このレビューは序盤で書かせていただいています。ですから当然、これから、主人公ふたりの物語は、彩られていくのです。まだ、いろは少なく、ひとも少なく、ものがたりは、凍っています。それでも、そのなかで。会話なしでカッコつきの思考描写だけですすむ物語なのに、いや、だからこそ。ピンセットで摘み上げなきゃいけないくらいの、小さな小さな気持ちたち。それが伝わるんです。ことばなんて、いらない。