん並んでいる。

中身も一緒。

全てのガラス筒の中、白い髪を揺らめかせて、白い肌の少女が浮かんでいる。

全員、姿形が同じ。

私と同じ。

違うのは心が在るか無いかだけ。

私以外の少女達の目は虚ろで空っぽだ。

私だけ違う。

私だけ仲間外れ。

私だけ、不幸?

どうなのだろう? 

時間はある。


考えてみる。

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