11話
ここへ落ちてから早くも2ヶ月をすぎようとしていた。
元の世界にあまり未練がなかったからか、帰りたいとか、ここから逃げたいという思いは、ない。
人生、何があるかわかったもんじゃない。
そんなふうにぼけーっとしていると、隣に誰かが座ってきた、無名かレッドだと思っていたが、なんということでしょう黒さんではありませんか。
「こんにちは……」
緊張しながらも、しっかりと挨拶はした。
挨拶はしたぞ!
「……もう、此処では慣れたのか?」
意外にもこちらを気遣うようなことを言ってくれた。
「はい、人間ってどこでも馴染めるものですね。」
「そうか……。
それは良かった、あの馬鹿二人の面倒見はなかなかきついだろ。」
「いえ、楽しいですよ。」
「……俺の言ったこと、覚えてるか?」
「はい、何となくですが…」
「あの二人には警戒を解くな、何時だって気を許すなよ?」
「はい……」
そう言うと、黒さんは去って行った。
俺のことを気にかけてくれているんだろうか?
黒さんは、無名とレッドの何を知っているのだろう?
あの二人、そんなにやばいのか。
「黒。」
「お前か、無名。」
「光輝くんと、どんな話をしてたんだい?」
「お前には、関係の無いことだ。」
「釣れないなぁ。」
「お前に釣られるくらいなら、自殺した方がマシだ。」
「自殺が出来ない君に言われてもね。
私が作ってあげた体はさぞ頑丈なんだろう。」
「それはお前もじゃねぇか。
いつまでたっても世界の上で首吊りを繰り返しているのにも関わらずいつまでたっても死ねないから内心イライラしてるんじゃないのか?」
「………………。」
「図星か?」
「半分正解。でも、半分不正解。」
何千年も繰り返していれば、次は死ねるかもっていう気持ちはなくなったからね。
変な穴に落ちたと思ったら変な神様と暮らすことになったんだが!? @Kabovea
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