スニーカーの瀧
首の後ろに手をやって、自分の手が冷えていたことに気がついた。教室を出るときにちらりと見えた、花山の凍りついた表情を思い出す。
酷いことを言ったと自覚しているのに不思議と心は落ち着いていて、視界に一定のリズムで靴が入ってくる度、そろそろ新しいスニーカーを買いたいな、なんて頭の隅が考えている。本心だったつもりだったけれど、今、一人になってみると自分の言葉とは思えなかった。
強い言葉は、よく、小説に出てくる。そんな重いように見えて何より軽い言葉が、実体と重さを持って、いたって自然に出てきたことが意外だ。別に喧嘩したわけではない。元からあいつのことが特別好きでもないし、嫌いでもない。それなのに、元あったかのように胃から飛び出した言葉は、いつもだったら絶対に出てこないで眠らせておく言葉だった。
花山は、悪いやつじゃないけど、なぜかいつも俺を苛立たせる。
女子とか、高校生とか、そういうものの象徴みたいで苛立つ。
廊下側にひかり Ai @Ai__pen
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